メディア研究

プライバシー・パラドックスは存在する(2016年06月20日:再録)

 「メディア・エコロジー」という講義の中で、プライバシー・パラドックスについて、次のようなレポート課題を出しました。

 一般に、多くの人々は、プライバシーに対する不安を日頃から持っており、高いプライバシー保護意識をもっています。それとは裏腹に、ブログやSNSなどを通じて、ティーンズなどの若者はプライバシーをさらけ出しているといわれます。このように、一見矛盾する傾向のことを「プライバシー・パラドックス」と呼んでいます。また、フェイスブックのCEOであるザッカーバーグは、現代社会において、プライバシーの社会規範は薄れてきているとも指摘しています。至るところに設置された監視カメラやウェブ訪問歴などで、個人情報が知らず知らずに収集されているのが現状です。また、最近では、インスタグラムなどのSNSで自撮り写真を積極的に公開する人も増えているようです。

 あなたは、「プライバシー・パラドックス」について、どう思いますか。それは現実に存在すると思いますか。プライバシー・パラドックスがもしあるとすれば、どのようにすれば解決できると思いますか。

 また、SNSが普及し、パーソナルデータが膨大に流通する現代の高度情報化社会において、従来のプライバシー権は変化していると思いますか。それとも、プラバシー権は依然として重要だと思いますか。

 提出者269名中、なんと252名が、「プライバシー・パラドックスは存在すると思う」と回答しました。驚くべき数字です。プライバシー・パラドックスが生じる理由として、多くの学生があげていたのは、他者からの承認欲求、同調性(周りのみんながやっているから)、プライバシーを晒すことへのリスク意識の低さ、リア充を顕示したいという欲求、孤立への恐怖などでした。現代の若者が、プライバシー・パラドックスという大きくて複雑な問題に直面していることを改めて認識させられました。

 プライバシー・パラドックスを解決するための手段としては、TwitterやInstagramなどのSNSに鍵をかける(いわゆる鍵アカ)という回答が多く見られました。また、ネットリテラシー教育の必要性を論じたレポートも多く見られました。

 いずれにしても、世代の違う私にとって、非常に教えられることの多い課題レポートでした。詳しい検討は、また改めて、、、

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