5章 生成AIポータルの利用手順

1. 情報整理ツール上のプロンプト整理

生成AIアプリに入力するプロンプトを、その都度キーボードで作成して、生成AIの質問欄に入力するのは、あまり効率が良くありません。似たようなプロンプトは、情報整理アプリNotionの「プロンプトDB」ページにデータベースの形で作成しておき、必要なときに呼び出して生成AIの質問欄にペーストして使う方が効率的です。プロンプトの間違いを減らすこともできます。それに加えて、同じプロンプトを複数の異なる生成AIに入力する時にも、情報整理アプリ上に雛形が保存されていれば、適用すべきプロンプトを間違えることもなく、厳密に同一のプロンプトという条件で異なる生成AIの実行結果を比較することができるからです。さらに、プロンプトを改良するたびに、プロンプトのページに保存し、ブラッシュアップしていけば、生成AIの精度はより高いものになるでしょう。

情報整理アプリ上のプロンプトのデータベースは、「プロンプトDB」という新規ページを作成し、その下部ページにプロンプト集をテーマ別に作成し、階層状にデータベースとして保存しておくのがベストな方法だと思います。その手順は次のとおりです。

1. Notionサイドバーの上部にある「新規ページ作成」アイコンをクリックします。

2. 「無題」とあるところに、「プロンプトDB」と入力すると、新規で「プロンプトDB]というページが作成されます。ここで、タイトルの上にある「アイコンを追加」をクリックすると、このページにふさわしいアイコンを追加することができます。別になくてもいいのですが、探すときの目印になるし、楽しいので、好きなアイコンを追加することをおすすめします。

ここでは、「絵文字」の中から、「ノートバッド」のアイコンを選んでみました。クリックすると、ページタイトルの上に大きなアイコンが追加されると同時に、サイドバーの「プロンプトDB」ページの頭にこのアイコンが表示されますので、探すのが簡単になります。

3. カバー画像の変更:それぞれのページには、アイコンだけではなく、ホームページみたいに「カバー画像」をつけることができます。これも、「カバー画像を追加」アイコンをクリックすると、Notionの提供するオシャレな背景画像から選ぶことができます。デフォルトの画像が気に入らなければ、「カバー画像を変更」で、好きな画像に変更することができます。画像の表示位置も変更可能です。「ギャラリー」から選ぶこともできれば、自分のPCやクラウドにある画像をアップロードすることもできるし、Unsplashという著作権フリーの写真素材サイトからキーワード検索で選ぶこともできます。ここでは、「Q&A」というキーワードで出てきた写真の中から、Qという字のあるサイコロの写真を選んでみました。

すると、ページタイトルの上にカバー画像が追加されます。プロンプトDBにふさわしい画像かどうかはわかりませんが、アイコンとともに、ページのデザインがオシャレになります。

4. サイドバーの「ページ」表示位置の変更:
サイドバーには「プロンプトDB」が表示されていますが、これはドラッグすることによって、好きな位置に移動することができます。

5. サブページの作成:
これからが、DBづくりのスタートです。Notionでは、すべてのページをデータベースの形式で作成し、「プロパティ」(タグ)を設定することによって、すばやく求めるページを検索することができるようにすることができます。ただ、ページごとにプロパティを付加したりするのは面倒ですから、ここでは、ページを階層的に整理することによって、ページの整理がしやすくするという方法を取りたいと思います。そのために、まず複数のサブページを作成し、それぞれのサブページの中に、階層的なDBを構築することにし、その手順を説明することにします。

まず、プロンプトDBのページの下に、プロンプトの主なテーマで構成するサブページを作ることにします。とりあえず、ふだん私がよく利用するテーマ4つ(文章作成、文章要約・校正、語学学習、クイズ作成、生成AI)に関するプロンプトを収納するサブページを作成してみます。

プロンプトDBページの下位におくサブページを作るには、サイドバーの「プロンプトDB」の右側にある+ボタンをクリックします。

すると、サブページの画面が開きますから、プロンプトDBページと同様に、サブページのタイトルを入れ、好みに応じて、ページアイコンとカバー画像を入れます。タイトルは「文章作成のプロンプト」としておきましょう。すると、下の画像のように、サイドバーに「プロンプトDB]とその下にある「文章作成のプロンプト」が階層的に表示されます。

