ヨーロッパ聖地巡礼

ロンドン聖地巡礼「シャーロック・ホームズ」(準備編・目次入り)

『シャーロック・ホームズ』シリーズの小説は世界的なベストセラーになりましたが、その後、映画やテレビドラマ、アニメなど多くのメディアで原作のリメイク版が作られ、いまだに強い人気を持ち続けています。とくに、2010年から2017年にかけて、21世紀のロンドンを舞台にリメイクされたBBC制作のドラマ「シャーロック」は、大人気を博し、主演のベネディクト・カンバーバッチは、一躍スターダムにのし上がりました。このドラマシリーズは、日本でも2011年からNHK BSで放送され、現在では、NETFLIX、HULU、dtvなどの動画配信サービスでも放映されています。

21世紀版「シャーロック」の興味深い点は、手紙、電報、新聞、雑誌など、情報通信手段の限られていた19世紀末と違って、ホームズがEメール、ウェブ、スマートフォン、GPS、監視カメラ、ノートPCなどのハイテク情報機器を駆使しているということです。私の専門であるインターネット社会論の視点からも、きわめて興味をそそられるところです。もしコナン・ドイルが21世紀に生きていたら、きっとこうした最新の情報通信機器を小説の中に取り入れていたことでしょう。

それでは、作者のコナン・ドイルは、その人生の中で、どのようにして「シャーロック・ホームズ」と出会い、「ホームズ」シリーズの小説を書くに至ったのでしょうか? 本論に入る前に、ドイル自身の「自伝」と伝記を通じて、「シャーロック・ホームズ」誕生秘話を探ってみたいと思います。

(コナン・ドイルの肖像写真:1893年)

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