6つのサービスの総合的比較
以上、6つの主要雑誌定額読み放題サービスを紹介してきましたが、最後に、主な特性を軸に、表形式で総合的な比較をしてみたいと思います。
dマガジン | 楽天マガジン | Tマガジン | タブホ | ブックパス | ブック放題 | |
収録雑誌数(*) | 208 | 277 | 340 | 200 | 302 | 201 |
月額料金 | ¥400 | ¥380 | ¥400 | ¥500 | ¥380 | ¥500 |
年額料金 | ¥4,800 | ¥3,600 | ¥4,800 | ¥6,000 | ¥4,560 | ¥6,000 |
無料期間 | 31日 | 31日 | 1ヶ月 | なし | 30日 | 1ヶ月 |
対応デバイス | 5台まで | 5台まで | 5台まで | 3台まで | 5台まで | 5台まで |
ダウンロード | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
SDカード保存 | ☓ | ○ | ☓ | ☓ | ○ | ☓ |
アプリの使いやすさ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
画像、文字の精細度 | ◎ | △ | ◎ | 不明 | ○ | ○ |
メリット | 使いやすい | 低料金 | 画像が鮮明 | 旅行誌が多い | 品揃えが豊富 | なし |
デメリット | 雑誌の種類が少ない | 画質が悪い | 外部に保存できない | 雑誌の種類が少ない | 雑誌TOPに移動するのが面倒 | 料金が高い |
(*) 収録雑誌数は、各サービスのウェブサイトで、最新の雑誌数をジャンルごとにカウントし、それを合計した数字です。「るるぶ」などシリーズものの場合には、他の雑誌とのバランスを考慮して、「水増し集計」を避けるために1誌としてカウントしています。
雑誌の探しやすさ
200以上もある雑誌から、いかにして効率的に求める雑誌を探せるかというのは、非常に大事なポイントです。各サービスとも工夫を凝らしています。
dマガジンは、タブレットでもスマホでも、上下にスワイプすると、ジャンル別に雑誌が一覧表示され、比較的簡単に目的の雑誌を探すことができます。楽天マガジンでは、画面丈夫にジャンルのメニューがあり、そこをすワープして選択すると、画面全体に雑誌のサムネイルが一覧表示されるというスタイルです。dマガジンよりも閲覧性が高く、選択がしやすいというメリットがあります。タブホは、トップ画面で上下にスライドすることによって、ジャンル別の雑誌一覧を表示させることができるようになっています。また、「るるぶコーナー」「レシピ」「旅ライフ」などのムックや書籍については、大きなボタンを押すと、雑誌一覧が表示されるようになっています。旅行やレシピに興味のある人によっては使いやすいメニューといえるでしょう。
ページのめくりやすさ、スピード
dマガジンと楽天マガジンは、どちらも指で画面をスライドすることによって次のページを見るという形式です。これに対し、タブホは、指で左右にスワイプすると、ページがめくれるように次のページが開くようになっています。これは、紙の雑誌を読む感覚に近く、ユーザーインターフェイスとしてすぐれています。ただし、それだけ次のページを表示させるのじ時間がかかるということでもあり、ゆっくりとリラックスしながら読みたい人には向いていますが、スピードリーディングを重視する人にとっては、若干イライラするかもしれません。このあたりは、好みが分かれるところでしょう。
ダウンロード機能
dマガジンの場合、スマホやタブレットでは、画面右上の「メニュー」ボタンをタップし、「ダウンロード」を選んで、設定を「ON」にしておけば、雑誌を閲覧している間に自動的にダウンロードできます。ただし、雑誌は容量を使うので、ストレージが少ない場合にはOFFにしておく必要があります。飛行機の中など、オフラインで読みたいという場合には便利な機能です。
楽天マガジンの場合には、雑誌を表示させ、「雑誌を読む」のボタンを押すと、自動的にダウンロードが始まります。終わると「100%ダウンロード完了」という表示が出ます。ダウンロード済みの雑誌は、「マイページ」のメニューで一覧表示させることができます。ここで削除も簡単にできます。画面上部に「ダウンロード済み雑誌容量」と「ダウンロード可能容量」の数値が表示されているので、確認ができて便利です。
タブホの場合は、読みたい雑誌を開くと、自動的にダウンロードが始まります。次に、画面をタップして、「お気に入り」(☆)マークをタップすると、トップ画面の「お気に入り」コーナーに自動的に登録され、オフラインで絵読めるようになります。タブホのすぐれているところは、このお気に入りコーナーが「書棚」のイメージになっていて、自分の専用雑誌ラックに収納しているような感覚を味わえることにあります。ページめくりと同じように、リアルな世界での雑誌閲読スタイルを楽しめるのがメリットといえるでしょう。
スマホやタブレットの場合、内部ストレージは128GB以下である場合が多いと思います。その場合、Androidのタブレットやスマホではダウンロード先を外部ストレージのmicroSDカードに指定できると便利です。そのような機能を持っているのは、楽天マガジンとブックパスの2つだけです。
画面の精細度
最近のスマホやタブレットは、ディスプレイの解像度が高くなり、従来より文字や写真がくっきりと、なめらかに表示できるようになりました。雑誌でも、くっきり鮮やかに文字や写真が表示されるかどうか、サービスによる違いも明らかになっています。
そこで、無料購読できないタブホを除く5誌について、同じ雑誌(サンプルはAERA2019年7圧1日号を使用)の同じページを用いて、27インチiMacのブラウザ画面に5つを並置させて、画質を厳密に比較してみました。
その結果、Tマガジンとdマガジンの解像度がもっとも高く、ブックパスとブック放題がこれに続き、楽天マガジンは解像度が低い(文字や写真がぼけてしまう)ことがわかりました。楽天マガジンは、低料金が魅力ではありますが、その分解像度を犠牲にしているように思われます。今後の改善を強く望みたいところです。
どのサービスを選択したらいいのか?
このように、いまや、数百冊以上の雑誌あるいは本を低廉な料金で利用できる時代になったわけですが、これらの中からどのサービスを選ぶのが賢いやり方なのでしょうか?
要は、予算以内の料金で、自分の読みたいコンテンツが豊富にあり、使いやすいサービスを提供しているところを選ぶということでしょう。ただ、音楽や映画など他の「放題」サービスと違って、雑誌定額読み放題サービスは、500円以下の廉価なものが多いので、同時に複数のサービスを契約して、コンテンツに応じて使い分けるという方法もあります。実際、dマガジンと楽天マガジンを両方購読しているという人も少なくないようです。
上の表からも明らかなように、どのサービスにもメリットとデメリットがあります。画質を優先するならdマガジンかTマガジンがおすすめ、読める雑誌数を重視するなら、ブックパスかTマガジンがおすすめ、ダウンロード先の自由度や料金の安さを優先するなら、楽天マガジンがおすすめ、地域情報誌や旅行関連雑誌が魅力なら、Tマガジンがおすすめといえるでしょう。
みなさんも、これまでに紹介したデータをもとに、最適の読み放題サービスを見つけて、より豊かな読書ライフを楽しんでいただきたいと思います。