同じようにして、文章要約・校正、語学学習、クイズ作成、生成AIについても、サブページを作成します。完成したサイドバーのページメニューは下のようになっています。親ページの画面とサイドメニューの両方にサブページのメニューが表示されます。いずれかをクリックすれば、サブページが開きます。

6. データベースの作成

次に、いよいよデータベースのページを作成していきます。各サブページに、テーブル形式のデータベースを作ることにします。

Notionでは、ページの中にさまざまな形式のデータベースを作ることができますが、ここではわかりやすいように「テーブルビュー」のデータベースを作ることにします。データベースを作る時には、タイトル下をクリックしてから、 /d と入れます。すると、「データベース」ブロックのメニューが表示されますので、「テーブルビュー」を選びます。

すると、下の画像のように、表形式の新規データベースが作られます。

このテーブルは行と列からなっていますが、今回のプロンプトのデータベースには、一番左の列(名前欄)だけを使います。2列目以降は、「プロパティ」といって、データベースの並べ替えとか検索に必要なタグを記述する欄なのですが、記述にかける手間を節約するために、当面はデータベースとしての機能は保留にして、もっぱらプロンプトを記録するための単位スペースとして利用することにしたいと思います。

このテーブルの1行が、それぞれ独立した最小のページになっていて、見出し欄にプロンプトの項目名を入れ、内容欄(「開く」をクリックすると表示される)にプロンプトを入れることができます。

例として、4章「プロンプト活用の技術」の文例集で作ったプロンプトを1行ずつ入れてみましょう。

データベースの「名前」欄の1行目に「記事の作成」という見出しを入れます。

次に、1行目にカーソルを置くと、見出しの右に「開く」という表示が現れますから、これをクリックすると、「記事の作成」のページが開きます。

ここに、プロンプトを記入すれば、「記事の作成」を依頼するプロンプトのデータベースができるわけです。

ここでは、「{ヨガ入門ガイド}の記事を作成してください。」というZero-shotプロンプトを入れています。{テキスト}の部分は変数を示すもので、出力してほしい記事の内容で自由に差し替えることができます。{  }という記号は生成AIの実行には影響しませんから、このままで実行しても差し支えありません。

このようにして、データベースとして登録したいプロンプトの「見出し」と「プロンプト」を1行づつ入れていけば、テーマ別にテーブル形式でプロンプトのデータベースを作成することができます。

 

目次

2. 生成AIツールの実行と結果の保存

生成AIツールの実行は、Edgeブラウザの右サイドバーを開いて行います。ブラウザのメイン画面には、Notionのような情報整理アプリを開いておき、プロンプトを適用する時には、あらかじめ作成した「プロンプトDB]のページを開き、生成AI実行結果を保存する時には、コンテンツ作成に関連したページを開いて、生成されたテキストや画像などをコピーします。

Notionページの作成

生成AIをコンテンツ作成に活用するには、まず、Notionなどの情報整理アプリに、生成AIの実行結果を保存するための「ページ」を作成しておくことが必要です。というのは、一つのプロンプトを複数の生成AIに適用すると、大抵の場合、異なる結果が出力されるので、いったんそれら異なる回答結果をNotionのページにコピペで保存し、結果を比較検討しながら編集し、最も適切なコンテンツにまとめあげるという作業をNotion上で行うことが必要になるからです。

事前にNotionのページを作成しておくことは、どのようなプロンプトを作ればよいかを検討するのにも役立ちます。一般に、生成AIの助けを借りてコンテンツを作成していく場合には、一つだけのプロンプトを与えるだけでは不十分で、細分化された項目ごとにプロンプトを投げかけて、それをつなぎ合わせることでコンテンツ全体を制作するというのが、最もクリエイティブな独自性のある作品を作るために有効な方法です。そのためには、Notionのページにも、コンテンツの小項目ごとに「サブページ」を作り、コンテンツの項目順にプロンプトを作って、サブページに登録しておき、その後で、一つ一つのプロンプトを生成AIツールにかけ、回答結果をNotionのサブページに保存、編集するという手順を踏むのが有効だと思われます。

具体例をいくつか挙げて、実際にNotionページの作成、プロンプトの作成、生成AIの実行、実行結果の保存を行なってみたいと思います。

フランス語の「複合過去」に関するテキストの作成

まず、フランス語の文法で重要な項目である「複合過去」についての詳しい解説文を、具体的な例を交えながら生成AIの助けを借りて作成してみましょう。

既存の文法書などを参考にしながら、テキストの構成を考え、次のような小項目に分解してみました。

  1. 複合過去形とは何か?
  2. 助動詞avoirを使った複合過去形の作り方
  3. avoirを助動詞とする主な動詞の過去分詞の作り方
  4. {visiter}の複合過去形の活用表
  5. {choisir}の複合過去形の活用表
  6. {avoir}の複合過去形の活用表
  7. {voir}の複合過去形の活用表
  8. 複合過去形の否定形の作り方
  9. 助動詞avoirを含む複合過去形を使ったフランス語の例文

