メディア研究

高い若者のプライバシー意識(2016年06月26日:再録)

 フェイスブックのCEOであるザッカーバーグは、現代社会において、プライバシーの社会規範は薄れてきていると指摘しています。けれども、現代日本の若者のプライバシー意識は、予想以上に高いというのが現実です。

 先日、授業の中で、オンライン・プライバシーに関するレポート課題を出したところ、多くの学生は、プライバシーを重要視しており、かつ、日頃から、SNSにおいても、さまざまなプライバシー対策をとっていることがわかりました。具体的には、Twitterなどに鍵をかける、アカウントをハンドル名にする、プロフィールに自分の写真を載せない、などの対策をとっているようです。たとえば、つぎのような回答がありました。

 私はプライバシー 保護に関して日ごろから気をつけている。例えば Twitter は不 特定多数の人が見ることがで きるので、アカウントに鍵をかけて私がフォローを承認した人以外見ることができないようにし、知り合いだけ承認するように している。またアイコンの画像は承認した人以外も見ることができるので、顔 が写っている写真は選ばない。名前に関してはフルネームにしているが、漢字ではなくひらがなにしている。写真も住所などが分かるようなものは一切 載せていない。このように対策は結構している。

 

 また、相手によって、複数のアカウントを使い分けるといった対策をとる学生も少なくありませんでした。

 ツイッターの場合、1 人のユーザーにつきアカウント は複数作れるので、1つを、本名を使わず、写真なども載せないが、多くの人が閲覧できるアカウン トとして利用し、もう1つのアカウントを、本名を使い、写真も載せるが、限られた人にしか閲覧できないようにし利用する。このように、複数のアカウントを使い分けることによって、プライバシーを保護しつつ、プライバシーを公開できると考える。

Twitterに鍵をかけることを、「鍵アカ」というそうですね。この言葉が流行していること自体、若者がプライバシーに敏感であることを示すものといえるのではないでしょうか。

 Twitter では「鍵アカ」というものが存在している。通常のTwitter の仕様では自分の投稿は不特定多数の人が誰でも見るこ とができるようになっているが、個人の設定でアカウントに「鍵」をつけるこ とが可能であり、鍵をつけた場合、自分が許可した人以外の人からは自分の投 稿は全く見られないようになる。鍵をつけた状態で自撮り画像を投稿したとしても自分の知り合い以外の不特定多数の人間からは見られることはなく、ある程度プライバシーが守られる仕組みになっている。プライバシーの侵害から逃れるためにこのような機能を使うことはかなり有効なのではないだろうか。

 
 また、「裏垢」という言葉もあることも、今回のレポートで初めて知りました。

 SNS のアカウントを複数持つ人が特に若者は多く感じる。裏のアカウントと言 う意 味で「裏垢」と呼ばれるがそこには限られた一部の人だけが見ることができる状態にされ ており、その「裏垢」だけに写真をあげているパターンをよく見られる。また、みんなに 公開しているアカウントには写真をぼかして加工してアップしているが、裏垢には堂々と 個人が特定できるようにアップされてい るのを見る。見ることができる人が限られることでプライバシーの心配が低く なることがこの状況を作り出しているように思う。特に裏垢 は親しい人にのみに公開されているパターンがほとんどである。また、鍵垢も自分が知っ ている 限られた人だけなのでプライバシー面などでも安心できるのだろう。

   
 このように、現代の若者は、決してプライバシーに無頓着なわけではなく、彼らなりのネット・リテラシーを発揮して、プライバシーの線引きをしているのです。最近、実名主義のSNSであるfacebook離れが、若者を中心に増えているといわれますが、背景には、こうした若者の高いプライバシー意識があるのではないかと思われます。

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