CDのリッピングとFLAC形式への変換
ハイレゾ音源は、確かにすばらしい高音質で、とくに5万円以上のポアタンなどの高性能DACを通して再生させる場合には、抗し難い魅力を発揮します。けれども、なにせ1曲あたりの単価が高すぎるというのが大きなネックになります。そのために、ハイレゾに準じる高音質を実現できる、CDからアップコンバートしたFLACファイルが注目されています。実際、「44.1 kHz/16bit」の情報量をもったCDと、「96kHz/24bit」や「192kHz/24bit」の情報量をもったハイレゾ音源を比較すると、その差は歴然としていますが、アップコンバートの操作を施すことによって、擬似的にハイレゾに近い高音質の音源を作り出すことは可能だといわれています。
そうしたアップコンバートを簡単に行えるアプリがいろいろと開発され、販売されています。その中で、とくに人気の高いソフトに、dBpoweramp Music Converter (Windows版とMac版)があります。今回のハイレゾ化プロジェクトでも、このソフトを購入してCDのリッピングとFLAC形式ファイルへのアップコンバートを実践してみましたので、詳しく紹介したいと思います。
dBpoweramp Music Converterのインストール
このソフトは、アメリカ製のようで、私はMac用ソフトを$39.00でオンライン購入しました。国内では、アマゾンからWindows版、Mac版ともに¥6,900で販売されています。ただし、21日間は無料でも利用できます。
ソフトをインストールして、起動すると、次のような初期画面が出ます。
今回リッピングに用いたCDは、1989年12月、ベルリンの壁が崩壊した直後にレナード・バーンステイン指揮で演奏された、ベートーヴェンの交響曲第9番の収録版です。歴史に残る名演といわれています。購入したときから大事に保存していました。これをハイレゾ化して、感動を新たにしたいという気持ちがあります。
CDの読み込み
さて、まずはCDをトレーに入れると、dBpowerampにCD情報が読み込まれ、次のように、画面上に表示されます。
ここで、リッピング先のファイル形式をFLACとします。本当はWave形式で保存したいところですが、そうすると、変換後のファイル容量がなんと7GBをこえてしまいます。そこで、ハイレゾの標準形式であるFLACにし、もっとも高画質の設定で変換(リッピング)をすることにします。変換後のファイル保存先もこの画面で指定します。ここでは、Dropbox上のフォルダを指定しました。
サンプリング周波数、量子化ビット数の指定
次に、音質の単位であるサンプリング周波数(kHz)と、量子化ビット数 (bit)を指定します。この数値が大きいほど、高音質になります。ふつう、ハイレゾ音源では、96kHz/24bitまたは192kHz/24bitが標準とされています。
これを指定するには、画面下の[DSP」タブを開き、ResampleのSettingsボタンをクリックします。すると、画面上にResample to Frequencyの選択窓が出ますから、これを96000Hzにします。
次に、ビット数を24bitにするために、DSP Effects窓の中のBit DepthのSettingsをクリックします。すると、画面上にFixed Bit Depth指定欄が表示されますから、24bitを選びます。
最後に、Encoderのタブを開き、Lossless Level 5 (Default)を選択します。これで準備ができたので、画面左上のRipマークをクリックすると、リッピング(ファイル変換)が始まります。
リッピングが無事に完了すると、下のようにAccurateという完了表示がでます。右のファイル容量をみると、4楽章合わせて516.57MBとなっています。Waveにした場合の推定容量が約7GB,でしたから、それに比べると10分の1以下で収まりました。これなら許容範囲といえます。
これで、44.1kHz / 16bitのCDを、96kHz / 24bitのハイレゾファイルへとアップコンバートすることに成功しました。あとは、このファイルをハイレゾ再生プレイヤーに読み込んで、もとのCDと聴き比べるだけです。
このように、dBPoweramp Music Converterを使えば、個人でも簡単にCDをハイレゾ化することができることが確認できました。あとは、できるだけ高音質のCD(例えばHQCDなど)を入手し、ハイレゾ音源を増やしていきたいと思っています。
FLACファイルをXperiaのHF Playerに転送し、第4楽章を再生したところ。96kHzの周波数で正しく読み込まれています。まずは大成功です。音質も低音がよく伸びており、臨場感もたっぷりで申し分ありません。名演奏がハイレゾで甦ったかのようです。
radiusの小型軽量ポタアンをandroidスマホにつないでみる
JVCのポタアンは、iPhoneに接続するとその真価を発揮しますが、Androidスマホでは、接続が面倒で、外部DACとしてはあまり向いているとはいえません。Androidスマホの場合には、もしminiUSB端子があるならば、radiusの ヘッドホンアンプ「DAC RK-LCH61」が低廉かつコンパクトなのでおすすめかと思います。
このアンプはminiUSB端子とイヤホンの間にはさむことによって、より高音質なハイレゾを実現してくれるものです。JVCのポタアンのようにポケットに入れる必要もなく、音量調整のつまみにもなるので便利です。ただし、最近のandroidスマホは出力端子がType-Cに変わりつつあるので、合うかどうか確かめてみることをおすすめします。また、このアンプ専用のAndroidアプリが出ていますが、使い勝手は必ずしもよくはないようです。私は、HFプレイヤーでこのアンプを鳴らしています。JVC SU-AX7
JVC SU-AX7をAndroidスマホにつなぐ方法
最近のAndroidスマホは、Type-C端子だけで、イヤホンジャックを廃止するモデルが増えているようですが、私が購入した一世代前のXperia Z3の場合、miniUSB端子の他にイヤホンジャックが装備されています。この場合には、イヤホンジャックをSU-AX'の背面にあるLINE IN端子にLINE/OPTICALのモードでつなげば、iPhoneの場合と同様に、ハイレゾの美しい音楽を聴くことができます。音質を比較してみましたが、両者の間にまったく差はみられませんでした。接続状況は下の写真に示すとおりです。