9節もありますが、これで複合過去の説明が尽くされているわけではありません。êtreを助動詞とする他動詞の複合過去形についての説明は、第1節だけで済ませ、2節以降の説明はavoir型の複合過去形に限定しています。それでも、日本語で出版されているフランス語文法の教科書や参考書を見ると、これほど詳しい解説を加えている本は見当たりません。生成AIを使って作成するテキストというものが、いかに詳しい内容になりうるかということを端的に示しているようです。その主な理由は、書籍の場合には、コストの関係から、どうしてもページ数が限られてしまうのに対し、生成AIを使ってオンライン上でテキストを制作する場合には、こうした分量的な制約がいっさいないという点にあると思います。

4種類の生成AIを使ったテキスト原案の作成

まず、第一段階は、それぞれの節についての解説文案を主な生成AIに作ってもらうことです。ここで用いるのは、サイドメニューバーに登録した4つの生成AI(Copilot、ChatGPT、Gemini、Claude)です。それぞれの回答結果をNotionの「複合過去」ページ内の「複合過去とは何か」サブページに作ったデータベースにコピーします。これをテキスト作成の「原材料」として、同じページの「編集画面」にコピペして編集を加え、テキスト完成させるのです。作成までの手順は次のとおりです。

  1. Edgeブラウザに整理、編集用の画面を開く
  2. サイドメニューバーから「Copilot」を呼び出し、サイドバーに表示させる
  3. Copilotの質問欄に「フランス語の複合過去形について説明しいてください」というプロンプトを入れ、生成AIを実行する
  4. サイドバーに回答が表示されるので、これをNotionの「複合過去とは何か」ページの「Copilot」ページ(DB)にコピーする
  5. まったく同じ質問をChatGPT、Gemini、Claudeにも入力し、それぞれの回答をNotionの「ChatGPT」「Gemini」「Claude」ページ(DB)にコピーする

以上の手順を図解すると、下のようになります。

Notionの「サイドピーク」機能を使ったテキストの編集

生成AIの回答結果をすべてNotionのデータベースにコピーし終わったら、次は、これらのページに格納した回答を素材として、下の「編集画面」とあるスペースを使って、編集作業を進めることにします。生成AIで使っていたEdgeブラウザの「サイドバー」を閉じて、Notionを全画面表示させ、今度は、Notionの「サイドピーク」機能を使って「テーブルビュー」の下にある生成AIごとの回答ページを一つ一つ開きながら、編集していきます。

「サイドピーク」というのは、Edgeブラウザとよく似たサイドバーのことで、Notionの任意のページの「開く」の部分にカーソルを当てながら、右クリックすると、下のようなメニューが出ますので、「サイドピークで開く」を選択すると、ページの右側、ちょうどEdgeブラウザのサイドバーと同じ位置に、サイドピークと呼ばれるメニューが表示されます。ここに表示される内容は、右クリックしたページの内容です。

この例では、Copilotのページ上で右クリックして「サイドピーク」を選んだので、画面の右側には、「複合過去とは何か」という質問に対するCopilotの回答が表示されています。

このように、サイドピークに特定の生成AIの回答を表示させることによって、これを見ながら、他の生成AIの回答とも比べながら、左の編集画面にコピーすべき文章を取捨選択することができます。

第1節 複合過去とは何か

まずは、 サイドピーク画面に同じ質問に対するCopilot、ChatGPT4、Gemini、Claudeの回答を一通り切り替えながら表示させ、どの回答は最適化を判定し、上から順にコピーしていきます。

下の画像は、サイドピークの回答から最適な部分を編集画面にコピーして繋ぎ合わせたものの一部です。ここでは、CopilotとChatGPT-4の回答の一部をつなぎ合わせて、複合過去とは何かという基本的な説明文を作っています。

