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10万円以内で最高のモバイル用ハイレゾ・オーディオ環境を構築する方法【2019年3月改訂版】

1970年代のオーディオ・ブームを振り返る

私がまだ若かった1970年代は、オーディオ・ブームに沸いていた時代でもありました。私も音楽、とくにBeethoven、Chopinなどを中心とするクラシック音楽のファンで、所得が低かったにもかかわらず、数十万円もかけて、高級オーディオ製品を揃えて、LPレコードから流れる美しい音楽に浸っていたものです。当時人気のあったTechnicsやDenonのプレイヤー、レコード針はShure、メインアンプ、プリメインアンプはパイオニア、スピーカーはダイヤトーンとビクター、チューナーは忘れましたが、いずれも人気のオーディオメーカーの製品を選んで、気に入らなかったら、2回、3回と買い替えたりもしていました。当時はオーディオ機器にお金をかけることなどなんとも思っていませんでした。数多くのオーディオ雑誌は、さらに物欲を刺激したものです。

そんな状況が大きく変わったのは、CDの登場でした。それまでのLPレコードでは、オーディオ装置をグレードアップするだけで、レコードの音質が劇的に向上し、また自分好みの音にカスタマイズすることが可能でした。

ところが、CDの場合には、少なくとも普及の初期段階では、オーディオ装置にお金をかけなくても、ある程度の高品質の音楽を楽しむことができるようになりました。自分好みの音質にカスタマイズすることは難しくなりました。その結果、私自身のオーディオ装置への関心も薄くなり、図体のでかいアナログ用のステレオ装置は、高価な値段で購入したことも忘れて、次々と処分してしまいました。

ハイレゾ音楽への関心の高まり

つい最近までは、iMacのPCにBOSEのPV用スピーカーをつけて流すか、BOSEのQCヘッドホンで聴くことで満足していました。音源は、レンタルCDかApple MusicやSpotify、Amazon Musicなどのストリーミング配信音楽でした。

それが、最近になって、にわかに「ハイレゾ音楽」への関心が芽生えてきました。そのきっかけは、CD音源をFLACというハイレゾの音楽ファイルに変換してくれるソフトを手に入れたことにあります。もちろん、音源はCDなので、FLAC形式に変換しても、CD以上の音質になるはずはないのですが、単体のDAC(D/A変換装置)やハイレゾ対応プレイヤー、ハイレゾ対応イヤホンを使って再生すると、不思議なことにCDをiTunesで聴いていた頃に比べて、音質が劇的に向上することが分かりました。

こうして、若き頃の飽くなき音質向上への欲求が、何十年かぶりに蘇り、ハイレゾ音楽探求の道にはまり込むようになった、今日このごろです。とはいっても、年金生活者の身ゆえ、ハイレゾ音楽装置に数十万円もつぎ込むわけにもいかず、とりあえずは10万円以内の予算で、満足のいく最上質のハイレゾ音楽環境を構築することにしました。以下では、私がどのようなデバイス(DACおよびプレイヤー)、ソフト(アプリ)、イヤホン、音源でハイレゾを楽しんでいるかを紹介したいと思います。1台数十万円のDACが当たり前になっている現状で、予算総額で10万円以内で抑える方法を検討されている方のご参考にしていただければ幸いです。

ハイレゾ音源の作成

「ハイレゾ」とは、CDでは表現できなかった膨大な情報を含んだ音源のことをいいます。これによって、音の力強さ・繊細さ・奥行きと広がり・艶やかさや暖かさ、臨場感」などリッチな情報を得ることができます。ひとことでいえば、CDに比べて、よりライブ演奏に近いすばらしい音楽体験を得ることができるのです。

音源ファイルの持つ情報量は、kHz(サンプリング周波数)とbit(量子化ビット数)で表します。kHzが大きいほど、より高い音域まで表現することができます。また、bitが大きいほど、より細かいニュアンスまで表現することができます。つまり、この2つの数値が大きいほど、よりリアルで繊細な音楽を再現することが可能になるのです。

CDの情報量は「44.1 kHz/16bit」です。これに対し、ハイレゾ音源は「96kHz/24bit」や「192kHz/24bit」が主流です。「192kHz/24bit」の場合でいうと、CDの約6.5倍の情報量をもっていることになります。それだけ、音楽の密度が高いということになりますね。

音楽ファイルの形式

音楽ファイルには、次のような形式があります。

ファイル
形式名
拡張子 特長
WAVE .wave
  • ウェーブやワブなどと呼ばれている
  • Microsoftが開発したWiindows用の音声ファイル形式
  • 非圧縮ファイルのため、データサイズは重い大きい
  • CDとほぼ同じ音質
  • ジャケット写真や歌詞などは付けられない
AIFF .aif
  • エーアイエフエフ、アイフなどと呼ばれている
  • Appleが開発したMac用の音声ファイル形式
  • 一度圧縮(変換)すると、元に戻せない非可逆圧縮のファイル形式
MP3 .mp3
  • データサイズは、原音の約10分の1
  • 曲数を多く入れたい方におすすめ
  • CDとほぼ同じ音質
  • ジャケット写真や歌詞は付けられる
AAC .aac
.mp4
など
  • データサイズは、原音の約10分の1
  • MP3の後継にあたるファイル形式
  • MP3より若干データサイズが大きいが、音質は良い。
    曲数を多く入れたい方におすすめ
  • 一度圧縮(変換)すると、元に戻せない非可逆圧縮のファイル形式
FLAC .flac
  • フラックと呼ばれている
  • データサイズは原音の約半分
  • ハイレゾ(高解像度)音源の1つで高音質
  • 音質重視の方におすすめ
  • ジャケット写真や歌詞も付けられる
  • 変換後も元に戻せる可逆圧縮のファイル形式

(SONYの公式サイトより)

ふつう、CDをPCにインポートして音楽を聴く場合には、いくつかの形式から選択することができます。

  • AAC(m4a)→ Apple標準の圧縮方式。MP3よりも音がいい。
  • AIFF(aiff、aif)→ Appleの無圧縮ファイル。
  • ALAC(m4a)→Appleロスレス。音質劣化なく圧縮できる(可逆圧縮)。
  • MP3→ 他のプレイヤーでも再生できる形式。
  • WAV→ Windows標準の無圧縮方式ファイル。

いずれも、FLACやDSDなどのハイレゾ音源に比べると、情報量は少なくなります。

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