増え続けるスマホ動画、音楽配信サービスの利用者数
ジャスト・システムが2017年12月に実施したネットモニター調査によると、スマートフォンでの動画アプリの利用時間(1日平均)は45.9分にも達していました。これは、2015年の32.4分と比べると1.4倍もの増加になります。この調子で行くと、スマホの動画利用だけで1日1時間以上になる日もそう遠くはないでしょう。これは、YouTubeや定額の動画配信サービスの利用者が大幅に増えているためと思われます。
動画に加えて、音楽の定額聴き放題サービスが花盛りです。Apple Music、Spotify、AWA、Amazon Musicなどが月額1000円程度で聴き放題のサービスを提供しています。これらのいずれかを利用している人も増え続けています。ICT総研が行った調査によると、音楽配信サービスの利用者数は2017年末で約1780万人に達しているとのことです。2018年末には2000万人を超えると推測されています。音楽配信サービスの利用率は全体の10%を超えています。
このように、データ通信量が大きなネット動画、音楽配信サービスの利用者は、いまや数千万人のオーダーに達しており、スマホでも動画や音楽を日常的に楽しむことが当たり前の時代になっていると思われます。
ネット動画、音楽配信サービスにかかるデータ通信量
それでは、YouTube動画、ネット動画配信サービス、音楽配信サービスをスマホで利用すると、どれくらいのデータ通信量がかかるのでしょうか?
YouTubeの場合、画質によって通信量に大きな差が出ますが、360pだと1時間あたり約400MB、高画質の720pだと1時間あたり約800MBの通信量になります。1日平均1時間YouTubeを見ている人の場合、普通画質なら月に約12GB、高画質だと約24GBを消費していることになります。
これに加えて、Netflix、HULU、プライム・ビデオ、FOD、DTVなどの動画配信サービスを契約している人も大幅に増えています。これらの動画配信サービスは、基本的にストリーミング再生です。それにかかる通信量は、1時間あたり500MB〜約1GBほどです。仮に1日平均500MB消費したとすると、1ヶ月では15GBにもなります。YouTubeと合わせると40GB近くになる計算です。
さらに、音楽配信サービスを毎日1時間、ストリーミング再生で利用したとしましょう。ある計算によると、音楽のストリーミング再生では1時間あたり約100MBの通信量を消費するといわれています。これを1ヶ月続けると、約3GBのデータ通信量になります。
すると、単純計算でスマホでの動画+音楽通信量は43GBになります。この他、LINE、メール、ウェブ閲覧などで約7GB通信すれば、月におよそ50GBをスマホで消費することになります。
スマホのヘビー・ユーザーであれば、いまや月に50GBのデータ量を消費することが当たり前の時代になっているといっても過言ではないかもしれません。
キャリア・スマホで50GB以上使った場合の月間利用料金は?
それでは、月に50GBのデータを使う場合、スマホの利用料金はどのくらいになるのでしょうか?特に、動画の場合には、快適に見るには1Mbps以上の高速データ通信が必須となりますから、高速データ通信を前提として、スマホ各社の利用料金を比較してみたいと思います。
まずは、キャリアスマホの大容量料金プランを比較してみましょう。
ドコモのウルトラパック
ドコモの場合、「ウルトラデータLパック」に加入すると、月額6000円で20GBまで使うことができます。また、「ウルトラデータLLパック」は月額8000円で30GBまで使うことができます。これが上限のようです。私の想定しているように、月に50GB使えるプランは用意されていません。それほどのデータ利用は想定されていないようです。けれども、私が上でシミュレーションしたように、YouTube、動画配信、音楽ストリーミング配信の利用がこれだけ普及し、日常化している現状からすると、月に50GB以上利用することは、決して少数派とはいえなくなりつつあるのではないでしょうか。その意味では、ドコモの対応はかなり遅れているといってもいいでしょう。
auのフラットプラン
auでは、大容量データプランをドコモよりも安い料金で提供しています。フラットプラン20(月額4500円)で契約すると、月に20GBまでのデータ通信が使えます。また、フラットプラン30(月額6500円)で月に30GBまでのデータ通信が使えるようになります。