このようにして、それぞれの生成AIの回答を比較吟味して、「いいとこ取り」の形で「編集画面」上に最終完成形のテキストを作成することができます。

こうして、第1節「複合過去形とは何か」のテキストが完成したら、次のサブページ「第2節 助動詞avoirを使った複合過去形の作り方」の制作に進みます。

第2節 助動詞avoirを使った複合過去形の作り方

助動詞avoirを使った複合過去形のことは、第1節でも簡単に説明していますが、第2節では、とくによく使われるavoir型の複合過去形について、詳しい説明を加えています。第1節と同様に、Copilot、ChatGPT、Geminiの3つに「助動詞avoirを使った複合過去形の作り方を説明してください」というプロンプトを実行してもらい、それぞれの結果をNotionのデータベースに格納しました。そして、先ほどと同じように、サイドピークを開いて、3つの回答を比較してみました。すると、今回はCopilotの回答が一番わかりやすくてスッキリしていたので、Copilotの回答をそのまま第2節の内容として採用することにしました。

第3節 avoirを助動詞とする主な動詞の過去分詞の作り方

ここでは、「フランス語で、avoirを助動詞とする主な動詞の過去分詞の作り方を説明してください。」というプロンプトで、3つの生成AIから回答を得ました。データベースに入れた回答をサイドピークで比較してみた結果、ChatGPTが簡潔で正確な記述だったので、基本的にはこれを採用し、足りない部分を他の生成AIの回答で補足するという方法を取りました。補足したのは、-er型動詞、-ir型動詞、-re型動詞、不規則動詞の変化例と、過去分詞を使った例文で、いずれもGeminiの回答が一番詳しかったので、これを採用しました。

第4節〜第6節 代表的な動詞の複合過去形の活用表

第4節から第6節までは、代表的な動詞の複合過去形の活用表を作成してもらうプロンプトです。こうした活用表は、書籍だと作成に手間を取る上に場所をとることもあって、ごく少数の動詞しか取り上げていませんが、生成AIとオンラインアプリであれば、スペースの制限もなく、あっという間に作成してくれますから、その利点を活かして、たくさんの活用表を一気に作成することができます。ここでは、第4節の例だけを取り上げて、活用表を作成してみたいと思います。取り上げる動詞は、visiter(訪問する)です。プロンプトは、次のようなものです。「フランス語で、動詞{visiter}の複合過去形の活用を表形式で作成してください」。ChatGPT、Copilot、Geminiにそれぞれ作成してもらい、データベースに格納しました。そして、サイドピークで内容を比較したところ、ChatGPT-4の作成した表が、次のようにもっとも簡潔で明快だったので、まずはこれを採用しました。

生成AIは、「表形式で作成して」とリクエストすれば、即座にきれいな表を作ってくれるので便利です。

第7節 複合過去形を含む例文の作成

次に、例文を作成してもらう第7節に進みます。例文の作成は、語学コンテンツの作成において生成AIの最も得意とするテーマの一つです。ここでは、「助動詞avoirを含むフランス語の例文を、日本語訳付きで10個作成してください」というプロンプトで作成してもらいました。合計30個の例文が生成されました、どれも普通に使える正しい例文なので、適当にピックアップして編集画面に取り込むことにします。

3つの生成AIの中では、Copilotの出力結果が、こちらのリクエストに一番よく答えてくれているので、これを採用することにします。

以下に、助動詞avoirを含む複合過去形を使ったフランス語の例文とその日本語訳を10個示します。

  1. J’ai mangé des sushis.(私は寿司を食べました。)
  2. Tu as vu le nouveau film?(あなたは新しい映画を見ましたか?)
  3. Il a fini ses devoirs.(彼は宿題を終えました。)
  4. Nous avons acheté une maison.(私たちは家を買いました。)
  5. Vous avez entendu cette chanson?(あなたはこの歌を聞きましたか?)
  6. Ils ont joué au football hier.(彼らは昨日サッカーをしました。)
  7. Elle a perdu ses clés.(彼女は鍵を失くしました。)
  8. J’ai lu un livre intéressant.(私は面白い本を読みました。)
  9. Tu as pris le train ce matin?(あなたは今朝電車に乗りましたか?)
  10. Nous avons visité le temple.(私たちは寺を訪れました。)

これらの例文は、日常生活でよく使われる表現を含んでおり、フランス語の複合過去形の理解に役立つでしょう。(Copilotの生成した例文)

