Aiスピーカーとのコミュニケーション
それでは、日常生活の中で、私たちはaiスピーカーとどのようなコミュニケーションを行うことが可能でしょうか?目的別に、Google HomeとAmazon Echoの受け答えがどのように違っているのかを実証的に検討してみたいと思います。
あいさつ
いまは午後6時半ですが、Google Homeに「ねえ、Google、おはよう」と呼びかけると、「こんばんわ、○○さん、時刻は18時54分です。現在、松山は気温21度、晴れです。今夜は気温19度晴れるでしょう。カレンダーには、あす○○という予定が入っています。それではすてきな1日を過ごして下さい。最新のニュースです、、、」という答えが返ってきました。このように、的確な受け答えと最新情報を提供してくれます。これに対して、Echoの場合は、「おはよう」と言っても、そのまま「おはよう」と返答します。Googleのほうが賢いといえます。
この他の主要なあいさつのやりとりを表にして比較しておきましょう。
あいさつ文 | Google Home | Amazon Echo |
元気? | あなたのお手伝いをしたかうてワクワクしています。何でも聞いて下さい。 | はい、きょうも元気です。 |
疲れたよ | 少し寝てみるのはいかがでしょう。 | お疲れ様。 |
ただいま | お帰りなさい。お風呂にしますか、ごはんにしますか。これ一度言ってみたかったんです。 | お帰りなさい。また話しかけてくれてうれしいです。 |
さようなら | おつかれさまでした。 | え、もうさようならですか。またすぐに呼び出して下さいね。さよならを言うのはこんなにつらい相手をもっているなんて、わたしはなんて幸せなんだろう。 |
こんにちわ | こんにちは、俊治さん。きょう5月27日から全仏オープンがはじまります。(中略)日本人選手の活躍が楽しみですね。 | こんにちわ |
ひさしぶり | またお会いできてうれしいです。なにかお手伝いできることはありますか。 | まあ、おひさしぶりです。またお話しできてうれしいです。 |
おやすみ | お風呂は入りましたか歯は磨きましたか。宿題はやってから寝るのがいいと思います。それではまたあした。 | おやすみなさい。ぐっすり寝て下さいね。 |
またあした | はい、今日も一日ありがとうございました。 | おやすみ |
暑いね | 現在の気温は16度です。 | そうですね、本当に暑いですね。 |
挨拶文に関しては、全体を通して、Google Homeのほうが的確な受け答えをしているように思われます。適切なアドバイスなどを交えているのは好感がもてます。また、Amazon Echoの場合、「さよなら」の挨拶に対して、返答が少しおおげさで不自然です。ただし、最後の「暑いね」に対しては、Google Homeが現在の温度を答えているのは、あいさつとしては不適切です。Amazon Echoの繰り返しのほうが自然なあいさつになっています。
天気を聞く
Aiスピーカーでとくに役立つのは、いまの時刻や天気を聞くときです。「いま何時?」「今日の天気は?」と聞けばいいのです。「今日の天気は?」の問いかけに対しては、GoogleもEchoも、現在の温度、天気、予想最高気温、最低気温を答えてくれます。「明日の天気は?」に対しても、明日の天気予報、予想最高気温、最低気温を答えてくれます。これらはたいへん重宝します。ただし、過去に遡っての天気については、的確な回答は得られませんでした。
パリ、ニューヨーク、東京、世田谷区など、地域別の天気も的確に伝えてくれます。
最新ニュースを聞く
Echoに「今日のニュースは?」と聞いてみると、大和証券のフラッシュニュースが読み上げられました。株式市場のニュース、経済ニュースでした。これは少しおかしいです。「スキル」で大和証券ニュースを入れたせいでしょうか?そこで、「次のニュースを教えて」とリクエストすると、日テレニュースを伝え、次いで、「朝日新聞アルキキ」のニュースを流しました。「スキル」は、アプリでコンテンツを追加できる機能ですが、あまり多くのスキルを入れてしまうと、このように欲しくない情報を最初に流してしまうことになるようです。
Googleで「今日のニュースは?」と聞くと、JWaveのヘッドラインニュースを流し始めました。こちらのほうが、最新のニュースを簡潔に伝えてくれるので、分かりやすいといえるでしょう。Googleに「別のニュースを教えて」と聞くと、「すみません、わかりません」という答えでした。Googleは、Echoにくらべるとニュースの情報源が少ないようです。