この料金は、ドコモよりも安いですが、それでもかなりの出費を強いられることになります。
ソフトバンクの大容量データプラン
ソフトバンクは、2018年9月から、「ウルトラギガモンスター+」という、月間50GB利用可能な大容量データプランを開始しました。各種割引適用前で5,980円と、ドコモやauよりもはるかに安い料金になっています。50GBをこえない限り、通信速度の制限はかかりません。ネット動画やストリーミング音楽をヘビーに使いたいユーザーにはうれしい料金プランといえるでしょう。光回線や家族割と併用すれば、この料金はさらに安くなります(月額約4000円)。
確かに、ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」(名前が大げさ!)など、大手スマホキャリアにも、大容量データ利用ニーズに対応するプランを採用する動きが始まっているようですが、まだまだ消費者にかかる負担は大きいというのが現状です。次に、WiMAXを使って月50GB以上の高速データ通信を利用した場合の料金比較をしてみたいと思います。
WiMAX利用の高速データ通信プランとは
WiMAXとは、専用のポケットWiFiルーターを使って、通常の格安SIMに比べて段違いに高速のデータ通信が可能になるサービスのことをいいます。ドコモなどキャリアのスマホほどではありませんが、エリアによっては下り最大440Mbpsのスピードが出る場合もあります。私が利用した範囲では、常時40Mps以上のスピードが出ており、動画配信やストリーミング音楽配信をストレスなく利用することができます。
「ギガ放題」のプランを契約すれば、ドコモなどキャリア・スマホのような月あたりのデータ通信量の制限はありません。うまく使えば、月に80GB以上の利用も可能です。ただし、「3日で10GB」までという利用制限があり、これを超えると、一時的に1Mbpsまでしか利用できなくなりますので、その点は注意が必要です。また、LTEオプション対応機種の場合、「ハイスピードプラスエリアモード」に設定すると、月間7GBを超えると通信速度制限が適用され、月末まで128Kbpsにスピードが落とされてしまいます。「ハイスピードモード」に戻しても、月末まで規制は続きますので注意が必要です。ギガ放題プランでは、よほどの緊急事態でもない限り、「ハイスピードプラスエリアモード」にはしないのが賢明なやり方です。
以下では、主なWiMAX2+サービスの概要を紹介しておきたいと思います。
UQ WiMAX
UQ WiMAXは、KDDIの子会社 UQコミュニケーションズ株式会社が展開するWiMAXサービスです。2006年に実証実験が成功したWiMAXを事業化したのが最初で、その後2013年には、より高速のWiMAX2+サービスを開始しました。UQでは、「WiMAX」「WiMAX2+」「au 4G LTE」の3回線を提供していますが、WiMAXは2020年にサービスを終了する予定なので、WiMAX2+がメインのサービスとなっています。
料金プランでは、「UQ Flat ツープラスギガ放題」と「UQ Flatツープラス」の人気が高くなっています。それぞれの料金体系は次のようになっています。
プラン | 契約手数料 | 3ヶ月間 | 「おトク割」適用期間 | 「長期利用割引」適用後の料金 |
UQ Flatツープラスギガ放題 | ¥3,000 | ¥3,696 | ¥4,380 | ¥4,380 |
UQ Flatツープラス | ¥3,000 | ¥3,696 | ¥3,696 | ¥3,696 |
auユーザーは、「auスマートバリューmine」適用によるau利用料の割引を受けることができます。割引額は最大934円です。ただし、割引を受けられるのは、「UQ Fatツープラスギガ放題」または「UQ Flatツープラス」の契約者に限られます。
この他、Webサイトから申し込んだ人は、最大10,000円のキャシュバックを受けることができます(2018年12月25日現在)。ただし、他社とは違い、端末代金が800円かかります。
