進む若者のPC離れ
かつては、パソコンを使いこなせるのは若者、できないのは高齢者と相場が決まっていたが、最近ではその傾向が逆転しているらしい。いまの若者は、SNSの普及と相まって、スマホ・リテラシーが極端に高くなり、ほとんどの情報をスマホから得るようになっている。PCはないか、自宅で埃をかぶっている状態だ。
しかし、これは決して悪い傾向ではない。すべての情報がスマホで得られるようになれば、高齢者にとっても、指でタッチするだけのスマホは、大きな福音になるはずだ。最初の小さなハードルを越えさえすれば、世代間デジタル・デバイドは劇的に縮小することだろう。
時代動向を読めないウェブ制作者たち
問題は、こうした世の中の流れを読むことのできない、Web制作者の遅れた姿勢ではないだろうか。このことに私自身が気づいたのは、最近になって、WordPressというウェブ制作ツールで、PC画面だけでなく、スマホ画面にも最適化できるソフトを手に入れたのがきっかけだ。実際に自分の作ったWebページがスマホでどう見えるか、試行錯誤しながら作り込んでいくうちに、他のスマホサイトの見え具合も気になり、改めて、世の中スマホファースト化が急速に進んでいることに気がついたという次第だ。
逆にいえば、スマホファースト化で立ち後れたウェブ制作者たちは、膨大な顧客を逃しているのではないだろうか。とくに、スマホしか見ない若者を相手とする企業や組織は、この時代の流れをよく読んでおかねばならないだろう。たとえば、私が所属していた大学のスマホページをみると、一見スマホに対応しているように見えるが、メニューの文字フォントサイズが小さかったり、PC版をただ縮小しただけで、メニューとして使いづらかったり、肝心の情報がPDFになっていて、スマホの画面では文字がほとんど判読できなかったり(上の写真参照)、サブメニューに入ったらトップ画面に戻れなくなって迷子状態になったりと、問題点が多々見受けられる。
これは、おそらくこの大学に限られる問題ではないだろう。まだまだ、多くの大学やその他若者層をターゲットにした組織では、スマホファーストの時代動向を読むことができていないのではないだろうか。スマホを愛するユーザーの一人として、ウェブ制作者の意識向上を期待したい。