中学生にはiPadは買わせられない
4月から、中学生を対象に、WordPressを使ったホームページ制作教室を開くことになっている。主催は松山YWCAだ。このNPO団体はまだホームページを開設していないので、これを機会に公式のHPを立ち上げる予定だ。問題はスタッフの大部分が60代後半以上のシニア層の女性ということだ。そこで、このスタッフを対象としたホームページ教室を別途開くことにしている。
幸い、YWCAでは私のアドバイスにしたがって、エックスサーバーとレンタルの契約を結んでくださったので、WordPressのインストールとメンテナンスはスムーズに行えるのではないかと思う。私自身もエックスサーバーなので、サポートもしやすい。
WordPressのテーマも、いま私が使っているLuxeritasを採用してもらおうと思っている。そうすれば、ホームページ開設の環境はほぼ整っているといえるだろう。
問題は、YWCAにはパソコンやタブレットなどの備品がまったくないので、生徒自身にWordPressが使える端末を買ってもらうしかないということだ。来年以降になれば、なんらかの助成金を獲得して、こちらで用意することができるようになるかもしれないが、少なくとも今回は生徒に機器を購入してもらうことになるだろう。
WordPressなら、パソコンでなくても、タブレットがあれば、ホームページを制作することができる。一昔前のように、パソコンにホームページビルダーやDreamWeaverなどの専用ソフトをインストールしてホームページを作る時代は過ぎ去った。いまや、WordPressのような、ウェブ上でCMSを使って制作するという時代になっている。タブレット1台があれば、ブラウザと無料のアプリを使って、手軽に高品質のホームページが作れるのだ。
とはいえ、iPadのような高価なタブレットを中学生に買わせることはできない。できれば1万円台のタブレットにしたいところだ。その条件を満たすタブレットは、どう考えてもAndroidしかない。そこで、WiFi機能をもった廉価なAndroidタブレットを調べることにした。
推奨機種を決定!
ネットでいろんな機種の性能、人気、評価などをリサーチした結果、第1候補として、ASUS ZenPad8.0というモデルとすることにした。選択の基準は、定価が2万円以下であること、WiFi機能がついていること、8.0インチ以上の画面であること、ネット上の評判がいいモデルであること、最新のOSを搭載していること、携帯しやすい軽量のものであることの5つである。ASUSのモデルは以上の条件をすべて満たしているように思われた。特に重視した価格は、なんと驚きの15800円(アマゾン)である。この値段は、格安スマホの廉価機種とほぼ同じ、ゲーム機よりも安い値段だ。これなら親が中学生に買ってあげられる範囲内に収まるだろう。
私の持っているタブレットはiPad Proなので、果たして教室でiPadと同じ条件でWordPressを作れるかどうか分からない。そこで、私自身もこの機種を事前に購入して、教室で使えるどうかチェックすることにした。今日その製品が到着したので、さっそく必要なアプリをインストールしたり、ネットにつないでクラウドとデータの交換をするなどして、評価してみた。結論からいうと、この機種でWordPressのホームページを制作するのはまったく問題ないことが分かった。iPadと比べてもまったく遜色ない。画面が縦長でやや小型なので、WordPressの編集画面をみるのはやや窮屈な印象もあるが、慣れれば全く問題はないだろう。むしろ、キーボードなどは、iPadと違って数字のキーが上一列に並んでいるので、入力はむしろ楽だ。しかも、この値段でATOKの日本語変換機能がついているのは驚きだ。
授業で使うための無料アプリは揃っているか?
この点がいちばん心配だった。iPadにはブラウザに加えて、画像リサイズ、画像編集、クラウド、簡易動画編集アプリ、お絵かきアプリ、エディタなど、WordPress制作に必要なアプリが無料でインストールできるが、Androidではどうだろうか?
結果的には、Androidでも必要な良いアプリが無料でインストールできることが確認できた。用途別にチェックしておきたい。
画像編集アプリ
これについては、最近のスマホ、タブレットには、初めから編集機能の備わった写真アプリがプリインストールされている。iPadなら「写真」アプリに強力な編集機能が備わっている。画質の調整、トリミング、角度の調整などWordPress制作に必須の機能が初めからついているので安心だ。Androidの場合には、「「ギャラリー」というアプリがこれに対応しており、さまざまな編集機能がついている。さらに、Androidタブレットの場合、Googleフォトがプリインストールされているが、このアプリにも一通りの編集機能が備わっているので頼もしい。
画像リサイズアプリ
ただし、不思議なことに、iPadにもAndroidにも、画像のサイズを自由に変えることのできる「画像リサイズ」機能を備えたアプリがプリインストールされていない。AppStoreやGooglePlay Storeで探しても、ピクセル単位でリサイズをしてくれる無料アプリはなかなか見つからなかった。海外のサイトで当たってみたところ、Image Risizeというアプリが定番として推奨されていたので、国内でも発売されているかどうか調べてみた。その結果、iPadとiPhone用には、「画像サイズ」という名前で販売されているアプリがこれに相当することが分かった。
実際にインストールしてみると、確かにpixel単位でリサイズしてくれるいいアプリであることが分かった。今日、Androidタブレットが手に入ったので、Google Play Storeで検索してみたところ、iPadと同じ「画像サイズ」というアプリが無料で入手できることが分かった。WordPressでは、アップロードできる画像のサイズが制約されるので、この種のアプリは必須である。今回、iPadとAndroidのタブレットで同じアプリが使えることが確認でき、ほっとしているところだ。
ドロー系のアプリ
WordPressで楽しいホームページを作るには、ドロー系(お絵かき)のアプリがほしいところだ。Androidタブレットで、検索してみたところ、ColorやibisPaintXなどの無料アプリが使いやすくて手頃であることが分かった。子供達は、これらのアプリをすぐに使いこなして、創意工夫にあふれたイラストを作ってくれるだろう。
クラウド
WordPress制作教室では、生徒と先生の間で、教材、資料、課題、提出作品などを共有するためのスペース、つまりクラウドが必要になる。今回は、無料でもっとも容量が大きく、使いやすく、共有機能にもすぐれたクラウドとして、Googleドライブを使うことにしている。Androidのタブレットにはアプリがプリインストールされているので問題ない。しかも、ASUSのタブレットの場合、無料で100GBのボーナスプレゼントがあるので、たいへんお得なサービスだといえる。iPadにも、もちろんGoogleドライブのアプリをインストールすれば問題なく使える。初めは、Evernoteにすることも考えたが、多機能すぎるし、共有の設定が難しそうなので、今回は見送ることにした。
動画編集アプリ
いまの中学生は、ゲームの実況中継やテレビ番組、話題の動画などを、1日中でも見続けているような、「ネオ」デジタルネイティブ世代なので、動画編集アプリで作った作品をYouTubeにアップし、それをWordPressのページに取り込むことなど朝飯前だろう。中学生はとかくコンテンツづくりに苦労する傾向がある中で、動画コンテンツなら、楽しいホームページにすることができるだろう。
その意味でも、スマホやタブレットで撮った動画を手軽に編集し、インパクトのある作品をつくれる無料アプリがあるといいと思う。幸い、iPadではiMovieというアプリがあり、AndroidではPowerDirectorというアプリがあって、手軽に動画を編集することができることが分かった。これで一安心だ。
このように、Androidのタブレットでも、iPadと同等のソフト環境でWordPressのホームページを制作できるということが分かった。あとは、4月の開講までにオンラインの教材を準備するだけとなった。しばらくは、教材作りに忙殺されることになりそうだ。