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10万円以内で最高のモバイル用ハイレゾ・オーディオ環境を構築する方法【2019年3月改訂版】

Xperia XZ1でハイレゾ音楽環境のグレードアップ

最初のところで、DAPとしてSONYのスマホ Xperia Z3を購入したと書きましたが、その後、ハイレゾ対応がより進んだスマホである、SONYのXperia XZ1を購入しましたので、Xperia Z3との比較をしておきたいと思います。結論からいうと、金額的には約7,000円高くなりますが、ハイレゾ音楽を十二分に楽しむためには、Xperia XZ1のほうがベターだということが分かりました。以下では、ハイレゾプレイヤー(DAP)としての性能をXZ1とZ3で比較してみたいと思います。

スペックの比較

私が購入した2台のXperiaは、いずれもアマゾンですが、Xperia Z3は国産ドコモのSIMフリー版、Xperia XZ1は並行輸入のSIMフリー版です。

Xperia Z3の購入先:

Xperia XZ1の購入先:

いずれも、mineoの格安sim(ドコモ回線)を挿入して、正しく動作することを確認しています。au回線を使うSIMについては動作を保証できませんが、ドコモ回線を利用するSIMであれば、問題はないと思います。また、Xperia XZ1は海外SIMフリー製品ですので、海外旅行先で購入したSIMでも問題なく使えると思います。来月にヨーロッパに行ったときに実際に検証してみたいと思っています。

Xperia XZ1のSIMフリー並行輸入版は、発売された2017年当時は、定価が¥71,000していましたが、2年後の2019年3月現在では、¥39,710(アマゾン)となっており、3万円以上も安くなっています。楽天では、ドコモの国内モデルが、いまでも¥73,500、Yahoo!では国内モデルが¥69,800となっており、アマゾンの並行輸入モデルよりもかなり高くなっています。もちろん、ドコモやauなどのキャリアでXperia XZ1を安く入手することは可能ですが、月々の携帯料金が最低でも5000円位以上とられることを考えると、おすすめではありません。

国内モデルと並行輸入モデルの間の違いは、国内モデルでは、おサイフケータイ機能とワンセグ機能がついているのに対し、並行輸入モデルにはこあれらの機能がないこと、国内モデルがSIMカードを1枚しか使えないのに比べ、並行輸入モデルではデュアルSIMに対応しており、2枚のSIMカードを挿入して使える、という点です。そのほかのスペックは同じですから、おサイフケータイ機能とワンセグ機能が必要ないという方には、アマゾンの並行輸入モデルを購入するのがいちばんお得だと思います。実際、私自身、おサイフケータイとワンセグは不要なので、迷わず並行輸入モデルを選びました。これなら、「10万円以内で最高のハイレゾ音楽環境を構築する」ことが十分に可能でしょう。このモデルは、後述するように、とくにSONYのワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン WI-1000Xとの相性も抜群です。

下の写真は、私が購入したXpria Z3とXperia XZ1を並べてみたものです。左側がXperia XZ1、右側がXperia Z3です。

表側:

裏側:

サイズを比べると、XZ1のほうがわずかに縦が長くなっています。ディスプレイも、XZ1のほうがわずかに大きくなっています。視認性はXZ1のほうが勝っている印象です。裏側をみると、Z3はドコモの国内モデルなので、docomo Xiという商標が刻印されているのに対し、XZ1はXPERIAというブランド名のみで、すっきりしています。カメラはXZ1のほうが大きく、性能も向上しています。

