オフライン電子ブックのメリット
必要な情報をどこに蓄え、どのようにして引き出すのがベストか?そのために、人は昔からさまざまなメディアを発明し、活用してきました。80年代までは、圧倒的に紙媒体が利用されてきました。90年代に入ると、「マルチメディア」「パソコン」「WWW」が登場し、新たな情報蓄積、再生媒体として脚光を浴びるようになりました。
現在では、WordPressなどのウェブページが情報蓄積、再生媒体として主役の座につこうとしています。けれども、これらはネットにつながらなくては蓄積、再生を行うことができません。また、Webサイトという形でネット上に情報を公開するのは、著作権侵害のリスクが大きく、自由に必要な情報を置いておく場所としては不適切です。
そこで、セキュリティの確かなクラウド・スペースとオフラインのPCやタブレット、スマホとの組み合わせが最適な知的リソースの保管、利用サイトだと考えられます。私自身、一時期、パスワードで保護されたWordPressの非公開サイトで情報資源の蓄積、利用を試みたことがありますが、ネットにつなぐことの煩雑さと、セキュリティ上の不安から利用をあきらめた経験があります。
OneNoteとOneCloudの同期によるオフライン利用というのは、著作権上もまったく問題ありませんし、ネット環境がなくても利用できるという点で、現状ではもっともすぐれた情報リソースの蓄積、活用方法ではないかと思います。
電子書籍はKindleとhontoを使い分けるべし
OneNoteでノートブックを作成する場合、もっともよく利用する情報源は、Kindleやhontoなどの電子書籍、および、dマガジン、楽天マガジン、Tマガジンなどの電子雑誌です。
Kindleなどの電子書籍は、デジタル化されているので、スクリーンキャプチャ機能を使えば、必要な箇所だけをOneNoteのページに貼り付けることができます。取り込んだ画面の拡大、縮小も自由にできますから、最適なレイアウトでOneNote上にページを作成することができます。また、Surface Pro6のような手書きタブレットにもなるPCや、手書きに対応したiPadなどのタブレットでは、ペーストした画像形式の書籍に手書きでメモやコメントなどを入れることができます。これは、自分だけのページをつくるという点では、非常に重要な付加情報になります。
ただし、電子書籍の一部を画面キャプチャーしてOneNoteに取り込むとき、注意したい点がいくつかあります。これは、PDF文書を取り込む場合にも共通することです。
電子書籍(PDF)のハイライト機能を事前に適用しておくこと
Acrobat (PDF)
近年、ウェブ上やネットを通して、大量のPDF文書が出回っています。それとともに、PDFリーダやPDFエディターも廉価で入手できるようになっています。これらのPDFリーダーやエディターを使うと、PDF文書にハイライトをつけたり、注釈をつけたりすることができます。もっともよく利用されているAcrobat Reader DCでは、テキストを範囲指定し、右クリックでハイライトを選択するだけで、文章にハイライトをつけることができます。ハイライト色の変更も、ハイライトをつけたあと、右クリックで「プロパティ」を選択すれば、好きな色をハイライトに指定することができます。
PDF文書をOneNoteに挿入するには、メニューの「挿入」で「PDF」を選択するだけでOKです。美しいPDF文書が自動的にOneNoteのページに挿入されます。ただし、挿入されたPDF文書は、画像ファイルに変換されるため、OneNote上でテキストにハイライトをつけるなどPDFの編集を行うことはできません。したがって、挿入する前にテキスト処理を施しておくことが必要です。
Kindle
次に、OneNoteで私自身利用する機会がもっとも多いのは、Amazonの電子書籍Kindleです。Kindleは、数ある電子書籍サービスの中で、もっとも品揃えが豊富(300万冊以上)です。また、Kindleリーダーは、Windows、Mac、iOS、Android、Fireなどほとんどの端末でインストールすることができ、使える機能も豊富です。
なかでも、テキストにハイライトをつけることが容易にできますから、OneNoteにコピーするときは、事前に必要箇所にハイライトをつけておくとよいでしょう。コピーしてからでは、画像になってしまうので、OneNoteではきれいなハイライトをつけることができません。
Kindle Unlimitedを200%活用する法(補論)
OneNoteは「定額読み放題サービス」のKindle Unlimitedとは特に相性のいいアプリです。Kindle Unlimitedとは、アマゾンが2016年8月3日にスタートした「電子書籍&雑誌定額読み放題」のサービスです。開始当初のプレスリリースでは、次のように記述されています。
Amazon.co.jp (以下、Amazon) は、本日2016年8月3日(水)、Kindle Unlimitedサービスを開始致しました。
本サービスは月額980円(税込)で和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題になる、新しい定額読み放題サービスです。
池井戸 潤、葉室 麟、石田衣良、堀江貴文、北条 司、手塚治虫などの人気作家による数多くのベストセラーやコミックをはじめ、週刊エコノミストやwithなど240タイトル以上の雑誌 *の中からお読みいただけます。
対象作品にはKindle Unlimitedロゴが付加されており、会員は「読み放題で読む」をクリックするだけですぐに読み始めることができます。
Kindle Unlimitedは本日より利用可能で、お手持ちのiOS/Androidスマートフォン・タブレットやPC・Mac用のKindle無料アプリ、そしてKindle電子書籍リーダーやFireタブレットでご利用いただけます。
本日よりhttp://www.amazon.co.jp/kindleunlimitedでスタートし、初回の30日間は無料でお試しいただけます。
Kindle Unlinitedで読める本は和洋合わせて130万冊以上の書籍と240タイトル以上の雑誌ということになりますが、私が特に気に入っているのは、「るるぶ」「わがまま歩き」「Lonely Planet」などの旅行ガイドブックシリーズと、パソコンやカメラなどIT製品の新製品ガイド「ムック」、です。これらは私がOneNoteのノートを作成する場合に入れておきたい最新のコンテンツを含んでいるので、大いに役に立っています。Kindle Unlimitedでは、一度に読める書籍&雑誌が10冊までと制限されていますが、必要なページをOneNoteにコピペしてしまえば、もとの電子書籍は不要になるので、「削除」することができます。
というわけで、テーマは限られますが、Kindle Unlimitedの電子書籍をキーワード検索し、必要なページをOneNoteに取り込み、もとの書籍を削除し、新しい書籍を追加する、という作業を繰り返せば、OneNoteのコンテンツが充実すると同時に、Kindle Unlimitedのサービスを200%以上有効活用することができます!
honto
OneNoteで活用したい電子書籍として、もうひとつ、hontoをおすすめしたいと思います。というのは、Kindleでは、縦書きの書籍を横書きの書籍に自動変換する機能がついていないのに対し、hontoでは、オプションで縦書きを横書きに変換することができるからです。
電子書籍の一部をOneNoteにコピーする場合、一度にコピーできる範囲は1ページないし見開き2ページ以内に限定されます。縦書きの文章の場合、これを複数コピーして1ページに挿入すると、縦に並ぶために読みにくい文書になってしまいます。横書き文書に変換すれば、連続的に文章が並ぶので、読みやすいページをつくることができます。
その意味では、OneNoteに横書き形式で挿入したい縦書きの電子書籍は、Kindleではなくhontoで購入するのが望ましいといえます。参考までに、hontoで購入した夏目漱石の『坊ちゃん』冒頭部分を、縦書きでOneNoteのページに挿入した場合と、横書きにして挿入した場合を比較した結果を表示しておきたいと思います。
縦書き形式honto書籍を2ページ分、OneNoteにコピーした場合の画面表示
横書き形式honto書籍を2ページ分、OneNoteにコピーした場合の画面表示