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Aiスピーカー大研究:スマートホームはシニアにとって福音となるか?

 

Aiスピーカーの話題で盛り上がる

先週、高名なAi評論家であり、筆者の畏友でもある長谷川文雄さん(明大教授)と松山の日本食料理店「和敬」(ミシュランの三つ星店)で会食しました。そのときに盛り上がった話題の一つが、Aiスピーカー「Google Home」でした。長谷川さんによれば、Google Homeはディープラーニングで、登録した人が声で呼びかければ、なんでも答えてくれるし、テレビやエアコンの操作などもやってくれる、すばらしいAi機器だというのです。

そういえば、Google Homeというのは最近よく聞く名前だなーくらいしか知識がなかったのですが、彼の話を聞くと、とたんに生来の新しモノ好きの血が沸いてきました。そういえば、20年近く前、共同研究をしていた折りに、Appleから発売されたばかりのiPodを見せていただき、小さな筐体に何千曲もの音楽が入っているんだといって、私たちをびっくりさせたことを思い出しました。あれから20年、いまやだれでも小さなスマホやiPod、ウォークマンに数千曲も入れて持ち歩く時代になりました。きっと、Aiスピーカーも、これから10年もたてば、だれもが家庭に1台以上もつ時代になることでしょう。

Amazon EchoとGoogle Homeをゲットしてみた

というわけで、家に戻った私は、さっそくアマゾンのサイトで、関連Kindle書籍を購入して研究を始めました。その結果わかったのは、現在のところ、Aiスピーカーでもっとも進んでいるのは、Google HomeとAmazon Echoだということでした。そこで、さっそくAmazon Echoを注文すると同時に、TsutayaからGoogle Homeを1週間864円でレンタルすることにしました。Google Homeをレンタルにしたのは、価格が15000円と高いことと、Google Home Miniとどちらにすべきか迷ったからです。

その後、Google Homeは音質の点でAmazon Echoよりも劣ること、Google Homeを外部のBluetooth スピーカーとつないで、高音質で再生することができることを確認したため、低価格のGoogle Home Miniでも十分であることがわかり、Google Home Miniを追加注文しました。現在は、Amazon1台、Google2台が手元にあります(Google Homeは近く返却する予定)。これらに加えて、去年購入したBluetoothスピーカーのBose SoundLink Revolveがあり、これがわが家のAiスピーカーシステムを構成しています。さらに、スマートホームを実現するために、ラトック社のスマート家電コントローラ「RS-WFIREX3」を導入しました。

以下では、Amazon Echoと Google Homeを1週間使った結果わかった、Aiスピーカーの使い心地、両者の優劣比較、スマートホームの将来的可能性、とくにシニア層に対するプラス、マイナスのインパクトを予測したいと思います。

Aiスピーカーで音楽をリクエストする

Aiスピーカーといえば、「Google今日の天気は?」「Alexa今日のニュースは?」といった、音声のやりとりを真っ先に思い浮かべますが、私が日常的に一番よく利用するのは、音楽のリクエストです。また、この点で、GoogleとEchoの間には、サービス面でいろんな違いがあり、複雑な操作も必要とするため、音楽再生の機能をまずは取り上げて、その使い勝手や両者の優劣を比較してみたいと思います。

Google Home (Mini) の音楽再生機能

Goole Home (Mini)で音楽をリクエストするには、あらかじめスマホアプリでGoogle Play MusicかSpotifyに登録しておくことが必要です。そうでないと、Google Homeに「ショパンを聴きたい」とリクエストしても、なんの反応もありません。Apple MusicやAmazon Musicに加入していても、残念ながらGoogle Homeは受け付けてくれません。私自身、Google Play MusicやSpotifyには入っていなかったため、急遽この二つのサービスに登録することにしました。両者とも無料で登録することは可能ですが、聴ける曲数が限られています。Spotifyの場合には、シャッフル再生しかしてくれません。

よく調べてみた結果、Spotifyは月額980円で4000万曲の音楽を聴ける上、自動で「歌詞」をつけてくれることがわかりました。これは、とくに英語やフランス語の歌を聴くときに、大いに助かる機能です。また、Spotifyは、洋楽だけではなく、JPop、演歌、歌謡曲など邦楽も最近では充実していることもわかりました。そこで、これまで加入していたApple Music(月額980円)を解約して、かわりにSpotifyの有料プランに乗り換えることにしました。Apple Musicを解約しても、iTunesに入れていたCDの楽曲はそのまま使えますので、とくに不便はありません。また、iTunesに入れた音楽をSpotifyにアップロードすることもできます。(ただし、Spotifyに入れたiTunesの音楽は、現在のところGoogle Homeでは利用できないようです)。