では、Z3とXZ1のスペックを比較してみましょう。

Xperia XZ1 Xperia Z3
サイズ 約148㎜×約73㎜×約7.4㎜(最厚部 約8.1㎜) 約147㎜×約73㎜×約7.4㎜
質量 約156g 約154g
OS Android 8.0 Android 4.4
内蔵メモリ RAM 4GB / ROM 64GB RAM 3GB / ROM 32GB
外部メモリ microSD/microSDHC/microSDXC(2GB/32GB/256GB) microSD/microSDHC/microSDXC(最大128GB)
ディスプレイ 約5.2インチ トリルミナスディスプレイ for mobile / フルHD : 1080×1920 約5.2インチ トリルミナスディスプレイ for mobile/フルHD:1920×1080
CPU 2.45GHz(クアッドコア)+1.9GHz(クアッドコア)オクタコア 2.5GHz クアッドコア
電池容量 2700mAh(内蔵電池) 3100mAh
連続待受時間(静止時) LTE : 420時間 LTE : 840時間
3G : 460時間 3G : 1010時間
GSM : 340時間 GSM :  700時間
連続通話時間 LTE : 約1170分
3G : 約990分 3G : 1670分
GSM : 約620分 GSM : 840分
メインカメラ(外側) Motion Eye™カメラシステム 有効画素数約1920万画素
裏面照射積層型CMOSイメージセンサー Exmor RS® for mobile
有効画素数約2070万画素 裏面照射積層型CMOSイメージセンサーExmor RS for mobile
フロントカメラ(内側) 有効画素数約1320万画素
裏面照射積層型CMOSイメージセンサー Exmor RS® for mobile
有効画素数約220万画素 裏面照射型CMOSイメージセンサーExmor R for mobile
外部接続 Wi-Fi : IEEE802.11a/b/g/n/ac Wi-Fi : IEEE802.11a/b/g/n/ac
Bluetooth : ver. 5.0 Bluetooth : ver. 4.0
外部デバイス : USB Type-C™/ヘッドセット接続端子 外部デバイス : microUSB/MHL/ヘッドセット接続端子
防水/防塵 防水(IPX5/IPX8)、防塵(IP6X) 防水(IPX5/8)、防塵(IP6X)
ハイレゾ対応 DSEE HX (音楽ファイルをハイレゾ相当にアップグレード) ClearAudio+(サウンド設定を最適化)
Digital NC (ハイレゾ+デジタルノイズキャンセリング) なし
LDACやaptX HDに対応。ワイヤレスでもハイレゾ相当の音楽を楽しめる なし
イヤホンジャック : 192kHz/24bitハイレゾ再生が可能 イヤホンジャック : 96kHz/24bitハイレゾ再生が可能

こうして比較してみると、ハイレゾ対応以外の項目については、両機種に大きな違いはみられませんが、ことハイレゾ対応に関しては、Xperia XZ1のほうが明らかに性能が向上しています。最初Z3のスペックをウェブサイトでチェックしたときは、Z3でもDSEE HXを搭載しているように書かれていたのですが、実際に購入した機種(ドコモ)には、DSEE HXの設定項目はなく、ClearAudio+のみでした。これには落胆させられました。

けれども、今回並行輸入のXperia XZ1を購入したところ、「オーディオ」の設定画面に、DSEE HXの設定があったので、ホッとした次第です。

Xperia XZ1のオーディオ設定画面

Xperia Z3のオーディオ設定画面

ちなみに、DSEE HXとは、SONYのサイトによると、次のようなものです。

DSEE HX機能」はWALKMAN®などにも搭載されているソニー独自の高音質技術です。MP3やAACなどの圧縮音源について、圧縮によって失われがちな高音域や消え際の微小な音を再現。ハイレゾ相当の高音質で楽しめます。
※「DSEE HX機能」は「ミュージック」アプリでのみ有効になります。

なお、両機種で大きく違う点の一つに、Androidのバージョンがあります。これについては、私の購入した機種では、Z3がAndroid6.0までアップグレードできたのに対し、XZ1ではAndroid9.0までアップグレードできました。やはり、Z3よりもXZ1のほうが、より新しいAndroidを使うことができるようです。

また、microSDカードのサイズにも大きな違いがあります。Z3では最大128GBをサポートしているのに対し、XZ1では最大256GBのカードまでサポートしています。実際に、私がZ3に256GBのカードを挿入してみたところ、約230GBまでしか認識してくれませんでしたが、同じ256GBのカードをxz1に挿入してみたところ、きちんと256GBのストレージを認識してくれました。大容量のハイレゾ音楽ファイルを大量に保存する場合は、やはりZ3よりもXZ1の方が有利だといえるでしょう。

内蔵メモリについても、Z3はRAM3GB/ROM32GBに対し、XZ1はRAN4GB/ROM64GBとなっており、多数のアプリを入れて楽しむためには、XZ1の方が有利といえます。

このようにみると、価格で約7000円の違いはありますが、Z3よりもXZ1のほうがハイレゾ用プレイヤーとしては適しているように思われます。ただし、並行輸入品のXZ1は万一故障した場合の保証がされていないため、その点が不安材料です。また、購入時の設定初期画面が英語&中国語のために、言語設定で日本語を設定するまで、多少手間取るかもしれません。ただ、一度日本語に設定してしまえば、あとは国内製品とまったく同じように使うことができます。ドコモなどキャリアの余計なアプリが入っていない分、すっきりして気持ちがいいのも事実です。おサイフケータイも、どれだけ必要なのか疑問に感じます。ワンセグやフルセグが使えない点についても、自宅にパナソニックやソニーの録画機があれば、スマホのアプリでWi-Fi経由で番組のリモート視聴、録画番組のリモート視聴ができるので、ワンセグが利用できない海外などでもテレビを見ることができます。わずらわしいアンテナケーブルを取り付ける必要もありません。もはやワンセグはほとんど無用の長物となっているのではないでしょうか?