第8節 フランス語の長文から複合過去形を抽出する

第8節では、少し趣向を変えて、フランス語の長文の中から複合過去形を抽出してもらうというコンテンツを作成してみたいと思います。具体的には、太宰治の短編『走れメロス』の一部で、これをDeepLでフランス語訳してもらったものを素材として、この長文から複合過去形を抽出して、日本語訳をつけて、avoir型、être型別に表形式でまとめてもらうというものです。プロンプトは次のとおりです。

「以下のフランス語の文章から、avoir及びêtreを使った動詞の複合過去形を抜き出し、日本語訳をつけて、avoirとêtreを別々の表でまとめてください。

Soudain, j’ai entendu le bruit de l’eau qui coule dans mes oreilles. J’ai doucement penché la tête en arrière et j’ai écouté en retenant mon souffle. L’eau semblait couler sous mes pieds. Je me suis levé en titubant et j’ai vu que de l’eau fraîche jaillissait d’une anfractuosité du rocher, s’écoulant et chuchotant doucement. Melos se baissa pour être aspiré par la source. Il prit l’eau à deux mains et en but une gorgée. Il poussa un long soupir et eut l’impression de se réveiller d’un rêve. Je peux marcher. Allons-y. Avec le rétablissement de l’épuisement physique, une petite dose d’espoir est née. L’espoir d’accomplir mon devoir. L’espoir de se tuer et de défendre son honneur. Le soleil couchant jette sa lumière rouge sur les feuilles des arbres, les faisant brûler ainsi que leurs branches. Il reste encore du temps avant le coucher du soleil. Quelqu’un m’attend. Il y a quelqu’un qui m’attend, qui m’attend tranquillement, sans le moindre doute. On croit en moi. Ma vie n’est pas un problème. Je ne peux pas dire que je suis désolé de mourir. Je dois rendre la confiance. C’est tout ce qui compte maintenant. Courez ! Melos.

Poussant et sautant par-dessus les passants, Melos courut comme le vent noir. Il courut à travers les champs, au milieu des fêtards, les surprenant, enjambant les chiens, sautant les ruisseaux et courant dix fois plus vite que le soleil qui se couchait lentement. En passant devant un groupe de voyageurs, il entendit une conversation inquiétante. À l’heure qu’il est, cet homme aura lui aussi été crucifié. Ah, cet homme pour lequel je cours si vite. Je ne dois pas le laisser mourir. Dépêche-toi, Melos. Ne reste pas à la traîne. C’est le moment de montrer la force de l’amour et de la sincérité. Peu importe l’apparence. Melos était maintenant presque entièrement nu. Incapable de respirer, du sang jaillit de sa bouche à deux ou trois reprises. Je le vois. Au loin, on aperçoit la petite tour de la ville de Syrax. La tour brillait dans le soleil du soir.」

参考までに、「走れメロス」の原文は次のとおりです。

「ふと耳に、潺々、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々と、何か小さく囁きながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。

路行く人を押しのけ、跳ねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人と颯っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。」

ChatGPTが抽出した複合形の表は次のとおりです。

Avoir型の複合過去形の表

フランス語の語句 日本語訳
j’ai entendu 聞いた
j’ai penché 傾けた
j’ai écouté 聞いた
j’ai vu 見た
Il prit 取った
Il but 飲んだ
Il poussa 深くため息をついた
Il eut 感じた
Il entendit 聞いた

Être型の複合過去形の表

フランス語の語句 日本語訳
Je me suis levé 起き上がった
Melos se baissa Melosがかがんだ
Melos courut Melosは走った

Copilotが抽出した複合過去形の表は次のとおりです。

voirを使った複合過去形:

フランス語の複合過去形 日本語訳
j’ai entendu 私は聞いた
j’ai penché 私は傾けた
j’ai écouté 私は聞いた
j’ai vu 私は見た
a pris 取った
a but 飲んだ
a poussé 押した
eut l’impression 印象を受けた

êtreを使った複合過去形:

フランス語の複合過去形 日本語訳
je me suis levé 私は立ち上がった
s’est écoulant 流れた
a été aspiré 吸い込まれた
a été crucifié 磔にされた
a jailli 噴き出た
aperçoit 眺める

Geminiの回答は、質問の趣旨と若干異なっていたので、ここでは省略します。ChatGPT-4の表には、複合過去形とは異なる時制の動詞がいくつか含まれているので、やや正確性に欠けているようです。これに対し、Copiotの表はほぼ正しい内容と言えますので、Copilotの表を採用することにします。

