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Aiスピーカー大研究:スマートホームはシニアにとって福音となるか?

スマートホームの普及は、まだこれから

最後に、Aiスピーカーの有力な機能である、スマートホームコントロール機能に触れておきたいと思います。

Aiスピーカーは、単に音声リクエストに答えて音楽を流したり、タイマーをセットしたり、言葉の意味を教えたり、カレンダーに予定を入れたり、教えたりするだけではありません。家庭内のあらゆる機器を音声リクエストにしたがって操作することもできます。これは、いわゆる「スマートホーム」と呼ばれる機能です。

ただし、スマートホームを実現するには、Aiスピーカーに対応する機器が必要になります。あるいは、Aiスピーカーのリクエストを受けて、宅内機器をコントロールすることのできる「スマートコントローラー」が必要になります。現在、私たちの自宅にある機器でAiスピーカーから直接コントール可能な機器はほとんどないと思います。そこで、Aiスピーカーに対応した「スマートコントローラー」を設置することによって、テレビ、録画機器、エアコン、照明装置、掃除機などの機器をコントロールすることが可能になっています。ここでは、Amazon EchoとGoogle Homeの両方に対応した、低廉なスマートコントローラーとして、ラトック社のスマートコントローラ「RS-WFIREX3」を取り上げて、スマートホームの現状と未来について考察したいと思います。

RS-WFIREX3は、定価が約7500円と」比較的低廉な機器で、さきほども写真で紹介したように、マウスよりも小型のコンパクトなボディで、どこにでも設置できます。AiスピーカーとはWi-Fiで繋いで使用します。アプリの設定により、Amazon EchoともGoole Homeとも連携することができます。

(右がRS-WFIREX3、左がマウス)

スマホに「家電リモコン」というアプリを入れ、ユーザー登録をして、利用する製品を選択し、Wi-Fi接続を設定します。「家外での使用を有効」にすると、外出先からWiFiを通じて、宅内の機器をリモートコントロールすることができます。

次に、コントロールしたい家電製品を選択します。「テレビ」「レコーダー」「エアコン」「照明」「AV機器」「扇風機」「掃除機」など、さまざまな機器を選ぶことができます。

テレビのスマート・コントロール

テレビなどは、かなり多くの製品に対応していますが、照明やその他の家電製品については、対応している商品はあまり多くないというのが実態です。私の自宅にある機器で、このスマートコントローラに対応していたのは、テレビとエアコンだけでした。この2つについて、実際にAiスピーカーを使って、テレビとエアコンの操作を音声だけで操作してみました。

(テレビを操作するためのスマホ上のソフトリモコン画面)

スマホにインストールされたソフトリモコンが正しく操作できるか確認します。その上で、このリモコンとAmazon EbhoやGoogle Homeとを連携させます。Amazon Echoの場合には、家電リモコン専用の「スキル」を有効にする必要があります。

テレビやエアコンのスイッチオン、オフだけでなく、音量・チャンネルや温度の変化をコントロールすsるためには、「カスタムスキル」を選択します。それから、「スマート家電コントローラ」のスキルを有効にします。これで、準備はOKです。

Aiスピーカーに向かって「エコー、家電リモコンでテレビのスイッチをつけて」と言うと、「テレビのスイッチを入れます」という答えとともに、テレビのスイッチが自動的にオンになります。消したいときは、「エコー、家電リモコンでテレビのスイッチを消して」というと、スイッチが自動でオフになります。チャンネルの切り替えもできますが、なかなかスムーズに反応してくれrません。また、地上波とBSの切り替えにも対応していないようです。スマホのソフトリモコンか実際のリモコンを操作するほうが、はるかに速いというのが実態です。音声によるリモコン操作はまだまだのようです。

エアコンのスマート・コントロール

次に、エアコンの音声操作に挑戦してみましょう。家電リモコンアプリのメニューで「家電製品の追加」を選びます。

メニューから「エアコン」を選び、メーカー、型番のリストを確認して、一致するものがあれば、それを選びます。私の家には、リストに載っている機種が一つだけありましたので、それを使って音声操作を実行してみました。スマホの画面には、操作用のソフトリモコンが表示されます。このリモコンを使って、実際にオン、オフなどができることを確かめます。

問題がなければ、このリモコンを登録します。すると、下の画面のように、テレビとエアコンのマークに「A」というマークがついて表示されます。これはAmazon Echoが家電のスマートリモコンとして登録されたことを示しています。