UQ WiMAXだけのサービスとして、公衆無線LANサービスのwi2を無料で利用することができます。これは、全国の公共スポットや店舗、カフェなどで利用できるWiFiサービスで、通常は月額400円かかるものです。動画など大量のデータを外出先でダウンロードしたいときなどには便利です。
BIGLOBE WiMAX
BIGLOBEは、インターネット・プロバイダの老舗として、1990年代からサービスを行っている有名企業です。光回線、ISP、スマホ販売など、幅広い事業を展開しています。WiMAXでも、月々の利用料金を最大3年という長期にわたって値引きするなど、格安の料金プランを用意しています。
プラン | 契約手数料 | 1〜2ヶ月目 | 3〜24ヶ月目 | 25ヶ月目以降 |
Flatツープラスギガ放題 | ¥3,000 | ¥2,695 | ¥3,380 | 4,380 |
Flatツープラス | ¥3,000 | ¥2,695 | ¥2,695 | 3,695 |
「「ハイスピードプラスエリアモード」利用には、別途オプション料¥1,005(月)がかかります。このモードでは、7GBのデータ通信量を超えると速度制限がかかりますので、特に必要な方以外は申し込む必要はないでしょう。また、UQと同様に、端末代金は800円かかります。
Nifty WiMAX
@Niftyは、BIGLOBEと並んで、老舗のインターネット・プロバイダとして有名です。スマホ、光回線の販売、Portalサイトの運営、メールサービスなどを行っています。
WiMAXでは、月額料金はそれほど安くはないものの、他社よりも早くキャッシュバックを受け取れるというメリットを持っています。また、利用者に対するサポートは充実しています。端末機器の代金は1円です。auスマホのユーザーは、「auスマートバリューmine」の割引が適用になり、お得です。いまなら、5ヶ月目に30,000円のキャッシュバックを受け取ることができます。
プラン | 登録手数料 | 1〜3ヶ月目 | 4ヶ月目以降 |
WiMAX2+Flatギガ放題 | ¥3,000 | ¥3,420 | ¥4,100 |
WiMAX 2+Flt3年 | ¥3,000 | ¥3,420 | ¥3,420 |
Broad WiMAX
Broad WiMAXは、株式会社リンクライフ(Link Life)が展開しているWiMAXサービスです。リンクライフは、この他に Broad LTEや光回線の販売などを行っています。届出電気通信事業者になっています。平成20年に設立され、本社は品川にあります。インターネット関連事業者としての知名度は低いですが、サポートなどはしっかりしており、特に怪しい業者というわけではありません
Broad WiMAXは、他の同業者に比べると、初期費用(¥18,857)割引以外にキャッシュバックはないものの、月額料金が低く抑えられており、その分お得感はあります。通信速度や品質は、他のWiMAXサービスと変わりありません。料金プランは次の通りです。端末代金は全機種無料です。
プラン | 契約手数料 | 1〜2ヶ月目 | 3〜36ヶ月目 | 契約期間 |
ギガ放題 | ¥3,000 | ¥2,726 | ¥3,411 | 3年 |
フラットツープラス | ¥3,000 | ¥2,726 | ¥3,411 | 3年 |
※初期費用割引(¥18,857)を受けるための条件は、次の4つを満たすことです。
1. Webフォームから申し込むこと
2. 料金プランを月額最安プランで申し込むこと
3. クレジットカード支払いで申し込むこと
4. 安心サポートプラス、MyBroadサポートの2つのオプションに加入すること(商品到着後に無料で解約可能)
So-net モバイル WiMAX2+
So-netは、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の子会社で、光回線(FTTH)事業、高速モバイル通信サービス、プロバイダ事業、ポータルサイトなどを運営しています。
WiMAXサービスでは、最大12ヶ月無料、3年間月額料金が変わらないなど、他のサービスよりもお得な料金体系が用意されています。料金の支払いが単純でわかりやすいのが、なによりのメリットといえます。
プラン | 登録手数料 | 1〜36ヶ月目 | 37ヶ月目以降 |
Flatツープラスギガ放題 | ¥3,000 | ¥3,380 | ¥3,695 |
