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中千本とは
奈良県・吉野山の桜を語る上で欠かせないのが、この中千本(なかせんぼん)エリアです。吉野山は標高の低い順に下千本、中千本、上千本、奥千本と呼ばれますが、中千本はその中でも最も華やかで、吉野らしい情緒を楽しめる場所と言われています。中千本は、吉野山の中心部に位置する標高約350m〜450mあたりのエリアです。
- 桜の種類: 約3万本と言われる吉野山の桜の多くは「シロヤマザクラ」です。ソメイヨシノよりも少し色が薄く、赤っぽい若葉と同時に開花するのが特徴です。
- 開花時期: 例年4月上旬〜中旬。下千本が散り始める頃に満開を迎え、山全体がピンク色に染まっていくグラデーションを楽しめます。
金峯山寺
金峯山寺(きんぷせんじ)は、奈良県吉野山のシンボルであり、ユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産のひとつです。一言でいうと「修験道(しゅげんどう)の総本山」であり、山岳信仰の聖地です。
国宝「蔵王堂(ざおうどう)」
金峯山寺の本堂である「蔵王堂」は、木造の古建築としては東大寺大仏殿に次ぐ日本で2番目の大きさを誇ります。高さ: 約34m。建築: 現在の建物は1592年(安土桃山時代)に再建されたもので、巨大な柱が林立する内部は息を呑むような荘厳さです。
青い肌の秘仏「金剛蔵王大権現」
蔵王堂の内部には、日本最大級の秘仏である金剛蔵王大権現(こんごうざおうだいごんげん)が3体安置されています。像高は約7m。全身が「慈悲」を表す深い青色(群青色)で彩られ、怒りの表情(憤怒相)を浮かべています。3体はそれぞれ「釈迦如来(過去)」「千手観音(現在)」「弥勒菩薩(未来)」が姿を変えて現れたものとされ、あらゆる時代の人々を救うと信じられています。
普段は扉が閉じられた「秘仏」ですが、春の桜や秋の紅葉の時期などに期間限定で特別公開されます(特別開帳)。
修験道の開祖「役行者(えんのぎょうじゃ)」
金峯山寺は、7世紀後半に伝説的な修行者である役行者によって開かれたと伝えられています。
彼は金峯山での過酷な修行の末、この「蔵王権現」を感得(その姿を目の当たりにすること)し、その姿を桜の木に刻んで祀ったのが金峯山寺の始まりとされています。
今でも日本全国から山伏(修験者)が集まり、険しい大峯山へと続く修行の拠点となっています。(以上、Geminiより)
七曲りの坂を登り終えると、両側にお土産屋さんやカフェなどのお店が並んだ通りに入ります。ここにあるのが、金峯山寺の黒門です。金峯山寺の黒門(くろもん)は、吉野山の玄関口ともいえる非常に重要な門です。観光客が下千本から歩いて登ってくると、最初に出迎えてくれる大きな門がこれにあたります。

黒門を通り抜け、しばらく行くと、右絵に石段があり、それを登ると、金峯山寺の境内になります。最初は、Facebook友達の勧めもあり、この蔵王堂の宝物を拝観しようかと思っていたのですが、拝見受付前には長蛇の列ができています。今回の目的は、世界遺産の見学ではなく、満開の吉野の桜を撮影することにあることを思い出し、金峯山寺の拝観はあきらめることにしました。これは、結果的には正解でした。というのは、旅行から帰還後に吉野のことを家族に話したら、NHKの「歴史探偵」の吉野山特集番組を見た妻が、金峯山寺はすばらしいからぜひ行ってみたいと言い出したからです。おかげで、近い将来、家族と一緒に金峯山寺など吉野の世界遺産の寺社をめぐる旅行をしようという話になりました。時期はたぶん、観光客でごったがえす桜の時期ではなく、紅葉のシーズンになるかと思います。
せっかくなので、立派な蔵王堂を背景にして満開の桜を撮影して、このお寺を後にしました。

吉水神社の「一目千本」
中千本のメインストリートに戻り、上り坂の通りをしばらく歩いていくと、今度は左手に「吉水神社」に至る参道があります。ここの急坂を登ると、吉水神社に至るのですが、その手前左に人だかりがしたので、のぞいてみると、遠くに大きな寺と美しい桜の見えるところがありました。遠くに見える大きな寺は、おそらく今訪れた金峯山寺の蔵王堂だと思われます。

吉水神社とは
世界遺産でもあるこの神社からは、中千本と上千本を一度に見渡すことができます。ここからの景色もまた「一目千本」として非常に有名で、多くの写真家が集まるスポットです。ここの境内が千本桜の絶好のビューポイントであまりにも有名なので、吉水神社自体はあまり知られていなかもしれないので、ここで、吉水神社について、簡単な説明をつけておきます(Geminiによる)。
もともとは「吉水院(きっすいいん)」という僧坊(修験者の宿舎)でしたが、明治時代の神仏分離によって神社となりました。現在は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一資産としても登録されています。
1. 歴史の表舞台としての「三つの顔」
吉水神社が「歴史の縮図」と呼ばれるのは、主に以下の3つの大きなエピソードがあるためです。
- 源義経と静御前の隠れ塔 兄・頼朝に追われた源義経が、静御前や弁慶と共に身を隠した場所です。二人が最後に別れを惜しんだ場所としても知られ、彼らが使用したとされる鎧や小道具が今も残っています。
- 後醍醐天皇の南朝皇居 鎌倉幕府滅亡後の「南北朝時代」、足利尊氏に追われた後醍醐天皇が吉野へ逃れ、ここを**仮の皇居(南朝の拠点)**としました。約57年間にわたる南朝の哀史がここから始まりました。
- 豊臣秀吉の「吉野の花見」の本陣 1594年、天下人となった秀吉が総勢5,000人を連れて盛大な花見を行った際、数日間滞在して本陣(拠点)としたのがここです。秀吉が愛用した金屏風などの豪華な遺品が展示されています。
2. 絶景ポイント「一目千本
境内の入り口近くにある展望所は、吉野山の桜を一望できる最高のスポットとして有名です。
- 一目千本(ひとめせんぼん): 中千本と上千本の桜を一度に視界に収めることができ、その美しさは「一目で千本の桜が見える」と称えられます。春の桜はもちろん、秋の紅葉も見事です。
3. 日本最古の書院造り
吉水神社の本殿に隣接する書院(重要文化財)は、日本最古の書院造りの一つと言われています。
- 後醍醐天皇が玉座とした間や、義経が潜伏した間など、当時の建築様式をそのままに伝える貴重な空間を実際に歩いて見学することができます。
このように、吉水神社は「一目千本」の展望台だけではなく、歴史的に重要な意義をもった神社なのです。ただ、今回はあくまでも桜の絶景を撮影することが目的だったため、これら歴史的文化遺産の見学は、またの機会とすることにしました。
一目千本の展望台があまりにも有名なため、展望台の広場は大勢の人が集まっていました。