これで準備が整いました。「エコー、家電リモコンでエアコンをつけて」というと、エアコンのスイッチが自動でオンされます。消すときは、テレビと同様の操作で実行できます。また、「エコー、家電リモコンでエアコンの温度を25度にして」といえば、25度に温度を変更してくれます。エアコンの場合には、夏の暑いときや、冬の寒いときなどに、外出先から帰ってくるとき、事前に戸外からエアコンのスイッチオンや温度設定ができるので、とても便利な機能だと思います。

Google Homeによるスマートホームの操作も、基本的にはAmazon Echoとほぼ同じです。1台のコントローラで、GoogleとAmazonの2つを同時に登録して使用することができます。Google Homeを追加するには、アプリメニューの「Goodleアシスタントの設定」を選択します。

次に、「カスタム」を設定し、Google Homeを有効化します。

Google Homeを家電リモコンのアプリに登録すると、画面の家電マークに「G」の印が新たに加わります。これで、テレビがふたつのAiスピーカーと連携したことが分かります。

ただし、Amazon EchoやGoogle Homeの場合には、音声指示のとき、必ず最初に「エコー(またはアレクサ、OK Google)、家電リモコンで・・・」という呼びかけのキーワードを入れなければ動作しないので、面倒です。また、対応する家電製品がきわめて限られているため、「スマートホーム」を実現するには、家電製品の大幅なリニューアルを必要とするという問題があります。スマートホームにはほど遠いというのが現状でしょう。

照明のスマート・コントロール

部屋の照明の自動オン・オフ

「スマート家電コントローラ」では、テレビ、エアコンの他、照明、掃除機など、多くの家電製品がスマート・コントロールできる機器としてリストアップされていますが、例えば照明にしても、私の家にある照明器具には対応していませんでした。機種、型番を選ぶようです。これでは、わざわざコントローラに合う器具を新たに買い足す必要があり、不便です。

その点では、linkedJapanから発売されているeRemote mini(定価6287円)は、赤外線リモコンのついた家電製品なら、エアコン、テレビをはじめ、多くの製品に対応しており、Amazon Echoと連携して、音声だけでスマートに家電製品をリモートコントロールすることができるので便利です。

私の場合は、寝室にコントローラを置き、照明のオン、オフ、明るさの調整を音声コマンドでできるようにしました。その手順は次の通りです。

①eHomeアプリのインストールと登録
 まず、スマホに「eHome」アプリをインストールします。

②デバイスの追加
次に「デバイスを追加」で、eRemote miniを追加します。このとき、eRemoteとWiFiの接続を行い、本体をネットワーク接続できるようにします。WiFi接続で若干手間取ることがありますが、辛抱強く設定を繰り返すと、接続できるようになると思います。詳しくは説明書をごらんください。

③コントロール対象の家電の選択
本体の設定が終わると、次はコントロールしたい家電を選択します。私の場合は、照明をコントールしたいので、「照明」を選びました。


④照明をコントールしたい部屋の選択
次に、どの部屋の照明をコントロールするかを選びます。私の場合は、「寝室」に設定しました。


⑤リモコンスイッチの学習
次に、照明用のリモコンを手にとり、操作したいボタン(例えば、スイッチのオンやオフ)を押して、ソフトのリモコンに学習させます。学習ができたかどうか、ソフトのリモコンスイッチを押して確認します。この学習操作を、「スイッチオン」「明るくする」「暗くする」「スイッチオフ」の4種類繰り返します。これで、eHomeでの作業は終わりです。

⑥Amazon Echoのスキルのインストール

LinkedJapan eHomeのスキルをインストールし、有効にします。このあと、必ず、「エコー(またはアレクサ)、デバイスを探して」と呼びかけてください。すると、「検出を開始します」と回答があり、しばらく待っていると、「照明という新しいデバイスが見つかりました」という回答が来ます。これで、音声だけで照明をコントールすることができるようになります。

「エコー、照明をつけて(またはON)」というと、自動的に照明をつけてくれます。「エコー、照明を消して(またはOFF)」というと、照明を消してくれます。また、設定により、照明を明るくしたり、暗くしたりという操作も自動でしてくれます。ベッドで横になっているときや、リモコンが手元にないとき、あるいは、帰ってきたばかりで、玄関から声をかけるだけで、照明のオンオフができるのは便利なものです。戸外からも照明操作できるので、防犯的な機能も果たしてくれます。

ベッドライトの自動オン・オフ

部屋全体の照明をAiスピーカーで自動オン・オフできるのは便利ですが、さらに便利だと思うのは、ベッドサイドにおいたスタンドの照明をAiスピーカーで自動的にオン・オフすることです。とくに、寝る前にベッドに横になって読書をしているうちに眠っても安心なように、Aiスピーカーをベッドサイドライトとつないでおき、「Alexa、30分後にスイッチオフ」と指示するだけで、Alexaが30分後に消灯してくれたら、さぞかし便利ではないでしょうか?

