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ネタ消費・考

プロのブロガーほどネタ消費が激しい?

SNSで頻繁に発信している人は、ほとんど誰でも、ネタ消費をしているだろう。特に、「リア充」を誇示するためにも、ネタ消費は欠かせない行動だと思われる。その目的の大半は、友人などから「いいね!」をもらったり、Webページであれば、広告費を稼ぐためにあるといってもいいだろう。実際、私が昨年、ネット調査を行って、twitterにおける自己開示度と自己承認欲求、自己顕示欲求との関連を分析してみたところ、両者の間にきわめて高い相関がみられたのである。意識的にせよ、無意識的にせよ、「自分が日頃、いかに充実した生活を送っているか」を誇示するためにSNSで情報を発信している人が少なからず存在すると思われる。そうした投稿をみて、「いいなあ!」と思うか、「それに比べて自分はリア貧だな」と落ち込むかは、人によって異なる。発信している相手が、親しい友人であれば、思わず「いいね!」をして、共感ないし激励したくもなるだろう。でも、それほど親しい関係になければ、「いい気になりやがって!」と半ば腹が立つこともあるのではないだろうか。極端になると、怨嗟の感情を引き起こすことにもなりかねない。そこが、SNSの光と影を生み出しているのだ。

ネタ消費も、やはり光と影の両面をもっている。最近では、マーケティングの分野で、ネタ消費の経済効果に注目が集まっているようだ。これは、ネタ消費のポジティブな側面といえるだろう。しかし、ネタ消費には、SNSでの発信と同様に、「モノのプラスの側面」だけに焦点を当てがちとなる。ましてや、アルファブロガーが、メーカから製品を提供されて、その使用記をブログ上で開陳する場合には、褒め言葉に終始しがちである。それを読んだユーザーが、思わずその商品をネット買いしてしまうといったことがけっこう頻繁に起きているのではないだろうか。

最近も、1000万回ものビジターを誇るというブロガーが、1年前に家族とともに購入したApple Watchについて、1年間の使用記を乗せていたが、読んでいると、どうも無理矢理メリットを強調しているように思われ、これは一種のネタ消費ではあるまいか、という疑念がわいてきた。

実を言えば、私もApple Watchを購入して、毎日せっせと充電を繰り返しているのだが、いま一つこのウェアラブルを使いこなしていない。というか、まだまだ未成寿なデバイスだと感じることが少なくない。

私が購入しようと思った最大の動機は、通っているスポーツジムとか自転車で移動しているときに、iPhoneが手元になくてもiTunesの音楽をWatch単体で聴けることを知ったからだ。それに、スポーツジムでは、WathについているNIKEのアプリで運動量を測定し、モチベーションを高めることができると期待したからだ。

たしかに、この2点に関しては、十分期待に応えてくれていることは確かだ。しかし、その他のアプリについては、ほとんどが期待外れというのが偽らざるところだ。たとえば、Faebookのアプリを入れてみたところ、Watchの小さな画面では、字がほとんど読めないし、写真も出ないので、使い物にならない。カレンダー機能についても、表示される情報量が少なすぎる。Apple Walletには、クレジットカードをインストールしたものの、店頭では、恥ずかしくてWatchを差し出す勇気はない。

ネタ消費には光と影があるわけだが、これからは思い切ってマイナス情報も積極的に発信するようにしたほうが、ユーザーのためにもなるのではないだろうか

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