情報の並べ替えが苦手なEvernote
このようにしてみると、「タグ」機能のないOneNoteはEvernoteよりも不便なように見えますが、実際には「情報の並べ替え」のしやすさという点では、OneNoteのほうが優れています。
Evernoteの場合、ノートブック、ノート、タグのいずれについても、マウスのドラッグ一つで自由に並べ替えすることができません。いつも五十音順で勝手に並べられてしまいます。これは非常に不便に感じられます。
これに対し、OneNoteの場合には、「ノートブック」「セクション」「ページ」のいずれについても、Mac、Windowsともに、マウスのドラッグ一つで、項目の並べ替え、移動が簡単に行えます。これは本当に便利。あるページを別のセクションやノートブックの特定の場所に移動することも、ボタン操作一つで行うことができます。「タグ」検索機能がない不便さを補ってあまりあります。
こんなことがEvernoteではなぜできないのか、不思議です。かつては、001 002などと先頭に数字を割り振ってしのいでいたこともありましたが、OneNoteを知ってからは、それもバカバカしくなってやめてしまいました。これはぜひとも改善していただきいたいところです。
Epub形式の電子書籍をEvernoteとOneNoteに取り込む方法
電子雑誌の記事をEvernoteやOneNoteに取り込む方法は、電子書籍にも適用できます。Kindleなどの電子書籍をアプリやWebページで表示させ、PCをやタブレットなどの「スクリーンショット機能」で必要な箇所をコピーし、EvernoteやOneNoteに貼り付ければいいだけです。
電子書籍の場合には、Epub形式になっていれば、これをPDFやRTF形式に変換した上で、まるごとEvernoteやOneNoteに取り込むことができます。その後、文字検索によって目的の箇所を一発で探すということも可能です。EvernoteとOneNoteのそれぞれについて、具体的なやり方と問題点、対処法などを検討してみたいと思います。
PCにダウンロードできる標準Epub形式の電子書籍
Kindle、honto、koboなどで市販されている電子書籍は、Epubファイル形式でつくられています。これをPCにダウンロードして、それをPDF形式に変換してEvernoteやOneNoteに取り込みたいと思っても、実際にはほとんどがDRMというガードがかかっているために、合法的な方法では不可能です。唯一、多くの名作を網羅しながら、パブリックドメインとしてEpubないしPDF形式でダウンロードを認めているのは、日本では「青空文庫」、海外では「Project Gutenberg」です。いずれも、著作権の切れた内外の名作を数万点以上も無料で公開し、Epub、PDF、HTML、Textなどの形で自分のPCに自由にダウンロードすることができます。
「青空文庫」の電子書籍
「青空文庫」とは、「著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品のテキストを公開しているインターネット上の電子図書館」(Wikipedia)のことです。富田倫生ら4氏が呼びかけ人になって、1997年2月に発足しました。2019年7月1日現在の収録作品数は15,426作品にも上っています。また、2017年の年間アクセス数の合計は920万件以上となっており、多くの人々に愛読されています。
「青空文庫」は、青空文庫の公式サイトにアクセスして、電子ビューアーを選ぶことによって読むことができます。
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青空文庫 Aozora Bunko
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これ以外にも、KindleやBook☆Walkerなどの電子書籍でも無料で購入し、専用リーダーで読むこともできます。また、下に示すように、個人が自分のブログで「青空文庫」を公開することもできます。これには iframe タグが使われており、タグの作成方法は、次のサイトで紹介されています。
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えあ草紙をブログなどに埋め込む方法 – satokazzz.com
えあ草紙で開いたときのURLをiframeのsrcに設定するだけです。タッチ操作もできますし、メニューの全画面切り替えも動作しますよ! <iframe src=https://www.satokazz ...