9節 複合過去形に関する練習問題

最後の第9節では、複合過去形に関する練習問題を生成AIで作成してもらうことにします。というのは、練習問題というのは、語学の学習においては重要である上に、例文作成と並んで生成AIが得意とする分野でもあるからです。

用いたプロンプトは、次のとおりです。

以下の#制約条件に基づいて、{ フランス語の複合過去形 }に関する練習問題、解答例、解説を作ってください。
#制約条件
・問題数: 10問
・最初に、日本語の指示文を表示する
・練習問題、解答例ともに{フランス語で}作成する
・問題は10問まとめて表示する
・解答例は最後にまとめて表示する
・解説は解答例の後に、各問ごとにできるだけ詳しく記述する。

ChatGPT-4、Copilot、Geminiにこのプロンプトを入力してみましたが、かなり異なる結果が得られました。いちばん的確な回答を返してくれたのは、ChatGPT-4でした。

(ChatGPT-4の回答_)

フランス語の複合過去形に関する練習問題を提供します。以下の指示に従って、括弧内の動詞を複合過去形に変換して文を完成させてください。

指示文

以下の文を読み、括弧内の動詞を複合過去形にしてください。

練習問題

  1. Ce matin, je (être) ________ très fatigué.
  2. Hier, tu (vendre) ________ ta vieille voiture.
  3. Ils (venir) ________ chez moi pour le dîner.
  4. Nous (regarder) ________ un film très intéressant la semaine dernière.
  5. Elle (prendre) ________ le bus pour aller au travail.
  6. Vous (savoir) ________ déjà la nouvelle ?
  7. Il (faire) ________ très chaud hier.
  8. Elles (choisir) ________ une belle robe pour la soirée.
  9. Nous (devoir) ________ partir tôt à cause de la pluie.
  10. Tu (aller) ________ à l’école à pied ce matin ?

解答例

  1. Ce matin, j’ai été très fatigué.
  2. Hier, tu as vendu ta vieille voiture.
  3. Ils sont venus chez moi pour le dîner.
  4. Nous avons regardé un film très intéressant la semaine dernière.
  5. Elle a pris le bus pour aller au travail.
  6. Vous avez su déjà la nouvelle ?
  7. Il a fait très chaud hier.
  8. Elles ont choisi une belle robe pour la soirée.
  9. Nous avons dû partir tôt à cause de la pluie.
  10. Tu es allé à l’école à pied ce matin ?

解説

  1. J’ai été très fatigué: 「être」は変化動詞で、「être」を助動詞として使用します。主語が男性単数形なので、「été」は変化しません。
  2. Tu as vendu ta vieille voiture: 「vendre」は直接目的語がないため、「avoir」を助動詞として使用します。過去分詞「vendu」は性別や数に関わらず変わりません。
  3. Ils sont venus chez moi pour le dîner: 「venir」は移動を示す動詞のため、「être」を助動詞として使用し、過去分詞は主語に合わせて男性複数形になります。
  4. Nous avons regardé un film très intéressant la semaine dernière: 一般的な行為を示す「regarder」は「avoir」を助動詞として使用し、過去分詞は変化しません。
  5. Elle a pris le bus pour aller au travail: 「prendre」も「avoir」を助動詞として使用します。過去分詞「pris」は性別や数に関わらず変わりません。
  6. Vous avez su déjà la nouvelle?: 知識や感覚を表す「savoir」は「avoir」を助動詞として使用し、過去分詞も変わりません。
  7. Il a fait très chaud hier: 天候を表す「faire」は例外的に「avoir」を助動詞として使用し、過去分詞は変わりません。
  8. Elles ont choisi une belle robe pour la soirée: 選択を示す「choisir」は「avoir」を使用し、過去分詞「choisi」も性別や数に関わらず一定です。
  9. Nous avons dû partir tôt à cause de la pluie: 必要性を示す「devoir」は「avoir」を使用し、過去分詞「dû」も変わりません。
  10. Tu es allé à l’école à pied ce matin?: 移動を示す「aller」は「être」を助動詞として使用します。

指示文、練習問題、解答例、解説ともにほぼ完璧で、そのまま完成コンテンツとして使うことができるレベルです。

これに対し、Copilotはプロンプトの意味を理解していないようで、日本語の問題を作ってしまいました。また、Geminiは悪くないのですが、それぞれの問題に余計な日本語の説明をつけていたので、フランス語の練習問題としてはあまり適切とは言えません。日本語の部分を削らないと、練習問題としてはふさわしくありません。

