
プロローグ
デジィ
真帆
真帆
デジィ、ずいぶん久しぶりね。一体どこに行ってたの?
そうさねぇ、あちこち、風の吹くまま、気の向くまま、北は知床岬から、南は石垣島まで歩き回っていたのよ。
デジィ
真帆
そうなんす。実はね、最近アマプラで松竹チャンネルを契約したんで、ほとんど毎日「男はつらいよ」をみていてね。すっかり寅さんみたいになっちゃったんだよ。悪かったね。
デジィ
真帆
実はね、最近ちょっと思いついたアイディアがあって、そのことをフェイスブックで呟いてしまったんだけど、短い文なのに、偉い先生方から「いいね!」をたくさんもらっちゃったんだよね。
デジィ
真帆
うん、巷では「フィルターバブル」って、悪いことのように言われているけど、自分で積極的に作っちゃえば、対抗手段として使えるんじゃないか?といった意味のことを書いたわけ。
デジィ
真帆
まあ、多分できると思うんだけど、一人で作るのはつまらないから、真帆にも協力してもらいたいと思ったんだ。
デジィ
真帆
デジィ
デジィ
まず、真帆が知っているかわからないので、「フィルターバブル」ってどういう意味かを説明しておくね。というか、Wikipediaで述べられている技術的な定義を見ておこうか。
インターネットの検索サイトは、各ユーザーを識別する仕組み(クッキー、フィンガープリントなど)を用いて、各ユーザーの所在地、過去のクリック履歴、検索履歴など、各ユーザーのプライベートな情報を把握している。そして、YoutubeやTikTokなどのサービスはユーザーのプライベート情報をそれぞれのアルゴリズムに基づいて解析し、そのユーザーが見たいだろうと推定される情報を優先的に表示し、ユーザーが見たくないだろうと推定される情報を遮断している(この仕組みをコンテンツフィルタリングという)。そして、各ユーザーごとに"最適化"することをパーソナライズ、またはパーソナライゼーションと呼んでいる。このパーソナライゼーション機能はGoogleやFacebookなど、ほとんどのサービスで使われている。 その結果、各ユーザは同一の「インターネット」を見ているつもりでも、実際に見ているのは異なった世界になってしまっている。
フィルタリングにより自分の意見や好みに合致する情報ばかりを提示されてしまうと、自分と異なる意見や好み以外の情報をインターネットで見ることができなくなる。そして、自分の好みに合わない情報から隔離され、同じ意見を持つ人々同士で群れ集まるようになり、それぞれの集団ごとで皮膜(バブル)の中に孤立するようになっていく。(Wikipediaより)
デジィ
このような意味を持つ「フィルターバブル」という言葉を最初に作ったのは、アメリカのネット活動家のイーライ・パリサーという人。上のWikipediaによる説明の中で、太字にした部分だけ見てもらえば、彼の主張が大体わかると思う。確かに、ネットユーザーとしては、思い当たるところがあるよね。
デジィ
フィルターバブルについてパリサーが書いた本の翻訳は、最初は2012年に早川書房から『閉じこもるインターネット』というタイトルで出版されたけど、2016年にハヤカワ文庫から『フィルターバブル』というタイトルで再発行されているから、興味があったら買ってみるといいかも

ありがとう。暇ができたら、ぜひ読んでみたいわ。ふだん何気なくネットで検索しているけど、思わぬ落とし穴にはまっているのかも、という不安を感じてきたわ。
真帆
自分だけの「フィルターバブル」を作るってどういうこと?
デジィ
「フィルターバブル」が流行っているのは、実はネットの送り手だけでなく、われわれユーザーにもメリットがあるからなんだ。つまり、現代は情報があまりにも溢れかえっていて、それを我々は処理しきれないから、送り手側がアルゴリズムで「私好み」「私にマッチした」情報をフィルタリングして届けてくれるわけだからね。
真帆
デジィ
ところが、そうした情報に紛れて、本当は必要ない情報やリンクや迷惑情報、フェイク情報なんかも提供してくるもんだから困るんだ。あたかも我々が知りたい情報であるかのように送りつけてくるわけだからね。
そうね。それでフェイク情報に騙されたり、ネット詐欺の被害に遭ったりするのね。ほんと、いい迷惑!
真帆