Flatツープラス | ¥3,000 | ¥2,780 | ¥4,379 |
また、auスマホユーザーなら、「スマートバリューmine」(最大¥1,000/月)の割引を受けることができます。電話によるサポートも充実しています。LTEオプション料は無料となっています。また、端末機器も無料です
GMOとくとくBB WiMAX2+
WiMAXの運営会社は、GMOインターネット株式会社です。本社は、東京渋谷のセルリアンタワー内にあります。インターネットのインフラ事業を中心に、インターネット広告、インターネット証券事業、ドメイン名登録事業(お名前.comなど)、レンタルサーバー事業、プロバイダー事業などを展開しています。東証一部にも上場しています。
GMOとくとくBB WiMAXは、業界最大のキャッシュバック(最大¥42,200)を行っており、3年間の利用料金総額が最安となっています。
プラン | 事務手数料 | 1〜2ヶ月目 | 3〜24ヶ月目 | 25ヶ月目以降 |
GMOとくとくBB WiMAX2+ギガ放題プラン | ¥3,000 | ¥3,609 | ¥4,263 | ¥4,263 |
GMOとくとくBB WiMAX2+ライトプラン | ¥3,000 | ¥3,609 | ¥3,609 | ¥3,609 |
auスマホユーザーなら、「スマートバリューmine」割引を受けることができます。
NEXT mobileのWi-Fiルーター
最後に紹介するのは、UQ WimAXではなく、ソフトバンクの高速回線を使ったWi-Fiルーターのサービスです。内容、スピードともにWiMAXと同じくらいの品質ですが、料金は低く抑えられています。WiMAXよりも広いエリアで利用できます。WiMAXと違って、地下鉄でも使える、「3日間で10ギガ」の制限がない、など魅力的な内容となっています。ただし、月間のデータ通信量は、最大50GBまでとなっています。月間データ利用量が20GB以下の方であれば、NEXT mobileの20ギガプランが一番安くてお得でしょう。
プラン | 事務手数料 | 1〜12ヶ月目 | 12〜24ヶ月目 | 24ヶ月目以降 |
20GBプラン | ¥3,000 | ¥2,760 | ¥2,760 | ¥3,695 |
30GBプラン | ¥3,000 | ¥3,490 | ¥3,490 | ¥3,695 |
50GBプラン | ¥3,000 | ¥3,490 | ¥4,880 | ¥5,815 |
以上見たように、どの業者を選んだとしても、WiMAXの「ギガ放題」プランを契約した場合、月額料金は、平均して3,500円前後になります。
WiMAXで提供しているのは、データ通信サービスのみで、通話を利用する場合には別途スマホの通話料金がかかりますが、これも格安スマホ(MVNO)を利用するならば、端末料金は別にして、3GBプランで月額約1,500円(税別)で契約することができます。
この2つを加算すると、高速データ通信の使い放題+スマホ通話の月額利用料金は、約5,000円(税別)で済むことになります。これは、ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」¥5,980+通話基本料¥1,500と比べると、はるかにお安くなっています。しかも、WiMAX2+の場合、3日で10GB以下という制限はあるものの、1日3GB使ったとすると、月に最大90GBまで高速データ通信を使うことができるのです。どちらがお得かは明らかではないでしょうか。
おすすめWiMAX2+ は
それでは、数あるWiMAX2+サービスの中で、どれを選べばいいのでしょうか?WiMAXはもともとUQコミュニケーションズが開発し、回線もUQが持っているのですが、これを借りてWiMAXサービス業者は、回線スピード、品質ともUQと基本的に変わりはありません。したがって、とくにUQコミュニケーションズと契約することによるメリットはないといえます。むしろ、料金面だけを取り出すならば、UQ WiMAXは他の業者よりも割高かもしれません。
以上に紹介したWiMAXサービスの中から、月額料金の安さ、サポートの手厚さ、ブランドの信頼度、長期的な費用の低廉さなどを基準に、おすすめのWiMAX2+ ベストファイブを選んでみました。各社公式サイトへのリンクも載せていますので、一度アクセスして、検討してみてはいかがでしょうか。