もう一つの音楽聴き放題サービスのGoogle Play Musicですが、こちらも月額980円で約4000万曲が聴き放題になります。しかし、Spotifyと一緒に加入するのはお金の無駄です。調べてみると、Google Play Musicの場合は、無料会員でも、iTunesの音楽をアップロードして、「プレイリスト」に入れることによって、Google Homeのリクエストに応えて再生してくれることがわかりました。しかも、Google Play Musicはクラウドのサービスで、iTunesからアップロードした楽曲は、端末ではなく、クラウドに保存されるので、端末の容量を圧迫しません。これは驚きの機能です。Apple Musicの場合には、iTunes Matchという有料(月額約400円)のサービスに加入しないと、CDの楽曲をクラウドに保存してくれないのです。したがって、通常はiPhone端末上でミュージックがかなりの容量を占め、これがやっかいな問題となっていました。それが、無料のGoogle Play Musicに移行することによって、端末の容量を大幅に減らすことができるのです。まさに、一石二鳥ですね。

これで、Google Homeで音楽を聴ける環境が整いました。現時点でリクエストできるミュージック情報源は、SpotifyとGoogle Play Musicの二つです。この他にも、「うたパス」がGoogle Homeに対応していますが、前記2つのサービスと重複するので、入ってはいません。YouTubeも対応しているようですが、テレビ画面の前にいないと意味ないので、これも今回の評価からは除外します。

それでは、Google Home Miniに音楽をリクエストしてみましょう。Google Home Miniにリクエストするには、「OK Google! ○○して」または「ねえ、Google! ○○して」と呼びかけます。音楽の場合、例えば、「ねえ、Google ショパンを聴かせて!」と言うと、「Play Musicからフレデリック・ショパンです」という答えがあり、ショパンのピアノ曲が流れ始めました。SpotifyよりもGoogle Play Musicのほうが優先的に選ばれますが、これはアプリの設定で「デフォルトの音楽プロバイダ」をGoogle Play Musicに指定しているからです。実際、アプリの設定でSpotifyをデフォルトに指定し直すと、「Spotifyでフレデリック・ショパンを再生します」となります。私の場合は、「Play Musicで○○を聴かせて」というよりも「Spotifyで○○を聴かせて」と言った方が簡単なので、デフォルトはGoogle Play Musicにしています。

さきほども書いたように、Google Play Musicは、iTunesに入っているCDの楽曲をアップロードして、「プレイリスト」にまとめることができるので、ふだんよく聴くCDの楽曲をプレイリストに入れ、Google Homeにリクエストすることができるので便利です。例えば、私はカラヤン指揮のCD音楽を600曲もiTunesに入れていますが、この中から特にお気に入りの数十曲を選んで「カラヤンベスト」というプレイリストを作りました。Google Home Miniに「ねえ、Google カラヤンベストを聴かせて!」と呼びかけると、BOSEのBluetoothスピーカーから、「レ・シルフィード」の美しい調べが流れてきました。心癒やされるひとときの始まりです。Google Play Musicでは、プレイリストに入った曲の順序を自由に変えられます。また楽曲の追加削除も自由にできるので便利です。

リクエストは、「プレイリスト」だけではなく、個別の楽曲名を指定することもできます。例えば、「ねえ、Google、 Yesterday Once Moreを聴きたい」とリクエストすると、「カーペンターズのYesterday Once Moreですね。プレイミュージックから再生します」という前置きのあと、リクエストした曲が流れてきます。これは本当に凄い! 「ねえ、次の曲を聴かせて」と言うと、プレイリストやアルバムの次の曲を再生してくれます。

私は眠る前のひととき、好きな音楽を聴く習慣があります。けれども、音楽をとめるタイミングで悩んでいました。それをGoogle Homeが解決してくれました。「ねえGoogle、30分後に音楽をとめて!」と言うと、「はい、30分後に再生を停止します。」と答えて、その通りに30分後に音楽が自動的に停止するからです。これで、快眠が約束されます。ただし、翌朝7時に快い音楽で目覚めたいと思っても、Google Homeは残念ながらこのような音楽目覚ましリクエストには応えてくれません。「ねえGoogle、明日の朝7時に起こして!」というリクエストに、「7時にアラームをセットしました」と応えるのが限度のようです。これはぜひ改善してほしいところです。

また、音楽をリクエストしても、必ずしも正しく曲を選んでくれるとは限りません。「聞き違い」「理解できない」といったケースも少なくありません。ゆっくりと明瞭な発音でリクエストすることが必要なようです。これは、現時点のAiスピーカーの能力の限界を示しているようです。繰り返すことで、学習するようですから、そこは我慢強くつきあうことが必要でしょう。

Google HomeかGoogle Home Miniか?

ここまで、Google HomeとGoogle Home Miniを区別せずに説明してきましたが、実際、スピーカーを別にすれば、両者の間の性能にまったく違いは認められませんでした。しかも、スピーカー機能にしても、Google Homeは設定によって外部のBluetoothスピーカーに音楽再生させることができます。したがって、もし私のように、すでに高音質のBluetoothスピーカーを持っている場合は、Google HomeではなくGoogle Home Miniを選択するのが正解だと思われます。(のちほど述べるように、Google Homeスピーカーの音質は、これよりも低価格のAmazon Echoよりも劣っているように私には感じられます。)価格も、Google Homeが15000円もするのに対し、Google Home Miniは、最安で3980円から手に入れることができます。実際、私は価格.COMで値段が安くて送料無料、返品可能な業者として、ABC電機を選び、4403円(税込み)で購入しました。幸い、銀行振り込みからわずか2日後には欠陥のない新品が配達されました。同じ銀行間の振り込みのため、手数料もかからず、いい買物ができました。