SONY製ノイズキャンセルワイヤレスイヤホンとXperia XZシリーズとの相性

最後に、Xperia XZシリーズのスマホについている、DSEE HX機能、Digital NC機能は、初めに紹介したSONYのノイズキャンセリング機能付きワイヤレスイヤホン WI-1000Xと抜群の相性をもっているようです。実際に、Xperia Z3とXperia XZ1をWI-1000Xとワイヤレスでつないで同じ曲を聴き比べてみたところ、XZ1のほうが音質がはるかに高いことが分かりました。これは、やはりXZシリーズで採用されているハイレゾ化対策が大きな効果を発揮しているためと思われます。

本記事では、ハイレゾプレイヤーとして、ウォークマンなどのハイレゾ専用プレイヤーではなく、iPhone7Plus、Xperia Z3、Xperia XZ1などのスマホを採用して、聴き比べてきたのですが、最終的な結論としては、Xperia XZシリーズが最高のハイレゾ対応プレイヤーだということになりました。

iPhoneは、現在iPhoneXが最新モデルですが、残念ながら最新機種もハイレゾには対応していません。また、iPhone7からはイヤホンジャックを廃止してしまいました。Xperia XZシリーズも、XZ2からはイヤホンジャックが廃止され、Tyoe-C端子のみとなっています。これは、スマホをミュージックプレイヤーとして使いたいユーザーにとっては残念なところです。

Type-Cにイヤホンジャックをつなぐためのアダプタはありますが、そうすると、音楽を聞いている間、充電ができなくなります。充電用に分岐したケーブルもサードパーティから発売されてはいるのですが、充電器をつなぐと音楽にノイズが入るという問題が発生します。やはり、イヤホンジャックは独立してあったほうがベターなのです。幸い、2019年3月以降に発売予定のXperia  1にはイヤホンジャックがついているとのことですので、これに期待したいと思います。

ウィジェット機能でXperia XZ1がウォークマンになる

ふつう、スマホのアプリは1画面の中で多数のアプリと同等のアイコンで表示されます。音楽を再生するには、アプリをタップして目的の楽曲を探さなくてはなりません。けれども、Androidスマホでは、iPhoneと違って、アプリの機能の一部を画面上に大きく表示させ、その機能に一発でアクセスできるようにすることができます。これを「ウィジェット」といいます。利用可能なウィジェットを調べるには、画面の空いている部分を長押しすると、下に「ウィジェット」のアイコンが表示されますから、これをタップすると、ウィジェットの一覧が表示されます。

ここでは、Onkyo HF Playerの大きな再生コントロール画面を選び、これをタップすると、画面にウィジェットを表示させることができます(下の画像)。アルバムのカバー写真と曲名、再生コントロール画面が表示されますから、アプリを起動させるまでもなく、音楽を再生することができます。これで、ウォークマンにも劣らぬ操作性でAndroidスマホをハイレゾプレイヤーとして利用することができ、とても便利です。

 

ウィジェットを利用して、Androidスマホをハイレゾ級のマルチプレイヤーに

ウォークマンなどのDAPと違って、スマホには複数の異なるミュージック再生アプリやストリーミング音楽アプリインストールすることができます。しかも、Androidスマホでは、上にも見たように「ウィジェット」で大きな再生画面を常時表示させることができます。うまくデザインすれば、1つの画面を「マルチ音楽プレイヤー」にすることもできます。例えば、下の画面は、Xperia XZ1のトップ画面に(上から順に)「ミュージック」(標準搭載)、「HF Player」(Onkyo)、「Spotify」(ストリーミング)という3つの異なる音楽再生アプリをウィジェットで配置してみたものです。Xperiaの標準搭載「ミュージック」アプリはDSEE HX機能に対応しているので、通常の音楽ファイルでもハイレゾ級の高音質で再生することができます

また、Spotifyも、音質を「最高」に設定しておけば、ハイレゾ級の音楽を楽しむことができます。どうでしょうか。これで、10万以内の予算で最高のハイレゾ音楽環境を構築することができたのではないでしょうか?

 

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