ただし、ジャンル別のニュースに関しては、EchoよりもGoogleのほうが対応力は高いようです。「芸能ニュースは?」に対しては、Googleはエンターテインメントのニュースを伝えてくれますが、Echoでは伝えてくれません。また、「ITニュースを知りたい」という問いに対しても、Googleは最新のテクノロジーニュースを伝えてくれますが、Echoは対応していません。スポーツニュースに関しては、両者とも関連ニュースを知らせてくれました。
このように、EchoとGoogleでは、伝えてくれるニュースの内容に関して違いがみられました。
リアクションのカスタマイズ
しかし、Amazon EchoにもGoogle Homeにも、ユーザーのリクエストに対するリアクションをカスタマイズして、お望みのアクションをとってもらうツールが用意されています。Google Homeでは、「ショートカット」、Amazon Echoでは「定型アクション」がこれに当たります。それぞれの実行例を示しておきましょう。
Google Homeのショートカット
サイドメニューで、その他の設定>ショートカットを選びます。
続いて、右下の青い+ボタンをタップします。
すると、音声コマンドとアクションの入力欄が表示されますから、そこに、好きな音声コマンドと、それに対してGoogle Homeのとるべきアクションを入力します。
例えば、毎朝7時に起きることが決まっているなら、「朝起こして」とGoogleに言うだけで、翌朝7時にアラームをセットしてもらうことができます。それが下のショートカットです。
習慣的なアクションを指示するには、このようなショートカットが有用です。誤動作も防ぐことが出来ます。
Amazon Echoの定型アクション
これは、1つの実行条件(コマンド)で、天気予報やニュースの再生、テレビやエアコンのスイッチオン/オフなど複数のアクションを実行できる機能です。下の画像のように、サイドメニューの「定型アクション」を開き、定型アクションを作成します。「実行条件」に呼びかけの文を入れ、「アクションを追加」にEchoのとるべき複数のアクションを入れます。
しかし、実行条件では、呼びかけの名前が「アレクサ」しか選べず、またアクションの種類もきわめて限られており、Googleにくらべると使い勝手はあまりいいとはいえません。今後の改善を期待したいと思います。
ニュース源の選択と並べ替え
Echoの場合
さきほど、「ニュースを聞く」」というところで、Echoの場合、最初に読み上げられるニュースがおかしいと書きましたが、これは、Echoの初期ニュース設定が原因であることがわかりました。Echoのサイドメニューで設定>フラッシュニュースを開くと、下のような画面になっていました。トップに「大和証券マーケット情報」が来ています。読み上げてもらうニュースの順序は、この画面で変更することができます。右上の「順序を変更」をタップすると、読み上げる順序を自由に変えることができます。ここでは、「日テレNEWS24」をトップに、「NHKラジオニュース」を2番目にしました。
これ以外のニュースを追加することもできます。「その他のフラッシュニュースコンテンツ」をタップすると、ニュースのスキルがたくさん表示されますので、好きなニュースを選び、有効にすれば、読み上げるニュースに追加されます。
Google Homeの場合
googleの場合も、ニュースの順序を自由に変更することができます。サイドバーで、その他の設定>ニュースを開くと、ニュース提供元のリストが表示されます。「順序を変更」をタップすると、Echoと同様に読み上げるニュースの順序を自由に変更することができます。
ただし、Google Homeでは、Echoとは違って、国内ニュースだけではなく、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語の国際ニュースを追加することができます。けれども、例えばCNN News Brifingというアメリカの国際ニュースを聞こうとすると、「アシスタントの言語」設定を英語に変更しなければなりません。そうすると、日本語のニュースを音声コマンドでリクエストすることができなくなってしまいます。