というわけで、この練習問題は、ChatGPT-4の回答を採用することにします。

3. 情報整理アプリからコンテンツ作成アプリへ

Edgeブラウザの「画面分割」機能

生成AIの回答をもとに情報整理アプリを使って編集作業を行い、最終的なコンテンツの材料が揃ったところで、最後の段階は、これらをコンテンツ作成アプリに渡して、完成品のコンテンツを制作し、公開することです。そのためには、Edgeブラウザの「画面分割」機能を用いることがおすすめです。

画面分割機能というのは、Edgeブラウザを左右二つの画面に分割し、二つの異なるWebページやWebアプリの画面を並べて表示させることができる機能です。従来は、二つのモニターを並べなければできなかった機能が、一つのモニター上の一つのブラウザでできるようになったわけです。この機能を使えば、例えば、右側の画面にNotionのページを表示させ、同時に左側の画面にMicrosoft365などのコンテンツ作成アプリの編集画面を表示させて、NotionからMicrosoft365に必要な情報をコピーすることが簡単にできるようになります。従来のように、タブを切り替えながら、お互いに見えない状態で編集作業を進めるという不便さがなくなります。コンテンツ作成の効率アップに大いに貢献してくれるでしょう。

画面分割の手順

  1. 画面分割を行うには、以下の手順を実行します:
  2. 画面分割表示: 画面分割ボタンをクリックすると、アドレスバーと閲覧画面が左右に分割され、左側に元の閲覧ページ、右側に新しいページが表示されます。
  3. 左右のタブの切り替え: 左右のタブを切り替えるには、「その他のオプション」から操作します。

  4. 垂直ビューに切り替え: 上下に分割したい場合は、垂直ビューに切り替えることができます。
  5. リンクの表示指定: リンクの右クリックメニューから、リンクをどの画面で開くかを指定できます。
    1. 画面分割表示の終了: 分割画面を終了するには、アクティブな画面の右上隅にある「分割画面を閉じる (X)」を選択するか、上部URLバー右側の「画面分割ボタン」をクリックします。

    画面分割ビューの左右分割比率を変えるには、真ん中の境界線上にカーソルをおき、マウスでドラッグすれば、任意の幅で画面の境界線を変更することができます。

    NotionのページとWordPress編集画面の分割表示

    ここでは、分割したEdge画面の右側にNotionのページを開き、左側にコンテンツ作成アプリの一つWordPressの編集画面を開いて、生成AIツールとNotionを使って作成した10節からなる文章をもとに、「フランス語の複合過去形」に関するホームページを制作したいと思います。その手順は以下のとおりです。

    1. WordPressの編集機能を使って、新規ページを作成します。ここでは、「生成AI時代の知的生産の技術」Webサイト上に「フランス語の複合過去形に関する解説」という新規ページを作成します。WordPressの編集画面は、クラシック・エディターを使っています。編集作業は「ビジュアル」編集画面を使います。
    2. Notionの「複合過去形」ページを開き、1節から9節のサブページのリストを表示する

    3. 1節から9節までのサブページを順番に開き、「編集画面」に集約したコンテンツ(素案)を左側のWordPress編集画面に一つずつコピーしていきます。

    4. NotionもWordPressもマークダウン記法で書かれていますから、通常のコピー&ペーストで見出しやテーブルも、全く同じ体裁で表示されます。
    作業はこれだけです。9節まで全部コピーが終わったら、WordPress上でコンテンツを細かく点検し、誤りがあれば修正を加えて完成させます。

4. 生成AIを使ったプレゼンテーションスライド制作

生成AIは、プレゼンテーション・スライドの作成でも大きな威力を発揮してくれます。スライドを作成してくれる生成AIツールとしては、Microsoft365のCopilot、Gamma、イルシル、Canvaなどがあります。このうち、もっとも先進的で、きめ細かなAI編集機能を備えたGammaを取り上げ、2024年5月25日に東京経済大学で開催されるWebLab Meetingでの研究発表で用いるプレゼンテーション・スライドを作成してみたいと思います。素材は、HP「生成Ai時代の知的生産の技術」全8章の内容です。

Gammaの特徴

Gammaは、AIを活用して簡単に魅力的なプレゼンテーションやドキュメント、ウェブページを作成できるツールです。デザインやコーディングのスキルは不要で、高度なAIを用いてコンテンツを素早く作成・改善できます。

