川喜田二郎のKJ法(1950年代)、梅棹忠夫の「知的生産の技術」(1960年代)、野口悠紀雄の超整理法(1990年代)は、情報の整理法を中心とする新しい発想の技術として注目を浴びました。生成AIの時代には、単なる情報整理の技術ではなく、高度の知能を備えた生成AIを知的パートナーとして、これまでの10倍、100倍の効率でクリエイティブな知的生産を可能にするWebツールが求められます。それを可能にするのが、2024年に私たちが提案したKM法(Kawaura-Mikami Method)です。
KM法の発想は、LINEトーク上での川浦康至(東京経済大学)と三上俊治(東洋大学)のふとした対話から生まれました。
ウラヤマ川浦「生成AIのポータル、ないしメタ生成AIができたら
というのは夢想?」



三上「もう誰かが作っているでしょうね。」
たったこれだけのやり取りでしたが、三上は「誰かが作っているだろう」との無責任な答えしかできず、気になっていました。色々と考えを巡らすうちに、まだ誰も考えていないのなら、自分で作ってしまったらどうか、と思いつきました。色々と調べるうちに、マイクロソフトが最近リリースしたCopilot版「Edge」ブラウザを使えば、「生成AIポータル」ができそうだと気づきました。Edgeの持つ決定的なメリットは、画面右上のCopilotボタンをクリックすると、右側のサイドバーが開き、ここでプロンプトを入れて、Copilotの回答をサイドバーに表示させることができることです。
一方、メインの画面に「OneNote」や「Notion」などの情報整理ツールを表示させておけば、このツール上に整理し保存しておいたプロンプトをサイドバー上の生成AIにコピペで入力することによって、最適なプロンプトで迅速に生成AIを実行させることができます。また、回答の中から使えるものだけを選んで、メイン画面の情報整理ツールの最適フォルダに保存し、編集することができます。「ブラウザ上で動くアプリ」であれば、Edgeブラウザのおかげで、生成AIを組み込むのとほとんど同じメリットを享受することができるのです。
このアイディアは、2025年10月にOpen AIがリリースした新ブラウザ ChatGPT Atlasによって、さらに機能拡張した形で実現しました。2025年11月時点では、このブラウザのサービスは(M1以上のチップ搭載)Mac OSに限定されていますが、近い将来、Windows OSでも利用可能になるようです。ブラウザ上で表示できるすべてのサイトで、ChatGPTの機能を適用できるという点で画期的なものと評価することができます。
以上のような経緯でKMというイニシャルが生まれました。これをきっかけとして、KとMのイニシャルをもち、生成AIに関心を持つ社会心理学者の仲間が集まって、生成AIの社会心理学的研究を少しずつ始めることになりました。具体的な形がでkたのは、Office KMの結成です。それは、次のページで説明します。






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