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以下での課題は、このようなルビ付きの美しい青空文庫をPCにダウンロードし、PDFの形でEvernoteやOneNoteに取り込み、①作品内で自由に文字検索できるようにし、②文章にハイライトや手書きないし活字のメモや注釈(あるいは関連する写真や動画など)を付加することができるようにすることです。これができれば、古今東西の名作を自分流に読み込み、記憶に残るような形で保存することができるでしょう。つまり、EvernoteやOneNoteを単なる受身的な「リーダー」ではなく、ユーザー主導のマルチメディア型「デジタル・スクラップブック」化することが期待できます。
「青空文庫」を美しいルビ付きEpub文書でダウンロードする
青空文庫をEpub形式でPCにダウンロードできるサービスは、Book☆Walkerなどいくつかのサイトで提供されています。それらの中で、ルビ付きの美しい書体でダウンロードできるサイトを探してみました。その結果、角川書店の運営する電子書籍サービスBook☆Walkerと、「一冊堂・青空文庫」というサイトが候補に上がりました。
Book☆Walkerは、角川書店とソフトバンクが出資する電子書籍配信サービスです。同一アカウントで、PC、タブレット、スマホで電子書籍を読むことができます。
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今すぐ読める期間限定0円マンガ、ライトノベル多数。1冊まるごと無料。BOOK WALKERなら、120万冊以上国内最大級の品ぞろえ。初回購入50%還元中!
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Book☆Walkerでは、他の配信サービスと同様に、ふつうの書籍や雑誌を専用のリーダーで読める形で配信していますが、これに加えて、「青空文庫」を無料でEPUB形式でダウンロードできるようにしています。Book☆Walkerでは、このことについて次のように説明しています。
青空文庫で公開されている著作権の消滅した作品は、ファイル形式を変換したり、複製・再配布を行うことが出来ます(青空文庫収録ファイルの取り扱い規準)。BOOK☆WALKERでは、通常の無料作品として配信するだけではなく、電子書籍利用者の皆様により自由な閲覧環境(EPUB対応の電子書籍ビューア)で青空文庫を楽しんで頂いたり、学術研究のための電子書籍データの利用を促進する目的で、EPUBファイルそのものをダウンロード頂けるようにしました。 なお、BOOK☆WALKERが配布する青空文庫EPUB版は、青空文庫で公開されているデータをもとに、KADOKAWA-EPUB 制作仕様に準拠したEPUB形式へと自動変換されたものです。作品における誤字脱字や底本との違いなどを発見された場合は、青空文庫までご連絡頂けますと幸いです。EPUBファイルのダウンロードにはBOOK☆WALKERへの会員登録が必要となります。BOOK☆WALKERロゴを含むEPUBファイルの再配布は権利者の許可なく出来ません。
(Book☆Walker公式サイトより)
Book☆Walkerから青空文庫を無料で購入し、専用のリーダーで開いてみると、美しい書体の縦書き文書で読むことができます。けれども、EPUB形式でダウンロードし、EPUBリーダーソフトあるいはアプリで開いてみると、「横書き」のルビ付き文書として表示されます。EPUBリーダソフトによっては、90度傾いた状態で表示され、読みにくくなってしまうこともあります。
けれども、のちほど紹介するEPUB変換ソフトのCalibreでPDFファイルに変換し、EvernoteやOneNoteに挿入すると、美しいフォントのルビ付き横書き文書で表示されます。その意味では、Book☆Walkerの青空文庫は、電子書籍を「デジタル・スクラップ」にするための格好のリソースといえると思います。
もう一つのリソースは、「一冊堂・青空文庫」です。このサイトで無料ダウンロードできる青空文庫の作品は、「夏目漱石」「太宰治」「芥川龍之介」「源氏物語」の一部ですが、縦書きで美しいフォントのルビ付きPDFファイルで入手できるので、PCに取り込んで活用したいときには重宝します。
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一冊堂・青空文庫
青空文庫・大活字本製作。青空文庫の名作をプリントして製本・書籍にして「読みたい」に応える。小出版社
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