Gammaの特徴:
AIパートナー: テキスト、画像、検索などのベストインクラスのAIを利用できます。
デザイン: 目を引く専門的なデザインやレイアウトを適用できます。
自動補完: コンテンツの書き直しや自動補完が迅速に行えます。
柔軟なテンプレート: 多機能で柔軟なテンプレートを提供し、ユーザーの創造性を引き出します。

Gammaは、プレゼンテーションやウェブページを生成する際に、フォーマットやデザインに悩むことなく、個性的で洗練されたコンテンツを作成できる強力なツールです。

(以上、Copilotにより作成)

Gammaを使うと、目次を与えるだけで、プレゼンテーションの本文まで自動的に作成してくれるので便利ではあるのですが、今回のように、学術的な研究発表の資料を作成するといった目的には必ずしも適しているとはいえないかもしれません。そのような場合には、見出しだけではなく、コンテンツまで用意して、スライドを生成してもらうという方法を用いる必要があります。ただし、Gammaがユーザーの求めとは違うコンテンツを生成してしまった場合には、「AI編集機能」を使ってページ単位で簡単に修正することができるようになっています。

「生成AI時代の知的生産の技術」のプレゼンテーション作成

実際に、Gammaを使って研究発表用のプレゼンテーションを作成してみましょう。学会などでの「研究発表」を目的としているので、生成AIに一からスライドを作成してもらうのではなく、こちらの指示に従って最適の見出し、レイアウト、デザインのスライドを1枚ずつ生成してもらい、かつ作成した後で1枚ずつAIで編集を加え、足りないスライドを追加したり、余計なスライドを削除するといった編集も自由に行えるようなフレキシブルなスライド作成を目指していと思います。もちろん、生成AIによる作文をいっさい排除するわけではなく、AIによる独自のまとめやアイディアも取り入れることにしたいと思います。なんだか、欲張りな要求です_が、Gammaなら、これらの要求をすべて満たしてくれるような気がします。

アウトラインの作成

今回の研究発表の元になった文章が全8章の膨大なものなので、まずは、このアウトラインを、できるだけ箇条書きでWord文書に作成します。あまり量が多すぎると、Gammaのスライド作成数の制限をオーバーしてしまいますから、いくつかのパートに分けて作成しましょう。1章ごとにNotionの新規ページでアウトラインをつくり、これをプロンプトとして、Gammaに入力して、プレゼンテーションを作ってもらうという手順で進めてみましょう。

普通、研究発表のプレゼンテーション・スライドは最大でも40枚に抑えるのが望ましいとされていますから、ここでは、余裕を持って1章あたり6枚のスライドを作成してもらうという方針でいきたいと思います。Gammaは、一度に作るスライドの枚数を指定することができます。

Gammaの新規スライド作成

Gamma AIでスライドを生成する場合は、「1行のプロンプトから作成」「テキストを貼り付ける」「ファイルをインポート」のいずれかを選択することができます。今回はNotionの新規ページに作成したアウトラインのテキストをプロンプトとして使うので、「テキストを貼り付け」を選択します。

1章のアウトラインを「貼り付け」の画面にペーストします。

次に、テキストコンテンツの種類を指定する画面になりますから、ここでは「凝縮する」「詳細」を選び、枚数を「6枚」と指定します。

「続ける」のバーをクリックすると、「テーマの選択」画面になりますから、全体のデザインをここで選択します。ここでは、本さいとのログマークの濃緑職に合わせて、グリーンを基調としてテーマを選ぶことにします。

最後に「生成」ボタンを押すと、スライドの生成が行われます。しばらく待つと、見事な6枚のスライドが生成されます。

1章のスライド

ついで、右サイドの編集メニューの中から、必要な機能を選んで、スライドの編集、修正、削除、挿入などの調整を行います。この場合、「表紙」(タイトル)に当たるスライドが足りませんでしたので、これを先頭に挿入することにします。メニューの中から右上のカードテンプレートをスライドの上部へドラッグします(下図)。

すると、空白のページが挿入されますので、ここにテキストをペーストします。画面の右側に大きな写真を入れるテンプレートを選択しましたので、右側に好きな写真を入れます。ここでは、発表の中でも触れている、最近撮ったバラの写真を入れました。また、2枚目のスライド(知的生産の技術)の写真を、梅棹忠夫著作集の表紙とPCの入った写真に差し替えました。これも、右側の編集メニューから自由に選ぶことができます。

GammaのAI編集機能

もう一つ、Gammaには、「AI編集」という強力な画面編集機能が備わっています。

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