 

届いたGoogle Home Miniは予想以上に小さくて可愛らしいボディで、この小さな筐体にスマートな「頭脳」が詰まっているかと思うと、いっそう愛着がわいてきます。下の写真にみるように、大きさは、マウスより一回り大きいだけの超コンパクトボディです。場所もとらないので、大変便利です。

Amazon Echoの音楽再生機能

次に、Aiスピーカー市場でシェアNo.1を誇るAmazon Echoを取り上げ、その音楽再生機能を評価したいと思います。

まず、Aiスピーカーへの呼びかけの仕方が、Google Homeとはかなり異なっています。Google Homeのばあいは、「Ok Google!」または「ねえ、Google」と言ってからリクエストを出していましたが、Amazon Echoの場合は、Alexa、Echo、Amazonのいずれかの名前をいきなり呼んでからリクエストを出すことができます。先の3つの名前は、スマホのアプリで事前に一つだけ選択して登録しておきます。Googleよりも呼び名の選択肢が広いので、自分に合った呼び名を選ぶことができるので便利です。デフォルトの呼び名はAlexa(アレクサ)ですが、これだとなんとなく呼びづらいので、私の場合はEchoという名前に変更して使っています。たとえば、「エコー、今日の天気は?」といった具合です。本当は、もっと好きな呼び名を選択できるようになるといいと思うのですが。例えば、自分の妻や恋人の名前、亡くなった配偶者の名前などをつけることができれば、Aiスピーカーがもっと親しい存在になると思うのですが、、、

ともあれ、音楽再生の場合は、この呼びかけ以外には、Google Homeとほとんど違いはありません。「エコー、バロック音楽を流して」といえば、Amazon Echoは「アマゾンミュージックのバロックステーション、バロック」と答えて、バロック音楽を再生してくれます。Amazon Echoが再生してくれる音楽は、Amazon Musicに登録されている楽曲だけに限られています。したがって、Google Homeの場合と同じように、ユーザーはAmazon Musicにあらかじめ登録していなければなりません。

Amazon Musicに加入するには、Amazonプライム会員になってPrime Musicを追加料金なしで聴くか、または月額980円でAmazon Music Unlimitedに加入して、4000万曲の音楽を聴くか、いずれかを選ばなくてはなりません。プライム会員になるには、月額325円を払う必要があります。Prime Musicの曲数は100万曲ですから、少々物足りません。プライム会員になれば、月額780円でUnlimitedの会員になることができます。さらに、Amazon Echoの所有者は、月額380円でunlimitedの4000万曲を聴くことができます。ただし、このEchoプランでは、再生できる端末はAmazon Echoに限定されます。

私の場合は、Amazonのプライム会員なので、Prime Musicが聴けます。それに加えて、Echoプランに加入したので、月額380円を追加で払っています。再生できるのはAmazon Echoだけですが、スマホについては、Google play MusicやSpotifyで4000万曲以上聴くことができるので、とくに不便は感じません。宅内でのスマート音楽環境は、Google HomeとBOSE Soundlink Revolveを書斎のデスクに置き、Amazon Echoをリビングルームのテレビ台に置いて楽しんでいます。幸い、Amazon Echoのスピーカーの音質はGoogle Homeよりもいいので、Bluetoothスピーカーに飛ばす必要も感じません。

(テレビ台の上にAmazon Echoとスマート家電コントローラを置いたところ)
音楽のリクエストに対して、いかに的確に答えてくれるかは、それぞれのAiの性能にもよりますが、音楽サービス側でのキュレーションの質にも左右されるような気がします。例えば、「お休み前のリラックス音楽を流して」と呼びかけると、Google Homeでは、Spotifyからリラックスできるような音楽を流してくれます。Google Play Musicにはそのようなプレイリストは用意されていないようです。Amazon Echoだと、「寝る前のクラシック、チェロ楽曲」を選定して流してくれました。Echoの選曲が私にはぴったりでした。こうした選曲は、ミュージックサービス側が、いかにして多様なプレイリストを用意しているかに大きく依存しているのではないでしょうか?ユーザーとしては、自分に合ったプレイリストを作成してくれるサービスを選ぶことが必要になるかもしれません。

なお、Amazon Echoの場合にも、「エコー、30分後に音楽をとめて」というリクエストには応えてくれますが、「あすの7時に音楽をかけて」というリクエストには応えてくれませんでした。残念です。また、iTunesに入れてあるCDなどの保有楽曲をアップロードしてプレイリストにしてEchoで流してくれる機能は、Amazon Musicにはありませんでした。オフラインのプレイリストは作成できるのですが、Ecoを通じてこれをリクエストすることはできないようです。したがって、iTunesに保存したCD楽曲のスマート再生は、Google play Musicに頼るほかはないようです。

ただ、Amazon Music Unlimitedは4000万曲と多い上、じぶんでプレイリストをつくるのも簡単ですから、暇を見つけてプレイリストを少しずつ増やしていくのも、一つの楽しみといえるかもしれません。

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