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Photoshop写真レタッチ術(2019年版)#1 新規調整レイヤーの作成

写真を美しく見せるための技法

最近のカメラは大きく進化しており、レタッチしなくても十分に美しい画像が実現できます。それでもプロの写真家が見ると、レタッチすることによってさらに美しい写真に仕上げることができるようです。そんなプロカメラマンのPhotoshop活用テクニックを、「備忘録」の形でブログ上で公開したいと思います。これらのテクニックは、主に日頃NHK文化センターで指導していただいているプロカメラマンの高橋伸治先生と、プロ写真家によるPhotoshopレタッチ技法の教科書とから学んだもので成っています。実際のレタッチは、本ブログ運営者の撮った写真素材を用いてPhotoshop CCを使っておこないました。Before、Afterがよくわかるように、画像をたくさん使っています。

このブログは、あくまでも「備忘録」ですので、テーマはアットランダムであることをお断りしておきます。

使用するソフトは、Adobe Photoshop CC (2019年版)です。PCはiMacとMacbook Proを使用しています。

新規調整レイヤーの作成

プロの写真家はPhotoshopで写真のレタッチを行うときには、まず「新規調整レイヤーの作成」を行っています。ここから、色調の基本である「明るさ・コントラスト」「色相」「彩度」「明度」の調整を行うのです。

新規調整レイヤーを作成するには、2つの方法があります。1つ目は、画面上の「メニュー」から選ぶ方法です。もうひとつは、レイヤー画面から作成する方法です。

メニューから新規調整レイヤーを作成

上部メニューから「レイヤー」⇒「新規調整レイヤー」を選びます。レイヤーの種類には、「明るさ・コントラスト」「レベル補正」「トーンカーブ」「露光量」「自然な彩度」「色相・彩度」『カラーバランス」などがあります。

レイヤーパネルから新規調整レイヤーを作成

もうひとつの方法は、レイヤーパネルの「調整レイヤーの新規作成ボタン」をクリックし、調整レイヤーの種類を選択する方法です。

グラフィックアイコンの選択による調整レイヤーの作成もできます。

上のように、「色調補正」のアイコンをクリックすると、さまざまな補正のグラフィックアイコンが表示されますから、そのなかから自分のしたい補正のアイコンをクリックします。例えば、「色相・彩度」レイヤーのアイコンをクリックすると、写真レイヤーの下に、新規色相・彩度レイヤーがつくられます。

調整レイヤーを作成するには、メニューバーとレイヤーパネルのどちらか好きな方を選んでいただけます。

調整レイヤーとは?

それでは、調整レイヤーとは何でしょうか?その前に、「レイヤー」の基本をおさえておきましょう。

レイヤーとは

最近では、写真を取るというと、スマホで撮るのが一般的になっています。スマホの場合、撮った写真をレタッチするための編集アプリが最初から入っています。iPhoneを例にとると、「写真」アプリに高度の編集機能が備わっています。けれども、どのアプリも写真を直接レタッチすることはできても、レイヤーを操作することはできません。では、レイヤーを作成することはどのようなメリットがあるのでしょうか。

レイヤーとは、日本語では「層」という意味ですが、写真編集ソフトでは、透明のフィルムのように、見えない層をいくつも重ねられるものです。写真に文字を入れるとき、写真と同じレイヤーに入れてしまうと、あとで文字を取り除くことができなくなります。文字だけのレイヤー(層)をつくっておけば、写真と文字を切り離して編集することができます。

それぞれのレイヤーに対して、移動、変形、色調整、フィルタなどの加工を施し、効果をつけることができます。これら複数のレイヤーを合成することで、写真に思う通りのデザインを施すことができます。

調整レイヤーの作成

Photoshopでは、調整レイヤーを使うと、直接調整するよりも画像の編集をより詳細かつ柔軟に行うことができます。元の画像の色や色調を損なうことなく編集できるので、元の画像のピクセルを維持できます。調整がうまくいかなかったときは、調整レイヤーを非表示にするか破棄することで、元の画像に戻すことが簡単にできます。

また、調整レイヤーの効果は、そのレイヤーよりも下の層にあるすべてのレイヤー適用されます。それよりも上にあるレイヤーには適用されませんので、調整レイヤーの効果を適用させたくない画像やテキストは、上のレイヤーにおきます。

彩度のレイヤー作成

ふつう、スマホの写真をアプリで編集する場合、「明るさ」「コントラスト」「ハイライト」などで調整することが多いと思います。調整レイヤーでは「色相」「彩度」「明度」の3つのチャンネルで色調を調整します。プロカメラマンのお話によると、調整レイヤーでは、「色相」と「明度」には手を付けず、まず「彩度」だけで調整するといいそうです。「彩度」というのは色の鮮やかさのことです。性能のよいカメラで撮った場合でも、対象はしばしばくすんだ感じになってしまいます。そんなとき、Photoshopの新規色相・彩度レイヤーを作成し、「彩度スライダー」をドラッグすると、色の鮮やかさを思い通りに調整することができます。

上の写真は、パリのコンコルド広場で撮ったものです。画面右下には、「色相」「彩度」「明度」の3つのスライダーが表示されています。このうち、「彩度」のスライダーをドラッグすることによって、自然さを変えないままで、鮮やかさや空の青さなどを変えることができます。下の写真は、彩度を上げて、空の青さを強調したものです。逆に、スライダーを左側にドラッグすると、白黒写真に近いイメージ(グレースケール)になっていきます。

自然の彩度

新規調整レイヤーで「自然の彩度」を選択すると、写真の彩度をよりバランスのとれた色調で変化させることができます。決して派手になりすぎないように全体を鮮やかにしたい場合などに使うとよいでしょう。

上の写真は、「自然の彩度」が0の状態です。これを100まで上げたのが、下の写真です。花の色がより鮮やかになっていますが、決して色彩過剰にはなっていません。ちなみに、「彩度」だけを+100に上げると、下の写真のように、ケバケバしい色になってしまいます。赤の色もつぶれていますね。これは失敗です。

 

 

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