イギリス 2018年 ロンドン、パリ旅行 フォトエッセイ

セント・ジェームズ公園、「オフィーリア」、「王様と私」観劇

今日も充実した一日だった。美しい公園の散策、待望の名画鑑賞、渡辺謙の名演技などを心ゆくまで楽しんだ。

セント・ジェームズ公園の散策

ロンドンにはたくさんの公園があるが、セント・ジェームズ公園は、その中でももっとも古く由緒ある公園の一つだ。セント・ジェームズ・パークには小さな湖であるセント・ジェームズ湖があり、ウェスト島とダック島のふたつの島が浮かんでいる。後者の島の名前はこの湖の水辺に住むカモからつけられた。1664年にロシアの大使からチャールズ2世にペリカンが贈られており、それ以来ペリカンのコロニーが湖の大きな特色になっている。ペリカンの翼はほとんど刈り込みしてあるが、食べ物めあてにロンドン動物園まで飛んでいくペリカンが目撃されたこともある。湖にかかるブルー・ブリッジを中心にすると、西側には木立に囲まれたバッキンガム宮殿がある。また、湖を通して、東側のホース・ガーズ、旧戦争省、ホワイトホール・コートを遠くに見る景色は、おとぎの国のように美しい。

この公園も、野鳥が水辺でたくさん遊んでおり、市民が餌付けをしているせいか、人なつこい。餌付けを禁止する看板も効果はないようだ。

湖のほとりにある有名な「セント・ジェームズ・カフェ」(St James’s Cafe)では、さわやかな風を受けて朝食を楽しむ市民の姿があった。うらやましい!

公園を南西の端まで歩くと、グリーン・パークにつながり、バッキンガム宮殿に出ることができる。時間のある方は、バッキンガム宮殿に行く途中でこの公園の散策を楽しんでみてはいかがでしょうか?

名画「オフィーリア」を鑑賞

セント・ジェームズ公園で野鳥たちとしばし戯れたあと、メトロのCentral Lineに乗ってテート・ブリテンに来た。先日のハムレットの「悲劇」にケリをつける為でもある。そして、ありました!! ミレー畢生の名作「オフィーリア」。テー卜・ブリテンはナショナル・ギャラリーとは違って観客が少ないので、作品をゆったりと鑑賞することができる。水に静かに浮かぶオフィーリアを鑑賞するのに、これ程ふさわしい所はないかもしれない。こんなに有名な作品なのに、人だかりができていない。

おかげで、心ゆくまで撮影することができた。とくに印象に残ったのは、浮かんだ手の描写だ。まるで何かを訴えかけるかのような表情を見せていた。

絵の前では,子供たちが大きな画用紙を拡げて習作をしていた。他の美術館ではあり得ない光景だろう。

この美術館が、いつでも無料というのもすばらしい。

鑑賞後、ミュージアム・ショップで、「オフィーリア」関連のグッズを買い占めた。思い出づくりのため。マグカップ、ガイドブック、買い物手さげ袋。最後のは,スーパーで買い出しするのに重宝するだろう。こちらでは、自分で買い物袋を持ち込むのが流行っているようだ。どのスーパーにも、レジの近くにオリジナルバッグが種類も置いてある。

「王様と私」の観劇

午後は、Oxford CircusでAppleストアとPalladiumで過ごした。

Palladiumでは、渡辺謙主演の【王様と私】を観劇した。実は今回のロンドン滞在中、このミュージカルを観ることはまったく予定になかった。それが、レ・ミゼラブルで感動の余韻もさめない翌日のこと、地下鉄の通路を歩いていたとき、ふと壁を見ると、『王様と私』の宣伝ポスターに渡辺謙の大きな舞台姿があり、思わず「これを見なくちゃ」という思いに駆られただった。まさに、「セレンディピティ」とはこういうことを言うのだろう。ホテルに帰ると、さっそくウェブサイトで1階のI9という特等席を予約した。舞台のわずか2日前に、しかも夏期休暇中に特上席がとれたのは本当にラッキーだった。

午後1時すぎ、Palladiumに行ってみると、すごい数の観客が詰めかけていた。考えてみれば、Kelli O’Hara, Ken Watanabeをはじめとする、2015年オスカー受賞のブロードウェイ・オールキャストが、夏期の期間限定でロンドン公演をするというのだから、人気を集めないわけはない。その公演を見られたのは、まさに幸運としかいいようがない。

前夜、ホテルの部屋で、このミュージカルに関するウェブ情報を検索して、一夜漬けの予習をしておいたおかげで、劇のストーリーもしっかりフォローでき、十二分に堪能することができた。始まって少ししたところで、「あれっ、このプロットは『サウンド・オブ・ミュージック』に似ているな、という印象をもった。アンナが王様のたくさんの子供達の教育係として雇われるところから始まり、最初はいがみ合っていた二人が、次第に心を通わせ、親しくなっていくストーリー展開は、サウンド・オブ・ミュージックでマリアがトラップ大佐の7人の子供達の教育係として雇われ、はじめは険悪な関係にあったものの、次第に惹かれ合うようになる展開と酷似しているのだ。

と思って、プログラムを見ると、音楽をRichard Rodgers、歌詞と脚本をOscar Hammerstein IIが担当しているではないか。やはり私の受けた印象は間違っていなかった。実際、音楽や歌唱も、サウンド・オブ・ミュージックを彷彿とさせるものがあった。それを見事に歌い上げるKelli O’Haraの姿は、あのジュリー・アンドリュースと重なって見えた。Kelli O’Haraが格段に美しい容姿だということを別にすれば、、、。

渡辺謙は、歌唱力という点ではいま一つだったが、その演技力のすばらしさは群を抜いていた。その英語はもちろんネイティブのアメリカ人とは異質だが、語りと交えて絶妙な間の取り方、表情や仕草の見せ方の絶妙さで観客の心を捉え、随所で笑いを誘うその演技は、ハリウッド映画で多くの主演をこなしてきた日本人俳優でしかできない超人的なパフォーマンスといえるだろう。オスカーにノミネートされただけのことはある。彼に国民栄養賞を与えずしてどうするのだろうか?

舞台が終わったとき、会場総立ちのスタンディング・オベーションに応える渡辺謙の晴れやかな表情は忘れがたいものがある。私も、同じ日本人として誇らしい気持ちで一杯だった。3ヶ月にわたって、一人で毎日出演し続けるのは、58歳という年齢を考えると本当に大変だと思うが、ぜひ最後まで最高の演技をロンドンの観客に見せ続けていただきたいものだ。

The King and Iは、9月29日までの期間限定公演。Kelli O’HaraとKen Watanabeというドリーム・コンビによるオスカー・オールキャストによる公演は、これで最後かもしれない。

会場で求めたプログラムは、一生の記念に大切にとっておきたいと思う。

King and Iのオフィシャルサイトはこちら。

(「Kind and I」オフィシャルサイトより抜粋)

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