ラジオは語学学習の宝庫
語学学習にとって理想的なメディアは、YouTubeやテレビですが、残念ながら、講師陣の質、番組のコンテンツがいま一つです。その点、毎日放送しているNHK第2放送のラジオは、英語などの語学学習がきわめて充実しています。とくに、英語に至っては、初級から上級まで、すばらしいスタッフが毎日楽しい学習番組を提供してくれるので、毎日聴いていれば、それだけで語学力が大幅にアップします。
ところが、ラジオ学習には致命的な欠点があります。それは、一つ一つの番組を予約するのが難しいということです。もし、テレビのように番組ごとに事前に、あるいは定期的に特定の番組を録音して、本体に保存してくれるラジオがあれば、録音した音声ファイルをPCに取り込み、OneNoteに貼り付けることによって、すばらしい語学教材を自作することができるでしょう。
実は、それが可能なのです。私が探した限り、SONYラジオレコーダーの、次の機種だけが、それを可能にしてくれます。
ソニー ポータブルラジオレコーダー 16GB FM/AM/ワイドFM対応 予約録音対応 語学学習機能搭載 2018年モデル ICZ-R260TV
2018年モデルですが、語学学習には最適のモデルです。これよりも新しいモデルも発売されていますが、実際には、アンテナの感度が弱くて雑音を多く拾ってしまい、第2放送の録音には適していません。私はこの新しいモデルを最初に買ってしまい、失敗しました。くれぐれもご注意ください。スピーカーの音質も、この旧モデルの方がよいようです。デザインがまた、ラジオというオールドメディアにふさわしいクラシックでモノトーンな魅力的なもので、所有欲をかき立ててくれます。
ラジオレコーダーによる予約方法
ラジオレコーダーによる番組録音の手順は、それほど難しくはありません。説明書によると、次のような手順になっています。
要するに、録音日時を設定し、曜日、日時、局名、保存先を細かく指定すればいいのです。これで予約を設定しておけば、1秒の狂いもなく目的の番組を録音することができます。これは実に便利な機能です。
保存先は、本体内蔵のメモリーとSDカードを選ぶことが出来ます。本体メモリーは16GB、外付けのSDカードは32GBまで使えます。32GBというのはちょっとさびしいですが、本体と合わせて48GBあれば、音声だけなので、かなりの量の録音が可能です。おそらく、500番組以上の録音が可能ではないでしょうか?それに、必要なくなったら、音声を消去してしまえばいいのです。
肝心の音質については、FM番組であれば、きわめてクオリティの高い音質で録音することができます。デジタルステレオのクリアな音楽を録音できるので、かつての「エアチェック」時代とは比べものがないほどです。ただ、語学番組はFMではなく、AMの第2放送です。これについては注意が必要です。
AMのうち、NHK第1放送は、FMに比べて音質はやや劣りますが、雑音のないクリアな録音が簡単にできます。しかし、第2放送をクリアに録音するには、付属のアンテナの設置位置をきめ細かく調整する必要があります。私が試したところ、ラジオをやや高めに設置し、アンテナをまっすぐ下に下ろして、壁に接するように設置すると、クリアで雑音の少ないサウンドが得られました。再生による語学学習に十分に耐える音質です。
わざわざ録音しなくても、NHKの語学テキストには、録音したMP3が売っているではないか、と思われるか方もいるかもしれません。たしかにそうですが、価格が高すぎます。1ヶ月分1冊あたり、なんと900円もするのです。音質はいいのですが、高すぎる。これを20冊買ったら、さきほどのレコーダーが1台買えてしまいます。どちらが得かは明らかでしょう。しかも、ラジオなら、録音できる番組数に限りはないのです。エアチェック自体の楽しみも捨てがたいものがあります。
Sound OrganizerでPCに番組を転送
ラジオレコーダーに録音した語学番組をPCに転送するには、SONY Sound Organizerという、専用のアプリを使います。残念なことに、このアプリはWindows 10専用です。Macでは使えないのです。私の場合は、ふだんMacを常用しているので困りましたが、幸い、Surface Pro 6というWindows 10 PCがあったので、このPCにアプリを入れて使うことにしました。最初、入れたアプリの表示フォントが小さすぎて駄目かと思いましたが、フォントを大きく表示するオプションがあったので助かりました。
下の画像は、Sound Organizerを立ち上げ、USBケーブルでPCとレコーダーをつなぎ、録音した番組をPCに取り込んだところです。
録音日時、時刻、局名が自動的についてくれるので、どんな番組が録音されているか分かりやすく、便利です。フォーマットはMP3ですから、これも便利です。取り込んだ番組はドラッグ操作で簡単に好きな場所にコピーできます。また、設定オプションで事前に保存先をクラウドに設定しておくこともできます。こうすれば、取り込んだMP3にMacを含んで複数のPCからアクセスできるので便利です。
Kindle電子書籍とMP3ファイルをOneNoteで編集する
Sound Organizerに取り込んだ語学番組を使って、デジタル学習を展開するには、Kindleの電子書籍を活用するのが最適です。NHKでは、ラジオの語学講座のすべてについて、毎月1冊ずつテキストを紙の書籍とKindleの電子書籍で発行しています。とくに、Kindle版は1冊が410円なのでお得です。せっかくMP3の電子ファイルを入手したので、これと電子書籍をOneNote上で編集して、自分だけの語学教材として活用したいと思います。OneNote上のデジタル教材の編集の仕方については、他の関連記事をごらんください。
上の画像は、Kindle『遠山顕の英会話楽習』の電子テキストと、ラジオレコーダ−で録音した番組音声をOneNoteに貼り付けたところです。このようにすると、OneNoteをマルチメディアの語学教材として「編集」することができます。テキストに自分だけのコンテンツを加えれば、語学学習はより充実したものになるでしょう。
OneNoteでのオーディオ再生のコツ
OneNoteで外部から音声ファイルを挿入したときに困るのは、iPadやIphoneで音声再生時には、画面の音声以外の部分がフリーズしてしまうことです。つまり、iPadやiPhoneでは、オーディオを再生しながらテキストを読むといった使い方ができないのです。
したがって、iPadやiPhoneでOneNoteを音声付きで活用するときには、音声はiPhoneで再生し、テキストはiPadで表示しながら学習を進めるというやりかたをとるしかありません。やむを得ないところですね。
幸い、OneNoeには、OneDriveやDropboxなどのクラウドと連携する機能があり、データはすぐに同期されますから、上のような2台の端末を使っての語学学習が可能です。ここはぜひクラウドをフルに活用したいところです。