順番を待って、千本桜の見える最前列にたどりつき、何枚か、桜の絶景を撮影することに成功しました。以下の写真はそのときに撮ったもの。


たしかに絶景であることは確かですg、正直言って、下千本で見た日本画を思い出させるような大自然の造形美を感じるところまでは至りませんでした。その理由の一つは、「千本」という言葉に形容されるように、多数の桜が山を覆うように密生している様は見事ですが、写真にも見るように、「全山」というところまでは行かず、常緑樹の濃緑色の山肌が邪魔しているように感じられました。おそらく、江戸時代以前の吉野山は、本当に全山が山桜のピンクで一色に塗りつぶされていたのではないでしょうか?これはあくまでも想像にすぎないのですが。
吉水神社を出てから、もうひとつ不満に感じたのは、通りにびっしりと立ち並ぶ店に遮られて、歩きながら一目千本の桜の山並みを楽しむことができなかったということ。土産屋やお茶屋の奥の桟敷に入って、お金を払わなければ、吉水神社のような絶景を眺めることがむずかしいというのは、なんとなく吉野山の花見が商業主義によって独占されているような感じを受け、少々残念でした。
吉野名物、本葛と柿の葉寿司
吉野を訪れたら絶対に外せない二大名物、「吉野本葛」と「柿の葉寿司」。どちらも吉野の厳しい自然環境や歴史的背景から生まれた、先人の知恵が詰まった逸品です。
吉野本葛(よしのほんくず)
「葛(くず)」はマメ科の植物の根から取れる澱粉ですが、吉野のものは特に質が高く、日本最高峰のブランドとして知られています。
- 「本葛」の証: 吉野の冬の冷たい地下水で何度も晒(さら)して精製する「吉野晒」という伝統製法で作られます。混じりけのない葛粉100%のものを「吉野本葛」と呼び、驚くほどの透明感と滑らかな舌触りが特徴です。
- 楽しみ方:
- 葛切り(くずきり): 注文を受けてから作るお店が多く、出来立ては透明で弾力が強く、黒蜜でいただくのが定番です。
- 葛餅(くずもち): もっちりとしていながら、口の中でとろけるような独特の食感が楽しめます。
- 葛湯: 体を芯から温める効果があり、古くから養生食としても愛されてきました。
2. 柿の葉寿司(かきのはずし
吉野を含む旧大和国(奈良)の郷土料理です。一口サイズに握った酢飯に、塩蔵されたサバやサケを載せ、柿の葉で包んだ押し寿司です。
- なぜ「柿の葉」なのか:
- 殺菌効果: 柿の葉に含まれる「タンニン」には強い抗菌・抗酸化作用があり、保存性を高めます。
- 保湿と香り: 乾燥を防ぐとともに、柿の葉の爽やかな香りが魚の生臭さを消し、風味を豊かにします。
- 歴史的背景: 海のない奈良へ魚(サバ)を運ぶ際、塩漬けにして保存性を高め、さらに山に豊富にあった柿の葉で包んだのが始まりです。かつては夏祭りのご馳走として各家庭で作られていました。
- 食べごろ: 作ってすぐよりも、一晩寝かせた方が「柿の葉の香りが移り、魚と酢飯が馴染んで美味しくなる」と言われています。
吉野山の金峯山寺蔵王堂のすぐ近くにある「葛屋 中井春風堂」は、葛の概念が変わると言われるほどの超有名店です。ここの最大の特徴は、何といっても「賞味期限10分」と言われる究極の葛切りと葛餅にあります。
というわけで、超有名店で賞味期限が短いために、事前の予約を受けてつけていません。私が行った日は、桜満開で観光客がたくさんいたために、私が行ったときには、葛切りはすでに「本日完売」でした。仕方ないので、代わりにお土産用の葛餅で我慢することにしました。でも、家に帰ってから家族と一緒にいただいたのですが、本当に上品で美味しい絶品でした。
柿の葉寿司も、売り切れの店が多く、お昼のお弁当に食べようと思っていた私は、焦ってしまい、名もないようなお土産店で買ってしまいました。あとで、いちばん有名な「やっこ」を通りかかったところ、柿の葉寿司はふつうに売っていることを知り、後悔しました。でも後の祭り。さきほど買ったさばの柿の葉寿司がおいしいことを祈るばかり。
さて、お弁当も買ったので、本日最大の目的地であ如意輪寺に向かうことにしました。その様子は、続編でお届けします。