どうすれば、それが実現するか、いろいろと考えたあげく、Aiスピーカーに対応したスマートソケットをコンセントにさし、そこにベッドサイドライトをつないでおけばいいことに気づきました。ただし、最近のベッドサイドライトは、USBケーブルで充電してくれるものが多く、また、灯りがオンになっている状態で電源を切ると、オフの状態に戻ってしまう機種がほとんどでえす。これだとAiスピーカーでスマートプラグのオン・オフを自動で行っても、ライトのほうがこれに連動してくれません。

そこで、電気店でいろんな機種を実際にためした結果、Panasonic製のSQ-LD222というLEDライトがオン・オフも単純で行けそうだということがわかりました。スマートソケットは、Amazon Echoに対応し、スマホのアプリでカスタマイズもできるGeekbesの製品を採用することにしました。

まず、スマートソケットをコンセントにさし、専用のアプリでWi-Fiに接続します。それから、Amazon Echoの「スキル」を有効にして、Amaon Echoでこのソケットのオン・オフをリモートコントロールできるようにします。

あとは、Amazon Echoのスピーカーに向かって「デバイスを探して」といえば、このスマートソケットを探してセットアップしてくれます。デバイス名も分かりやすいように「スイッチ」とつけ替えました。あとは、ライトをこのソケットにつないで、「Alexa、スイッチをオンにして」といえば、自動的にライトがつき、「Alelxa、スイッチをオフにして」といえば、自動的に消灯します。「Alexa、30分後にスイッチをオフにして」といえば、「はい、30分後のスリープタイマーを開始します」という答えが返ってきます。しかし、残念ながらこのタイマー機能は使えませんでした。このスマートソケットは、タイマーには対応していないようです。他の方策を考えなければいけないようです。このソケットは残念ながらGoogle Homeに対応していませんでしたが、Google Homeに対応した製品があれば、それも試してみたいと思います。スマートソケット一つとっても、Aiソケットによる制御は、なかなか思い通りにはいかないところが問題です。

ただし、タイマー機能のついたスマートプラグもあるようなので、Google Homeにも対応した別の製品を使って、再チャレンジしたいと思います。

(PANASONIC製のスタンド。機能がオン・オフだけの単純なのでECHOの制御に最適)


(ロボット掃除機「ルンバ」のおまけについてきたAMAZON ECO DOT。
GOOGLE HOME MINIよりも小さい)

スマートホームはシニア層にとって福音となるか?

けれども、スマート・ホームが実現しても、果たしてそれがシニア層にとって福音となるかどうかは疑問だと言わざるをえません。むしろ、逆効果になる恐れさえあります。

第一に、高齢者は、ただでさえ忘れっぽくなっているのに、Aiスピーカーにひとことふたこと声をかけるだけで、何でもやってくれるようになったら、まずます物忘れはひどくなるだろうということです。リモコンの操作もできなくなってしまうかもしれません。

第二に、高齢者はことばの発音が若い人に比べると不明瞭なため、Aiスピーカーに誤った情報が伝わり、望む動作をしてくれなかったり、危険な動作をして、それが事故につながる危険もあります。

第三に、Aiスピーカーとのコミュニケーションに没入するあまり、他の家族とのコミュニケーションが減ったり、軋轢を生むことも起こりえます。実際、私などは、Aiスピーカーに向かって、「ねえ、Google、、、」と繰り返し呼びかけていると、妻が私に向かって「ねえ、Google。いい加減にしてよ」と嫌みを言うこともあります。Aiは家族から必ずしも歓迎される存在ではないことを肝に銘じるべきでしょう。

Aiのテクノロジーは、日々進化しつづけています。これからも、Aiスピーカーと付き合いながら、その成長を見守ると同時に、それが引き起こす問題点なども引き続きウォッチしていきたいと思います。

次回の予告

次回のブログは、いよいよスマートホームの「真打ち」、ロボット掃除機「ルンバ」の登場です。

お楽しみに!

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