Evernoteの魅力は、Webクリッパーを使えば、Webページの内容を、もとのサイトそのままにコピーできることにあります。OneNoteのように、ページ全体をクリップすると画像ファイルに変換してしまうという問題もありません。したがって、Evernoteに取り込んだテキストや画像、リンクなどは、もとのWebページと同じように扱うことができます。しかも、タグをつけて取り込めば、タグをクリックすることによって、階層的に整序された形でEvernote上でWebページを閲覧することができます。「パリ観光」という大きなタグの下に観光に関連したタグを並べ、それぞれと関連の深い、参考になるWebページを精選して取り込めば、書籍よりも新鮮で実用性の高い「Evernote版パリ観光ガイドブック」が出来上がるでしょう。
Evernote版「ルーヴル美術館ガイド」の作成
ここでは、「ルーヴル美術館」を例にとって、「Evernote版ルーヴル観光ガイド」を作ってみたいと思います。Googleで「ルーヴル美術館」を検索すると、次のような検索結果が表示されます(ただし、この結果は、ユーザーによって異なります)。
まず、ルーヴル美術館についての概要を知るために、WikipediaのページをEvernoteにクリッピングします。問題は、次の「ルーヴル美術館の公式ウェブサイト」です。これは、美術館の公式サイトなので、もっとも信頼でき、かつ所蔵作品についての詳細な情報が得られると予想されます。けれども、実際にアクセスしてみると、下のようなナビゲーション風のページで、これをEvernoteにクリッピングしても、あまり意味はありません。
トップページから「ルーヴル美術館の傑作」というページへのリンクがあります。これをクリックすると、ぜひ見るべき主要な所蔵作品が約10点ほど、概要つきで紹介されたページに飛びます。そこで、これを「ルーヴル美術館」タグの下に「ルーヴル美術館の傑作」というサブタグとして作成し、このタグ名をつけた上でEvernoteにクリッピングします。
ただし、このページだけでは、各作品の詳細が完全には理解できません。そこで、「ルーヴル美術館の傑作」サブタグのさらに下に、私がぜひ見たいと思っている10作品をサブタグとして作成しました。すると、タグの階層的なリストは、下のようなイメージになります。
なぜこのような階層的なタグリストを作ったかというと、ぜひ見たい傑作作品について詳しく解説したWebページを探し、それぞれのタグ名をつけてクリッピングすることによって、ルーヴル美術館所蔵の作品群についての、公式ウェブサイトよりもはるかに詳細な「百科事典」をEvernote上に作ることができると考えたからです。クリッピングの作業が完成した暁には、左サイドの「タグ一覧」が、いわば目次になってくれるでしょう。この「タグ一覧」は、メニューで「表示/非表示」を選択できるので、目次としては理想的です。タグ目次を表示させておき、めざす作品のタグをクリックすれば、右側に作品についての詳細な紹介ページのクリップ一覧が表示されるという仕組みです。このように、階層的タグリストを作成すれば、「Evernote版百科事典」あるいは「Evernote版観光ガイド」が簡単にできるのです。
ただし、一つ注意したいのは、タグ名は10万個まで作れますが、同じ名前のタグは1つしか作れず、一箇所しかリストに登録できないということです。したがって、「ホテル」とか「レストラン」といったタグ名は事実上作れないといってもいいでしょう。「パリのカフェ」とか、2つとないレストラン名などをタグとして登録するといった工夫が必要になります。
ルーヴル美術館の傑作はWebページの宝庫!
実際に、ルーヴル美術館の傑作として公式ウェブサイトで紹介されている作品群をタグにして、各々に関するウェブサイトを検索してみると、公式サイトの説明文よりもはるかに詳しい解説や最新ニュースなどが紹介されており、そのコンテンツはまさに百花繚乱という感じを受けます。もちろん中には疑わしい説なども含まれてはいますが、Evernoteに取り込んだ上で、読み比べてみれば、どの解釈がすぐれているかは一目瞭然ということが少なくありません。「モナリザ」に関する各種ウェブサイト情報をWebクリッパーで取り込んで作ったEvernote版「モナリザ百科事典」は、その典型的な例といえるでしょう。有名メディアから芸大生まで、さまざまな個人や組織が、モナリザの謎に取り組んでおり、まことに興味深い知識(雑学?)の宝庫になっています。実際にルーヴル美術館に行ったら、モナリザ像の前で自分も一緒に謎解きに加わってみたくなります。