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奇跡のフェルメール展を見る

久しぶりの東京で

1ヶ月ぶりに東京に来ました。1泊2日のあわただしい日程ですが、主な予定は2日目の1件だけだったので、初日は上野公園で美術展を2つ、ゆっくりと鑑賞しました。一つ目は、西洋美術館で開催中の「ルーベンス展」。二つ目は本命のフェルメール展です。フェルメール展は、時間指定制で私は午後3時からだったので、それまでの時間つぶしにルーベンス展に入ったのでした。これが意外によかったです。

ルーベンス展

ルーベンスは絵画の巨匠の一人ですが。これだけまとまった点数を、大作も交えて鑑賞するのは初めて。圧倒されました。後にドラクロアなどがルーベンスの絵画に大きく影響されますが、ルーベンスの絵画はダイナミックであるだけではなく、フェルメールと同じく静謐さを感じさせる絵画も描いています。

ルーベンス展を見終わっても、まだフェルメール展の入場時刻まで時間があったので、西洋美術館の常設展示も久しぶりに鑑賞しました。モネの睡蓮の大作、ルノワールの傑作、藤田嗣治の典雅な女性像などもあり、目の保養になりました。ライトの建築は、美術館の館内を歩いていると、その素晴らしさを実感します。

美術館を出ると、「考える人」「最後の審判」「カレーの市民像」などの傑作が並んでいます。パリの美術館にも匹敵する超一流の美術館だという感を新たにしました。

超満員のフェルメール展

これでようやく午後3時になったので、「上野の森美術館」へ行ってみると、なんと長蛇の行列です。この行列は、すべて午後3時からの予約チケットを持っている人だけだというのですから、なかばあきれてしましました。これほどフェルメールが日本人に人気だとは知りませんでした。

館内はもちろん超満員です。それでも、時間的に余裕があったので、17世紀オランダの絵画、そしてフェルメールの名画をゆっくりと鑑賞することができました。天井の高い大きな部屋がすべてフェルメールの名画で埋め尽くされていて、「フェルメール・ルーム」と呼ばれていました。こんな風景は世界のどこの美術館でもお目にかかれないでしょう。まさに「奇跡のフェルメール展」といっても過言ではありません。

展示されたフェルメールの絵画のうち、「ミルクをつぐ女」など4点ほどは、私自身、アメリカやオランダなどの美術館で見たことがありましたが、他の4点ほどは、始めてみる作品で、貴重な体験をしました。

なかでも目を奪われたのは、ワイングラスを飲む女性を描いた傑作です。フェルメールの作品の中でも、最高傑作の一つではないでしょうか。

(フェルメール「ワイングラス」 ベルリン美術館蔵 Wikipedia Commonsより)
女性の胸はペチャンコで、この種のテーマの絵画としては異例に思えますが、女性がワインを飲み干すのを待っているかのようにワインの入った瓶に手をかける男性からは、明らかに女性を誘おうという意図が感じられます。それにしても、ワイングラスの透明感といい、ステンドグラスのきめ細やかな描き方といい、椅子に置かれたフェルメール・ブルーのクッションといい、その巧みさと美しさには感嘆するばかりです。フェルメール・ブルーは彼のどの作品にも見られるもので、宝石のラピスラズリを精製して作られたウルトラマリンをさしています。この絵では、フェルト地のクッションに使われていますが、光に当たった部分など、実に美しく描かれています。

今回のフェルメール展で最大の作品「マルタとマリアの家のキリスト」は、聖書の物語をモチーフにしたもので、フェルメールらしくない作品。これも初めてみるもので、滅多に見られない貴重な体験でした。この作品はスコットランドの美術館に所蔵されているものなので、こんな機会でなければ一生見ることのできないものでした。「ワイングラス」もベルリン国立美術館所蔵なので、やはり滅多にはみられないもの。これで、フェルメールの作品を約20点見たことになります。

あとぜひ見たいのは、ウィーン絵画美術館にある作品ですが、これはヨーロッパ旅行したときに現地で見たいと思っています。

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