Coffee & Book on the Table(Pixabay)

OneNote活用術

検索可能なデジタル・スクラップブックをEvernoteとOneNoteで作成する方法 
ーデジタル時代の「知的生産の技術」(完結!)ー

はじめに

今、世界中のサーバー、電子デバイス上に蓄積、保存されているデジタル情報は、ほとんんど無限に近くあります。それらは、世界中の人々が作り出す知識、ニュース、情報の集まりであり、人々の生活、人生において重要な「知」というリソースの一部分を構成しています。これらの「知」を検索し、取り入れ、解釈し、整理し、保存し、若干の新しい情報を付け加えることは、人間の生活を維持し、クオリティを高める上で重要な知的「代謝活動」ということができます。あるいは、これらを総称して、かつて文化人類学者の梅棹忠夫氏が唱えた「知的生産の技術」といえるかもしれません。現代では、その大部分が、「デジタル情報」を用いて行われている点が、かつてとは大きく異なっているところです。

いま注目される「デジタル・スクラップブック」

ここ数年、「Webページ」に加えて、「電子新聞」「電子雑誌」「電子書籍」など、従来は紙の出版物でしか入手できなかったコンテンツが、デジタル化された形で、PC、タブレット、スマホなどの電子デバイスで低廉な価格で提供されるようになりました。

それとともに、「朝日新聞デジタル」などにみられるように、従来の新聞紙の「スクラップ記事」をデジタル化した電子「スクラップ機能」(最大5000件)とか、電子雑誌や電子書籍の「ダウンロード」機能は、ある意味で「デジタル・スクラップブック」といえないこともありません。

けれども、こうした機能は、記事やページなどをクラウドやストレージに保存するだけで、自分の目的に合った情報を体系的に整理し保存するという本来の意味の「スクラップブック」とは異なるものです。

そこで、いくつかのサイトで提案されているのは、EvernoteやOneNoteなどの情報整理・保存用のアプリを活用して、デジタル・スクラップブックを作成するという方法です。本サイトでは、これらのサイトを参考にしつつも、「検索可能な形でWebページ、電子書籍、電子雑誌、電子新聞の情報をEvernoteやOneNoteに取り込み、もっとも効率的かつ汎用的な方法でデジタル・スクラップブックを作成する」方法を提案したいと思います。利用するアプリ(またはソフト)は、主としてWindows10に対応したEvernote、Adobe Acrobt Pro DC、Web ClipperなどのChrome拡張機能、およびOneNoteです。

 

WebページをEvernoteやOneNoteに取り込む方法

WebページをPDFファイルに変換する方法

Chromeブラウザで、WebページをPDF変換する方法はいくつもありますが、ここでは一番簡単な方法を使ってみましょう。

Chromeブラウザにはいろんな「拡張機能」が用意されています。そのほとんどは無料です。ここでは、WebWebページをまるごとキャプチャしてくれるツールFull Page Screen Captureを使ってみます。これをインストールするには、chromeウェブストアのページを開き、検索ボックスにfull page screen captureと入力します。すると、この拡張機能がリストアップされるので、「Chromeに追加」ボタンを押します。Chromeブラウザの上部メニューに 拡張機能のアイコン が表示されれば、OKです。

次に、Screencapture拡張機能を使って「朝日新聞デジタル」のWebサイトの記事をPDFファイルに変換してみましょう。

Chromeブラウザで「朝日新聞デジタル」のページにアクセスします。この状態で、上部メニューから (Full Page Screen Capture)のアイコン  をクリックします。すると、ページ全体をキャプチャーすることができます。

そこで、画面右上のメニューから「PDF」アイコンをクリックすると、キャプチャーした画面がPDFファイルとして保存されます。

WebページをワンタッチでEvernoteに取り込む方法

同じく、Chrome拡張機能を使えば、Webページの内容をまるごとEvernoteに「ノート」として取り込むことができます。それが、Evernote Web Clipperです。

Chrome ウェブストア - 検索結果
Chrome ウェブストア - 検索結果

ブラウザに新機能を追加して、ブラウジング環境をカスタマイズできます。

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Chromeに追加ボタンをクリックすると、Web Clipperがインストールされ、ブラウザ上部のメニューにアイコンが追加されます。

取り込みたいページで、上のアイコンをクリックすると、望みのノートブックに新しいノートとして取り込むことができます。

取り込み方法は、画面右の黒いメニュー画面で指定することができます。クリップの形式は「記事」「簡易版の記事」「ページ全体」「ブックマーク」「スクリーンショット」から選べます。記事全体を保存する場合は、容量を節約する意味でも、「記事」とするのがふつうです。広告など余計な部分はカットされます。保存先としては、すでに作ったノートブックから選びます。ここでは、朝日新聞の記事なので、「朝日新聞」のノートブックを選択しています。タグをつけておくと、あとで検索するのに便利です。ここでは、記事の内容から「消費税」というタグ名をつけています。複数のタグを指定することもできます。指定が終わったら、上の「クリップを保存」ボタンを押すと、Evernoteの指定したノートブックに、新しいノートとして保存されます。このような簡単な操作でスクラップブックができます。