この問題を解決するには、ニュースの順序を変えて、外国語のニュースを先頭に置くことが必要になります。他には解決策はないようです。こうすると、「ねえ、Google ニュースを聞かせて」と言えば、CNNの英語ニュースを真っ先に読み上げてくれます。アシスタントの言語を英語に設定すると、「Hi Google, CNN News 」といえば、英語でアシスタントは英語で応答し、順序にかかわらずCNN Newsを流してくれますが、日本語のニュースには対応してくれません。英語と日本語を両方聞き分けて応答してくれる端末が出るのを期待したいと思います。
調べごと
Aiスピーカーが得意なのは、言葉の意味を教えてくれることです。ちょっとした調べごとなら、ウェブサイトで検索したり、辞典を引くよりもAiスピーカーに尋ねたほうが楽です。いくつか、Google HomeとAmazon Echoに同じ言葉を尋ねて、回答を比較してみましょう。
例1:
「レゲエってどういう意味?」
⇒Google Homeの回答:
「Wikipediaによれば、狭義においては1960年代後半ジャマイカで発祥し、1980年代前半まで流行したポピュラー音楽である。」
⇒Amazon Echoの回答:
「こんな説明が見つかりました。狭義においては1960年代後半ジャマイカで発症し、1980年代前半まで流行したポピュラー音楽である。」
両者ともまったく同じ回答でした。情報源はいずれもウィキペディアです。
例2:
「情けは人の為ならず、ってどういう意味?」
Google Homeの回答:
Amazon Echoの回答:
「すみません、分かりませんでした」
この例では、Google Homeの方が的確な回答をしてくれました。文化庁のサイトで調べたようです。Echoよりも明らかに検索能力はすぐれているようです。
例3:
「秋山好古、ってどういう人?」
Google Homeの回答:
「ウィキペディアでは、秋山好古は、日本の陸軍軍人。とされています」
Amazon Echoの回答:
「こんな説明が見つかりました。秋山好古は、日本の陸軍軍人」
どちらもウィキペディアが情報源のようですが、Amazon Echoでは、出典が省略されています。Google Homeのほうが出典を明記している分、良心的といえるでしょう。
例4:
「今日は何の日?」
Google Homeの回答:
「5月28日、1960年のこの日、トキが国際保護鳥に指定されたそうです。」
Amazon Echoの回答:
「1733年5月28日に、東京の両国で初めての川開きを行いました。享保の大飢饉や疫病の犠牲者の慰霊のため、川開きの初日に水神祭りと共に花火を打ち上げました。以後、両国の川開きと花火は何度か中断しましたが、1978年に隅田川花火大会と名前を変えて復活し、毎年7月に行われています。」
両者の回答はずいぶん違っています。Echoの方が古い年代の出来事を答えています。
例5:
「8ポンドは何円?」
Google Homeの回答:
「8ポンドは約1169.788円です。」
Amazon Echoの回答:
「8スターリングポンドは1167.19円です。」
両者に1円弱の違いがありますが、ほぼ正確に数値を変換してくれます。このような計算はAiピーカーの得意とするところです。
例6:
「ルート5×8.256+2597.433は?」
Google Homeの回答:
「答えは、約2615.894です」
Amazon Echoの回答:
「ちょっとよく分からなかったです。ごめんさなさい。」
このような複雑な計算は、Google Homeの得意とするところです。ほぼ正確な答えでした。Amazon Echoは、どうも苦手なようです。
例7:
「フランス語で桃はなんて言うの?」
Google Homeの回答:
「pêche(ペッシュ)」
Amazon Echoの回答:
「すみません、私には答えられません」
「イタリア語で桃はなんて言うの?」
Google Homeの回答:
「pesche(ペスケ)」
Amazon Echoの回答:
「すみません、私には分かりません」
「今日はいい天気ですね、を英語でなんて言うの?」
Google Homeの回答:
「It's nice weather today, is not it.」
Amazon Echoの回答:
「うむ、難しいですね」
このように、語学力は、圧倒的にGoogle Homeの方が高いことが分かります。Google Homeは足りない外国語をサポートしてくれる、頼もしいアシスタントといえるでしょう。