取り込んだ画面をEvernoteで見ると、下のようになっています。見出しの日付は、取り込んだあとに入力しました。文字検索もきちんとできる形で保存されています。スクラップブックとして十分使えそうですね。実際、WebページをEvernoteに取り込んだ画面は、もとのWebページとほとんど同じであり、次に述べるOneNoteのWeb Clipperよりもはるかに優れています。この機能を「Webページのスクラップブック」づくりに活用しない手はありません。

 

WebページをワンタッチでOneNoteに取り込む方法

続いては、保存しておきたいWebページをワンタッチでOneNoteに取り込む方法の紹介です。といってもやり方はEvernoteの場合とほとんど同じです。やはり、Chrome拡張機能にあるOneNote Web Clipperをインストールするだけです。下のリンクをクリックしてください。

Chrome ウェブストア - 検索結果
Chrome ウェブストア - 検索結果

ブラウザに新機能を追加して、ブラウジング環境をカスタマイズできます。

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Chromeに追加ボタンをクリックすると、Web Clipperがインストールされ、ブラウザ上部のメニューにアイコンが追加されます。

試しに、次の日経電子版の記事をクリッピングしてみたいと思います。

Chromeブラウザの右上にあるOneNoteクリッパーのアイコンをクリックします。すると、下のように、OneNoteで取り込む画面が表示されます。選択対象は、「ページ全体」「領域」「記事」の中から選択できます。ここでは、「記事」を選択してみたいと思います。また、取り込む「場所」は、OneNoteの「ノートブック」または「セクション」を指定できます。ここでは、あらかじめ作っておいた「電子新聞」を選択してみます。最後に「クリップ」ボタンをクリックすると、自動的にこの記事がOneNoteの指定した場所にクリップされます。

OneNoteを開いてみると、テキストはきれいに保存されていますが、写真が保存されていません。

そこで、今度は選択範囲を「ページ全体」にすると、下のように、本文と写真を含めたページ全体をOneNoteに保存することができました。

ただし、残念ながら保存されたファイルは、検索可能なテキストファイルやPDFファイルはなく、画像イメージに変換されています。このままでは、文字検索は難しそうです。画像ファイル内のテキストをEvernoteやOneNoteで検索する方法については、後ほど改めて検討したいと思います。

とりあえず、文字検索が簡単にできるような形で保存するには、「記事」を指定してテキストだけを保存したあと、もとのWebページ内の写真をコピペしてOneNoteに保存することにします。方法は、もとの画像にマウスオーバーして、右クリックし、「画像をコピー」を選びます。次に、OneNoteの写真を入れる枠を削除した上で、マウスを右クリックし、「貼り付け」⇒「図」を選択すれば、OneNoteに写真が挿入されます。下の画像は、このようにしてテキストと写真からなる新聞記事を保存した結果です。ちょっと手間ではありますが、検索可能なテキストと鮮明な写真からなる美しい記事スクラップを作成することができました。OneNoteの場合、タイトルに記事見出しが自動的にペーストされるので便利です。

ただし、EvernoteのWeb Clipperと比べると、目次が取り込まれない、動画が再生できない、など劣っている面が少なくありません。Evernoteとの併用が望ましいところです。

 

電子新聞の「スクラップ」機能と比較してみると、「朝日新聞デジタル」では、有料会員に対して「スクラップ記事作成」のサービスを提供してはいるものの、スクラップできる本数が制限されている上、他の新聞と合わせた記事検索ができません。その点でいえば、EvernoteやOneNoteで複数の新聞を対象にWeb Clipperでスクラップを作成すれば、本数の制限なしに、複数の新聞にまたがった記事検索が自由にできますので、はるかに利用価値は大きいのではないかと思います。

「OneNote2016」だけにある便利な画面取り込み機能

最後に、Windows PC専用の「OneNote2016」だけで使える、便利な画面取り込み機能をご紹介します。Windows PCをお使いの方は、ぜひ最新の「OneNote」に加えて、いまはプログラム更新をストップしている「OneNote2016」をインストールしておくことをおすすめします。というのは、OneNoteにはない便利な機能がいくつもあるからです。両方のソフトは互換性がありますから、どちらかのソフトで情報を更新すると、自動的にもう一つのソフトにも情報が反映されます。

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  1. 電子雑誌の「デジタルカメラマガジン」の1ページをコピーしたいばあい、まずOneNoteを開き、「デジタルカメラマガジン」のページに「新規ページ」を作成しておきます。
  2. Webブラウザで、例えば「楽天マガジン」のページを開き、「デジタルマガジン」誌のコピーしたいページを開いておきます。
  3. OneNote2016の「挿入」メニューから「画面の領域」をクリックします
  4. Webブラウザを開き、取り込みたい部分を「範囲指定」します
  5. OneNoteの新規ページに、画像が取り込まれます

1.OneNote2016を開く

2.Webブラウザに雑誌のコピーしたいページを開いておく

3.OneNote2016で挿入する「画像の領域」をクリック

4.Web画面を開き、取り込みたい領域を指定する

5.OneNote2016の新規ページに、画像がコピーされる

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